EMSとは
EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略語で、直訳すると「筋肉への電気的な刺激」
「筋電気刺激」という意味です。
一般的には、電気信号によって筋肉を収縮させて、ほぐしたり鍛えたりすることで運動効果
が期待できるマシンのことを指します。機器をつけるだけで普段使われていない筋肉へアプローチし、基礎代謝を上げたり、肩こりや腰痛を予防したりと、筋力トレーニングを気軽に生活へ取り入れることができます。
ヘルステックにおけるEMSの歴史
ヘルステックとは「健康(Health)」と「テクノロジー(Technology)」を掛け合わせた造語で、AIやウェアラブルデバイスといったテクノロジーを活用して、病気やケガを予防したり、治療に取り組んだりすることをいいます。
EMSはこのヘルステック分野において活用されている技術の一つで、主に運動不足解消を目的に取り入れられています。
EMSは元々、スポーツや医療の現場でアスリートのトレーニングやリハビリテーション用の専門機器として用いられていました。電気刺激で筋肉を収縮させることによる運動効果が期待できるということと、EMS技術の進歩による軽量化や小型化が進んだことを背景に、近年は一般家庭向けのEMS機器も多数登場しています。
ヘルステックのより詳しい情報は、こちらをご覧ください。
話題のヘルステックとは?関連企業や市場規模を詳しく紹介!
EMSの特徴と仕組み
EMSはどのような仕組みで筋肉に刺激を与え、効果を発揮するのでしょうか。私たちが体を動かす際は、必ず脳からの命令が中枢神経を伝って筋肉に届き、電気信号によって筋肉の収縮が起こります。
一方、EMSは脳に変わって電気信号を出して運動神経に刺激を与え、筋収縮を引き起こして筋肉を動かすことができます。つまり、EMS機器を利用することによって、自動的に運動効果が得られるということです。
EMS機器を使用するメリット
EMS機器を使うことで、どのようなメリットが期待できるのかを紹介します。
場所や時間を気にせず使用できる
EMS機器は小型で軽量なものが多く、自宅だけでなくデスクワーク中や移動中でも気軽に使いやすいものもあります。装着感が気になりにくいアイテムも多いため、別の作業をしながらでも運動効果を感じられるでしょう。
運動が苦手な人でも継続しやすい
EMS機器は、初めて使う方や運動が苦手な方でも継続しやすいという点も魅力です。
トレーニングが続かない主な原因として、ジムに通い続けられない、運動への苦手意識が強くて挫折してしまうといったことが挙げられます。EMS機器はジムに行ったりトレーニング器具を使ったりせずとも身に着けて利用するだけで運動効果が期待できるため、トレーニングをなかなか継続できない人でも負担を感じることなく続けられるでしょう。
EMSのデメリット
EMS機器にはいくつか注意すべきポイントもあるため、事前に確認しておきましょう。
使いすぎや高強度による筋肉痛・だるさなどの副作用
EMS機器は、長時間使いすぎたり、高強度で使い続けたりすると、筋肉痛やだるさを引き起こすことがあります。
EMSを使っていても、「これ以上強い刺激や負荷は筋肉が傷んでしまう」といった脳の制御機能は働きません。そのため、出力レベルや使用時間を守らずに使うと、過度な電気刺激によって筋肉が傷み、筋肉痛やだるさを引き起こす可能性があります。機器のマニュアルにある使用頻度や時間を守って使うことが重要です。
1回の使用で鍛えられる筋肉が限られる
EMS機器には、「腹筋用」「脚用」「首用」というように、それぞれ鍛えたりマッサージしたりできる部位が決まっている機器があります。こうした機器を使う場合は、同時に複数の部位を鍛えることは難しいです。
なお、鍛えたい部位にパッドを貼って使う汎用タイプの機器なら、貼る位置を都度調整すれば、一つの機器で複数の部位を鍛えられます。自分の鍛えたい部位やほぐしたい筋肉に合わせて、最適なEMS機器を選ぶことがポイントです。
EMS機器を使ってダイエット効果を高めるポイント
EMS機器を使うと確かに運動効果は期待できますが、ダイエットを目的とする場合は、それだけでは大きな効果が得られるわけではないことも理解しておきましょう。
EMSはあくまでも筋肉に刺激を与えるだけで、直接的に脂肪を燃焼させる効果はありません。EMS機器を活用して筋肉を鍛えつつ、有酸素運動や筋トレも並行して行うとさらに代謝がアップして、脂肪燃焼効果も高まるため効率的な減量につながります。
