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ポッキーを使って、楽しくておいしい学びを。プログラミングの基礎が身につく「GLICODE®」とは?【やさしいテック学】

2024.06.04(最終更新日:2024.06.04)

読了時間目安 14

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フィンテックやフェムテック、アグリテック、エドテック……日々進化し続けるテクノロジーと特定の領域をかけ合わせた、「◯◯テック」。最近よく耳にするけれど、実際、どのような技術が使われていて、なぜ注目されているのか? よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

【やさしいテック学】では、現役大学生の世良マリカさんが、気になるテック業界の有識者へインタビューを敢行。目まぐるしく変化するテックについて、学んでいきます。

本企画も、第10回目に。今回は、ポッキーやビスコなどのお菓子でおなじみの、江崎グリコ株式会社に取材を敢行。実はグリコは、次世代を担う子どもに向けて、ポッキーを使って楽しくプログラミングを学べる無料アプリ「GLICODE(グリコード)※1」をリリースしているのだとか。

「ポッキー×プログラミング」とは、一体どういうことなのか……? 実際に体験をしながら、開発の背景や教育現場での活用について伺っていきます。


※1…「GLICODE®」は江崎グリコのプログラミング教材の登録商標です。

楽しくておいしい学びで、子どもたちの健やかな成長を

▲写真左・グリコ株式会社 デジタル推進部 東浦佑真(ひがしうらゆうま)さん

今回は、「GLICODE」の担当者であるデジタル推進部の東浦さんにお話を伺いました。

世良マリカ(以下、世良):本日はどうぞよろしくお願いします。ちなみに私は、ポッキーの中では「極細」派です!

東浦佑真(以下、東浦):ありがとうございます(笑)。たしかに、「極細」は根強い人気ですね。今回世良さんに体験いただくのは、そんなポッキーを使ってプログラミングの基礎を学べるアプリです。

世良:ポッキーでプログラミング......? 正直、全然イメージが湧いていないです。

東浦:そうですよね。端的に言うと、ポッキーの並べ方がプログラミングの命令となっており、ポッキーを縦に置いたり斜めに並べたりすることで、画面上のキャラクター「ハグハグ」を動かしていく、というイメージです。実際にやっていただいた方がわかりやすいと思うので、ぜひさっそく体験してみませんか?

▲正しくプログラミングができると、キャラクター「ハグハグ」が迷子の少年を救ってくれるというストーリー

世良:はい、ぜひ! と言いつつ、難しそうだけど大丈夫かな。

東浦:小学校低学年のお子さんでも楽しめるように設計されているので、ご安心ください!

案外かんたん!自然とプログラミングの基礎が身につくステージ設計

東浦:用意するものは3つです。まずは、「GLICODE」をダウンロードしたスマホやタブレットなどの端末。そして、ポッキーとそれを並べるキッチンペーパーですね。実際にお菓子を触るので、きちんと消毒してから行いましょう。

世良:わ〜チョコレートのいい匂いがする(笑)。ちなみに、ポッキーはどんな種類でも大丈夫なんですか?

東浦:画像認識技術で、ポッキーのチョコレート部分を矢印として認識するので、チョコレート系のポッキーであれば基本的に大丈夫です。ちなみに形は同じでも、プリッツは色が均一なのでNGですね。

世良:なるほど。実際に「GLICODE」の画面を見てみると、コースの数がかなり多いですね。

東浦:はい。「GLICODE」には、プログラミングに用いられる「シーケンス」「ループ」「イフ」の3つのステージがあります。これらの基礎的な要素を使ってハグハグを動かし、泣いている子どもを助けられたらクリアです。まずは、“順番に実行する”という考え方の「シーケンス」からやっていきましょう。

世良:1番簡単なコースをプレイしてみます! この「シーケンス」では、ポッキーのチョコレート部分を右に向けると、ハグハグが右へ、下に向けると下へ動くんですね。

東浦:はい。子どもに辿り着けるようにポッキーを並べて撮影をすると、指示した順番通りにハグハグが動いて......

