当社サイトでは、サイト機能の有効化やパフォーマンス測定、ソーシャルメディア機能のご提供、関連性の高いコンテンツ表示といった目的でCookieを使用しています。クリックして先に進むと、当社のCookieの使用を許可したことになります。Cookieを無効にする方法を含め、当社のCookieの使用については、こちらをお読みください。

「サブで使う」から「スキマ時間に毎日使う」へ… コードレススティック掃除機の進化とは?

2024.04.09(最終更新日:2024.04.18)

読了時間目安 11

シェアする

今や多くの家庭で使われており、すっかり定着した感のあるコードレススティック掃除機ですが、日本市場で主権を握ってから5、6年しか経っていません。まだ歴史が浅いこともあり、進化の途中にある一方で、日常使いでは過不足なく使えるものも増えてきています。今のコードレススティック掃除機のトレンドはどのようなものか、使いやすい掃除機の選び方を交えながら解説していきます。

共働き世帯にマッチしたコードレススティック掃除機

出しっぱなしにしておき、使いたい時にサッと使いたいコードレススティック掃除機。最近は、インテリアになじむデザインのものも増えてきました。写真は、紙パック式コードレススティック掃除機「ラクティブエア EC-KR1」(シャープ)(著者撮影)

家電量販店の掃除機売り場に行くと、前面に押し出されているのがコードレススティック掃除機。今、掃除機を購入しようとしている人の中にも、コードレススティック掃除機を検討している人が多いのではないでしょうか。

かつて掃除機といえば、本体を床置きして使用するコード付きのキャニスター掃除機が主流でしたが、2000年代に入ってから徐々に市場にコードレススティック掃除機が出回り始め、2018年には販売台数でキャニスター掃除機と逆転。現在も移行が進んでおり、その差はますます広がっています。(※)

コードレススティック掃除機のメリットは、掃除を始めるまでのハードルの低さにあります。コードを伸ばしてコンセントに挿す手間も不要で、さっと掃除が始められるほか、キャニスター掃除機のように本体を引きずって家具に引っかかったり、移動するたびにコードを差し替える手間もありません。またスティック型でスリムなので、よく使う場所に出しっぱなしにできるのも、使用頻度を高めてくれる要素です。

このコードレススティック掃除機の登場は、社会情勢の変化に見事にマッチしました。というのも、専業主婦世帯数と共働き世帯数は1990年代に逆転し、2021年時点での共働き世帯は、全体の7割を超えるまでに増加。※かつてのように、家庭で家事にまとまった時間をかけられなくなったことから、すき間時間に掃除しやすいコードレススティック掃除機が受け入れられたと考えられます。

一方で、性能が年々アップしていることも、シェアを伸ばしている大きな要因の1つです。かつては吸引力が弱かったり、1回の充電で使用できるバッテリー駆動時間が短かったこともあり、「キャニスター掃除機をメインで使いつつ、ちょっとした掃除ではコードレススティック掃除機を使う」など、あくまでサブ掃除機の位置づけでした。

潮目が変わったのは2011年、ダイソンが吸引力が強くバッテリー駆動時間が長いコードレススティック掃除機「ダイソン デジタルスリム DC35 マルチフロア」を発売したこと。これを機に国内でも、パワフルで駆動時間が長いコードレススティック掃除機の開発が進んでいったのです。

コードレススティック掃除機選び、5つのポイント

とはいえ新ジャンルの掃除機のため、技術の開発だけでなく、コードレススティック掃除機の最適解は何か、模索する日々が続きました。当初は、吸引力を追求し続けた結果、ゴミはしっかり吸うものの本体が重くて腕が疲れる、吸引力が強すぎて床に張りつくなど、使いやすさが犠牲になることも。

一方で軽さを追求すれば、やはりゴミが吸いきれなかったり、軽さゆえにヘッドが床から浮きやすく、ゴミをしっかり捉えることができないなど、多くの人が満足できるとはいえないものでした。

しかし紆余曲折を経て10年近く経った現在、多くの人のニーズに近い掃除機が続々と登場してきています。それが、吸引力はそこそこで軽さと使いやすさを備えたバランスモデルです。ハイパワーモデルに比べると、確かに吸引力は落ちるものの、家庭での掃除には十分なパワーを備え、軽いのでスイスイ掃除できる。コードレススティック掃除機のメリットが存分に生かされる、まさに「毎日使いやすい」掃除機です。

では使いやすいコードレススティック掃除機とは具体的にどのようなものでしょうか。店頭でチェックしたいポイントを5つまとめました。


1.本体重量ですが、おすすめは1kg〜1.5kg前後のもの。かつては2kgを超えるものも珍しくありませんでしたが、やはり1kg後半になると持ち上げるもの重く感じます。一方で1kgを切るものは、吸引力が物足りない場合もありますので、1つの目安にしましょう。

2.重心バランスが取れていることもチェックしたいポイントです。掃除機は軽いほうが使いやすいのは確かですが、その重量が手元によっていると重さを感じやすく、ヘッドに力を伝えにくくなってしまいます。重心のバランスが取れていれば、手元は軽く、ヘッドもしっかり床に密着して、軽い力で安定して掃除ができます。

