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キレイに洗えてフワっと乾燥は当たり前…「ドラム式洗濯乾燥機」の次なる進化とは?

2023.11.14(最終更新日:2023.11.14)

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現代の家電の“三種の神器”の1つに数えられるドラム式洗濯乾燥機。魅力を感じたとしても、値段が高い上「縦型洗濯機のほうが汚れ落ちが良さそう」「乾燥はできてもシワが付きそう」といった懸念から、購入を躊躇っている人も多いのではないでしょうか。

ところが、洗浄力やシワ・乾きムラを抑える乾燥機能など、その性能は着実に改善を続けています。本記事では、ドラム式のメリット・デメリットと、最新ドラム式洗濯乾燥機の進化についてご紹介します。

洗浄力なら縦型、乾燥力ならドラム式一択

All About編集部が500人に行ったアンケート調査(2022年7月)によると、現在自宅でドラム式洗濯乾燥機を使っている人は19%であるのに対し、縦型洗濯機(全自動洗濯機・縦型洗濯乾燥機)を使っている人は78%でした。

洗濯物を干す手間を省いてくれるドラム式洗濯乾燥機。その高い利便性の割には、利用者はまだまだ少数派であることがわかります。

参考: https://news.allabout.co.jp/articles/o/47155/#goog_rewarded

とはいえ、縦型ユーザーが必ずしもドラム式は不要と思っているわけではないようで、「(縦型のほうが)比較的安いため」「置き場所が狭くドアの開閉が難しいため」などの理由から断念している人も多いようです。

「次に買い換えるとしたらドラム式」と回答している人は40%と、現在のドラム式ユーザーの約2倍に上ります。「ドラム式が欲しいけれど、費用や設置スペースの観点で諦めている」人が多いと考えられます。

そもそもドラム式が世界中で普及した背景には、欧米など海外の水は硬水が多い点が挙げられます。洗剤は泡立てることで洗浄力が発揮されますが、マグネシウムやカルシウムが多い硬水では泡立ちにくいため、軟水に比べると洗浄力が劣ります。

そこでドラム式では少量の水に溶かした高濃度な洗剤を使い、ドラムを回転させることで洗濯物を上に持ち上げ、下に落とす「叩き洗い」をすることで、洗剤の力だけに頼らず、物理的な力を利用することで高い洗浄力を実現しているのです。

一方、日本のような軟水では洗剤が泡立ちやすいため、縦型洗濯機でも十分に洗浄力を発揮します。縦型は大量の水流のなかで洗濯物同士を擦り合わせて洗える上、繊維のなかを洗剤水が通り抜けるため、汚れもニオイもドラム式よりスッキリ落とせるとされています。

ではドラム式は何がいいのかというと、ズバリ乾燥機能です。

もし乾燥機能はあまり使わないというのなら、ドラム式を選ぶ理由はありません。あえていえば、洗濯機置き場の上にスペースがなく、縦型のようにフタが上に開けられない、もしくはドラム式のデザインが気に入っている、洗濯物の出し入れがラクなど、洗濯機能以外の部分に魅力を感じている場合でしょう。

洗濯のたびに乾燥まで済ませたいなら、乾燥能力が高いドラム式一択といえそうです。

乾燥機能には、シワの少なさも求められる。日立グローバルライフソリューションズの新製品発表会にて、従来機種との比較

ドラム式洗浄の弱点を技術でカバー

いまでは技術の進化により、ドラム式でも縦型に近い洗浄力を備えた機種が増えています。

たとえば、東芝ライフスタイルのドラム式洗濯乾燥機ZABOON「TW-127XP3」ほかは、「ウルトラファインバブル」を搭載。ナノサイズのウルトラファインバブル水が繊維の奥まで浸透し、洗浄効果を高めて汚れを落とします。また日立グローバルライフソリューションズのビッグドラム「BD-STX130L」ほかは、少ない水で溶かした高濃度洗剤液を衣類にしっかり浸透させ、大流量の水を循環させながら洗う「ナイアガラ洗浄」で、少量の水でも大量の水で洗ったような洗浄力を実現しています。

東芝ライフスタイルは「ウルトラファインバブル水」で洗うことで、洗浄力を高めた

ほかパナソニックは、酵素が活性化する温度まで洗剤液を温め、泡にして洗濯槽に噴射する「温水スゴ落ち泡洗浄」、シャープは、水道水を毎秒100万個以上の水滴にして、高圧シャワーノズルから衣類に噴射し、ガンコな汚れを弾き飛ばす「マイクロ高圧洗浄」を搭載。