ここでは、EMS機器を活用しながら、他のエクササイズをどのように取り入れるべきなのか見ていきましょう。
有酸素運動と組み合わせる
EMS機器は、筋肉に刺激を与えて筋肉の発達をサポートしてくれます。そのため、EMSで筋肉を鍛えつつ健康的に脂肪を落とすには、脂肪燃焼効果の高い有酸素運動を組み合わせる方法がおすすめです。
有酸素運動とは、軽く汗ばむ程度の負荷で長時間続けられるエクササイズで、ジョギングや水泳、フィットネスバイクなどが挙げられます。
ジムや自宅での筋肉トレーニングを並行して行う
EMSによる筋肉への刺激は、実際に筋肉を動かすトレーニングと並行して行うことで効率的な筋力アップが期待できます。
ダイエット効果を得るにはEMS機器の使用と運動を継続する
ダイエット効果はすぐに実感できるものではなく、 EMS機器の使用と運動を継続することも大切です。部位による違いや個人差はありますが、通常のトレーニングと同様に、効果を実感できるまでに早い人なら2週間~1ヶ月程度、一般的には2~4ヶ月程度かかると言われています。
EMSの選び方
EMS機器はさまざまな種類が登場しており、周波数や形状、鍛えられる部位などが異なります。
目的や用途に合うアイテムを選ぶために、それぞれどのようなポイントに着目すべきなのか紹介します。
周波数
一般家庭向けのEMS機器を選ぶ際にまず注目したいのが「周波数(Hz・ヘルツ)」です。周波数とは、1秒間に繰り返されるプラスとマイナスの電気の振動数で、例えば20Hzであれば、1秒間に電気の波が20回繰り返されます。
EMS機器は低周波、中周波、高周波の3種類に分けられ、周波数が高ければ高いほど体の深部まで電気刺激でアプローチできます。一般家庭向けとして販売されている機器の多くは、低周波または中周波の機器です。
低周波のEMS機器
一般的には周波数が0.1~1,000Hzの機器が、低周波のEMS機器とされています。一般家庭向けEMS機器はこの低周波タイプがメインで、20~100Hz程度のものが多く見られます。ピリピリとした刺激が特徴的です。
中周波のEMS機器
1,000Hz〜10,000Hzの機器が、中周波のEMS機器とされています。一般家庭向けだけでなく業務用の機器も存在し、低周波タイプよりも深部までアプローチできます。
形状
EMS機器の形状は、鍛えられる部位に応じて異なります。代表的なのは、腹筋や背筋へアプローチするベルト型、足を置いて足裏やふくらはぎを鍛えるマットタイプ、首へ装着する首掛けタイプなどです。
また、アプローチしたい部位へパッドを貼り付けて使える汎用タイプもあります。折り畳み式や薄型など、持ち運びや収納に便利な機器も登場しているため、使用シーンをイメージしながら選ぶと良いでしょう。
鍛えられる部位
EMS機器で筋肉を鍛えたりほぐしたりできる部位は、「腹筋や背筋」「足裏やふくらはぎ」「その他」の3つに大きく分けられます。それぞれの機器の特徴を見ていきましょう。
腹筋や背筋
お腹・腰回りや背中の筋肉にアプローチするタイプのEMS機器は、ベルト型が中心です。他にも、複数のパッドを貼るタイプもあります。装着しながらの運動や家事、デスクワークなどが可能なアイテムも少なくありません。
足裏やふくらはぎ
足裏やふくらはぎの筋肉を刺激するタイプのEMS機器は、足を乗せるだけで使えるマットタイプや、マットと太ももに機器を装着するタイプなどがあります。使用中は足をなるべく動かさないようにする必要があります。
その他
二の腕や首、ヒップなどの特定の部位に装着しやすいタイプのEMS機器もあります。
また、汎用タイプなら、鍛えたい部位にパッドを貼ればその箇所の筋肉を鍛えることが可能です。貼る位置を都度調整する必要がありますが、部位を問わずにどこでも使える点が魅力です。
電源
EMS機器の電源も、使いやすさに影響するため忘れず確認しましょう。充電式、ACアダプタをつないで使うタイプ、電池式の3種類に分けられます。
充電式は充電さえ忘れなければ場所を問わず使えて便利です。ACアダプタタイプは充電したり、電池を補充したりする必要はありませんが、コンセントのある場所でしか使えない点には注意しなければなりません。電池式も場所を問わず使えますが、使用可能時間や必要な電池の種類をチェックしておく必要があるでしょう。
EMSのおすすめアイテム