3.小回りが効くかどうかもチェックしましょう。家具のまわりを掃除したいときなど、手首をくるっと回してヘッドの角度を90°変えたいのに、中には60°程度しか曲がらず、家具にしっかりアプローチできないものもあります。またなめらかに動かないと、手首に余計な力が入ってしまい、やはり疲れやストレスを感じやすくなります。

4.掃除機がけをしていると、ヘッドのブラシに髪の毛が絡まってしまうこともありますが、放置すると固く巻き付いて取りにくくなってしまいます。その点、近年の掃除機には、毛がからまりにくいブラシの構造になっているものも増えており、とても便利です。

シャープは、密度が高く縮れたブラシで毛の入り込みを抑える「からみにく〜い」ブラシを採用(著者撮影)

5.最後に確認しておきたいのが、ゴミの捨てやすさです。コードレススティック掃除機はゴミを溜めるダストボックスが小さいため、1、2回の掃除でいっぱいになってしまうこともあります。ダストボックスを本体から取り外して、ひっくり返して捨てるものより、本体から取り外さずにレバー1つで捨てられるもののほうが便利ですし、ゴミが圧縮されるタイプなら、ホコリが舞い上がりにくく、不快感も軽減されます。

ゴミ自動収集ドックの次なるトレンドは紙パック式

パナソニックからは、自動ごみ収集ドック「クリーンドック」が付属した3モデルを発売(著者撮影)

ゴミの捨てやすさについては、コロナ禍を経て大きな変化がありました。清潔意識の高まりを受け、ダストボックスに溜まったハウスダストを含むホコリを吸い込みたくないと考える人が増えたのです。そこで注目されたのが、パナソニックやシャークニンジャから登場している、充電台にゴミ自動収集機能が搭載されたモデル。掃除を終え、掃除機を充電台に戻すとダストボックスのゴミを収集してくれるので、ゴミ捨ては1、2か月に1回程度で済み、ホコリに曝露する機会が減ります。

またコードレススティック掃除機は、サイクロン式が一般的ですが、近年はシャープや日立グローバルライフソリューションズ、さらにはパナソニックから紙パック式が続々登場し、今やトレンドとなりつつあります。紙パック式も、ゴミを1、3か月ぶん溜められ、いっぱいになったら紙パックごと捨てるだけなので、サイクロン式に比べて衛生的。かつて紙パック式は、ゴミが溜まると風路が妨げられ、吸引力が落ちやすいとされていましたが、ゴミが溜まっても風の通り道が確保できる工夫で、吸引力が落ちにくくなっています。

日立グローバルライフソリューションズの紙パック式「かるパックスティック」は紙パックが満杯に膨らんだ状態でも簡単に取り出せる(著者撮影)

もう1つの視点として、掃除機がけの音を低減する機能に着目したものもあります。それが、シャープのRACTIVE Air(ラクティブエア)「EC-KR1」。モーターを遮音カバーで覆うなどの工夫をすることで、不快音を抑制してくれます。またアイリスオーヤマは、音が気になるときは、吸引せずにヘッドのブラシだけが回転してゴミをかき集める「ちりとりモード」を搭載した充電式サイクロンスティッククリーナー daspo(ダスポ)を発売。いずれも赤ちゃんやペットがいる家庭に重宝されています。

ライフスタイルに合わせて掃除機が選べる時代

シロカの紙パック式コードレススティッククリーナー「らくらクリーナー」はモーターユニットの位置を変えられ、重心バランスが自分好みで選べる。(著者撮影)

以上、コードレススティック掃除機の進化の流れを見ると、ライフスタイルの変化にあわせてトレンドも大きく変化していることがうかがえます。一方で機能自体も日々洗練されているため、暮らしにフィットするタイプを見つけやすくなっているともいえます。

たとえば軽量で吸引力が弱めな掃除機は、メインの掃除機には向かないとしても、日常的にロボット掃除機やキャニスター掃除機を使っているなら、もっとも使い勝手がいいかもしれません。またカーペットが多く、毛足の奥のゴミまで吸い上げたいなら、多少重くても吸引力を優先するのもいいでしょう。掃除をする時間がないと感じている人、掃除が苦手な人も、選び方次第では、今のライフスタイルに上手に組み込めるかもしれません。


〈著者〉
田中真紀子

家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。
その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆。
出産を経て、子育てと仕事の両立に悩む中、家事をラクにしてくれる白物家電、エステに行けなくても自宅美容できる美容家電に魅了され、家電専門ライターに。現在は雑誌、webにて執筆するほか、専門家として記事監修、企業コンサルタント、アドバイザー業務もこなし、テレビ・ラジオ出演も多数こなす。これまで執筆や監修に携わった家電数は1000近くに及び、自宅でも常に多数の最新家電を使用しながら、生活者目線で情報を発信している。
公式サイト:https://makiko-beautifullife.com/