これらの独自技術により、いまや「ドラム式だから洗浄力が劣る」と気にするほどの差はなくなってきています。

ヒーター乾燥の電気代はヒートポンプ乾燥の約2倍

前述のように、乾燥機能に期待するならドラム式一択です。

乾燥機能を搭載した縦型の機種もありますが、ドラム式が洗濯物をフワっと持ち上げて広げながら乾燥するのに対し、縦型は構造上、遠心力で衣類が洗濯槽に張り付きやすく、そのままシワになりがち。さらに縦型の乾燥方式は、ドライヤーのように高温の温風を吹きかける「ヒーター式」のため、電気代がとても高くなります。

そのため縦型の乾燥機能は毎日使うのには向いておらず、天気が悪くて洗濯物が干せない日や、明日の朝必要な衣類を洗いたいときなど、スポットで乾燥機能を使いたいというケースでの利用が多いようです。

一方のドラム式で多く採用されているのが「ヒートポンプ式」と呼ばれる乾燥方式です。

ヒーターは使わず、ヒートポンプ(熱交換器)で空気中の熱を取り出し、約65℃の温風を洗濯槽内に送り込んで乾燥させるため、電気代が大幅に抑えられるのです。実際どれほど電気代が変わってくるのか、パナソニックのヒートポンプ式ドラム「ななめドラム」と、ヒーター式ドラム「Cuble」で比較してみました。

ななめドラム「NA-LX113CL」(洗濯・脱水11kg /乾燥6kg)の定格洗濯乾燥時の消費電力量(1回の洗濯・乾燥で使用する電力量)は960Wh、電気代に換算すると約29.8円であるのに対し、Cuble「NA-VG2800」は1980Wh、電気代にして約61.4円と2倍近くかかります(目安単価31円/kWhで計算)。

このように省エネでランニングコストを抑えられるヒートポンプ式ですが、日立はこれまで搭載していませんでした。日立はパワフルな高速風で衣類を乾かし、シワが少ない乾燥技術「風アイロン」にこだわりを持っており、これがヒートポンプ式との両立が難しかったのです。

しかしついに11月中旬、風アイロンとの両立を実現したヒートポンプ式搭載モデルが発売されます。

2023年10月4日に行われた日立の新ビッグドラムおよび新CM発表会では、CMキャラクターを務める芦田愛菜さんが登壇

これからのドラム式は省手間にも注目

各社こぞって洗浄・乾燥など基本機能の向上に注力してきたことで、多くのユーザーが満足できるレベルに近づいてきています。いま進化が進んでいるのが、さらに手間を省いてくれる機能。

画期的だったのは、パナソニックが17年に業界で初めて導入した「液体洗剤・柔軟剤自動投入」です。あらかじめ洗剤や柔軟剤をタンクに入れておけば、洗濯物の量に適した量の洗剤・柔軟剤を自動で投入してくれるため、その都度計量して投入する手間がなくなりました。いまでは多くの洗濯機に採用されている機能です。

パナソニックは、タンクを1つ増やして「トリプル自動投入」へと進化。最新モデルは、おしゃれ着洗いと酸素系液体漂白剤のいずれかを投入できるようになった

さらにお手入れの手間を軽減してくれる機能も続々登場。乾燥機能を使用すると「乾燥フィルター」にホコリが溜まるため、使用するたびにフィルターのお手入れをする手間がありますが、東芝はレバーを押すだけでホコリがかき出される「プッシュdeポン!」、シャープはフィルターのホコリを自動で取り除く「乾燥フィルター自動お掃除」を搭載しました。

また昨年は、日立が乾燥フィルターそのものをなくし、ホコリは排水フィルターまで流してしまう「らくメンテ」が画期的だと話題になっています。

以上のように、ドラム式の機能性は大きく改善されていますが、やはりネックとなるのは値段。とくにパナソニックに続いて日立も、型落ちでも値下げをしない「指定価格制度」を導入したため、値下げが期待できなくなってきました。

洗濯物の手間が軽減されることで捻出される時間と体力、気持ちのゆとりの価値を換算し、購入を検討してみるといいのではないでしょうか。



〈著者〉
田中真紀子

家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。
その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆。
出産を経て、子育てと仕事の両立に悩む中、家事をラクにしてくれる白物家電、エステに行けなくても自宅美容できる美容家電に魅了され、家電専門ライターに。現在は雑誌、webにて執筆するほか、専門家として記事監修、企業コンサルタント、アドバイザー業務もこなし、テレビ・ラジオ出演も多数こなす。これまで執筆や監修に携わった家電数は1000近くに及び、自宅でも常に多数の最新家電を使用しながら、生活者目線で情報を発信している。