現在EMS機器は、国内外のさまざまなメーカーから、目的や用途別に多様な製品が発売されています。ここでは、初めてEMS機器を使いたい方におすすめのアイテムを紹介します。
SIXPAD Abs Fit 2(シックスパッド アブズフィット2)
EMSを中心としたトレーニングブランドSIXPADは、EMSシリーズの累計出荷台数が2022年1月に300万台を突破しました。Abs Fit 2は、EMSにおける代表プロダクトの一つです。
「身につけるトレーニング・ギア」というプロダクトコンセプトのもと開発されたAbs Fit 2は、腹筋にフィットする6つのウイングが特徴的です。トレーニングに効率的とされる20Hzの電気刺激で腹筋を鍛えられます。電源は電池交換不要の充電式を採用しており、場所や時間を問わず身につけられます。
スマートフォンアプリとの連携ができるBluetoothが搭載されており、蓄積された日々のトレーニングデータをアプリ上で可視化できるようになっています。
SIXPAD (Abs Fit 2)
SIXPAD Foot Fit Lite(シックスパッド フットフィットライト)
Foot Fit Lite は、SIXPADシリーズの中でも脚の筋肉にアプローチすることに特化したEMS機器です。楽天週間EMSランキング5週連続1位を獲得しており、日本ホームヘルス機器協会から健康増進機器にも認定されています。
マットに左右の足を乗せると足裏から20Hzの周波数で通電し、足裏、前すね、ふくらはぎといった部位の筋肉にアプローチします。座りながら使えるため、足を鍛えながらテレビを見たり読書したりすることも可能です。
本体の重量は約1.1kgと軽量で、コンパクトな形状のため携帯や収納もしやすいです。電源は電池式で、アルカリ乾電池3本が必要です。
SIXPAD(Foot Fit Lite)
SIXPAD Powersuit Core Belt(シックスパッド パワースーツ コアベルト)
Powersuit Core Beltは、腹筋・脇腹・背筋の3つの部位に同時にアプローチできる、SIXPADシリーズのベルト型パワースーツです。引き締まったボディラインや美しい姿勢を保つために必要な筋肉を中心に、体幹を鍛えることができます。
筋肉を効率的に鍛える「20Hzモード」と、ウォームアップやストレッチ、クールダウンとの併用で身体を整えられる「4Hzモード」の2種類を搭載。有酸素運動や筋トレとの併用もできる点が特徴的です。電源は電池式で、リチウムイオンポリマー電池が必要です。
Powersuit Core Belt は、Yahoo!ランキング「ダイエット器具」部門と、楽天デイリーランキング「ダイエット器具」部門でそれぞれ1位を獲得しています。
SIXPAD(Powersuit)
楽トレ家庭用EMS機器「エクスケアDi」
エクスケアDiは、楽天市場のリアルタイムランキング「EMS部門」で1位を獲得した家庭用EMS機器です。1~50万Hzまで出力する複合高周波タイプで、日米で特許を取得しています。
8枚の通電パッドが付属しており、腹筋や背筋、腕や脚、フェイスラインなど好きな部位を鍛えられます。
「インナートレーニング」「シェイプアップ」「筋力トレーニング」「リラクゼーション」の4つのモードと、30段階のレベル調整でアウターマッスルとインナーマッスルの両方にアプローチすることが可能です。電源はACアダプタ式を採用しています。
楽トレ
ZALAXY
首に装着するタイプのマッサージ機器で、低周波パルスと42℃を維持する温熱ヒートモードで、首回りの筋肉をほぐしてくれます。
2020年に楽天デイリーネックマッサージャー部門、楽天デイリーマッサージ機器部門、Yahoo!ショッピングデイリーEMS部門でそれぞれ1位を獲得した人気アイテムです。
72gと軽量で、折り畳んで持ち運べるコードレスタイプなのが特徴的。場所や時間を選ばずいつでも使えます。また、スタイリッシュなデザインも人気の理由です。家事や育児の間はもちろん、デスクワーク中や電車での移動中などでも使いやすいでしょう。
ZALAXY
最新EMSを活用して理想的な筋肉を手に入れましょう
EMSはスポーツや医療現場で用いられているだけでなく、一般家庭向けのプロダクトも豊富です。毎日手軽に使えるものも多く、健康や美容のために行っているエクササイズやトレーニングの効率化にも役立つでしょう。
年々進化を遂げるEMS機器は、健康的な体づくりをかなえます。今後のさらなる技術の発展に注目していきましょう。