世良:子どもがここにいるから、ポッキーをこうして、こう置けばいいのかな。

世良:おお〜。無事泣いている子のところまで辿り着きました! クリアすると、ハグするのが可愛いですね。

東浦:これだけでも、ハグハグを動かすプログラムを一つ構築できたことになります。つづく第2ステージの「ループ」は、その名の通り“繰り返し”です。ポッキーをハの字に置くと、その間に置いた指示を繰り返します。

世良:ハの字ですね……! 頑張ってみます!

世良:わ、ループだとハグハグがスケボーに乗って動くんだ! 一気に右に移動したいときには、下向きのポッキーをハの字で挟めばいいんですね。

▲ステージをクリアでき、嬉しそうな世良さん

東浦:そうです。第3ステージの「イフ」は、“場合分け”。ボタンを押したときにだけ実行する仕組みになります。ちょっと複雑なコースのときに使えるものですね。たとえば、右に進みつつ、あるポイントで上に移動したいときは、右に進む「ループ」をプログラムして、タイミングを見てAボタンに仕込んだ上移動を実行すればOK。

▲イフを設定すると、コマンドボタンAが出現。ボタンを押したタイミングで指示ができる

世良:なるほど、ちょっとずつわかってきたかも。ゲーム性もあって、思ったよりもすっと理解できた気がします!

東浦:よかった! 言葉で聞くと難しいけれど、実際やってみると意外とできちゃうんですよね。最初はお手本通りに並べていけばクリアできますが、コースが上がると自分で考えてクリアすることが求められるので、自然と少しずつプログラミングの基礎が身についていく仕組みになっています。難易度が異なるステージが約40種類あり、クリアまでの道のりも一つではないので、楽しみながら学んでもらえると思います。

世良:子どもたちからすれば、ポッキーを買ってもらういい口実にもなりますね(笑)。

東浦:そうですね(笑)。ちなみに、この「GLICODE」のステージを自分で自由に作って遊べる「GLICODE MAKER(グリコードメーカー)」も、2020年にリリースしています。作ったステージは、QRコードでシェアすることができるので、友達と交換して遊んでみたり、コツを教え合ったりするのも楽しいと思います。

世良:へぇ~! ステージを作るところから自分で考えたら、よりプログラミングへの理解が深まるし、友達のアイデアに触れるのも新しい学びになりそうですね。

老舗お菓子メーカー・グリコの「デジタル×教育」への挑戦

世良:ポッキーを使って、こんなに手軽にプログラミングの基礎が学べるとは驚きでした。このアプリは2016年にリリースされたそうですが、開発のきっかけは何だったのでしょうか?

東浦:もともと私たち江崎グリコでは、創業以来「子どものココロとカラダの健やかな成長」への貢献をテーマの一つに掲げ、さまざまな取り組みをしてきました。子どもたちにとって、食べることと遊ぶことは二大天職と考え、お菓子とおもちゃを一つにした栄養菓子「グリコ」もその例ですね。

東浦:そうした文脈を踏まえつつ、次はデジタルを活用して、次代を担う子どもたちの健やかな成長を応援できないかという動きが生まれたんです。当時、日本のプログラミング教育は遅れを取っていると言われていました。そこで身近なお菓子を使えば、子どもたちも楽しく学べるかもしれないと考え、生まれたのが「GLICODE」です。当初はポッキーだけでなく、「ビスコ」や「アーモンドピーク」、「アソビグリコ」も使われていましたが、矢印の役割として一番シンプルでわかりやすく、世界的にも認知度が高いことから、ポッキーのみが残ったと聞いています。

世良:そうなんですね。老舗のお菓子メーカーでありながら、デジタル領域に着目して開発に至っているのがすごいなと感じます。

東浦:グリコは以前からデジタル活用に力を入れていて、当時の新しい試みとして「GLICODE」に取り組みました。非常に新しい試みなので、熱意を持って上層部に提案したそうです。

世良:へぇ〜! では、「GLICODE」の開発にあたって意識していたことや、ほかのプログラミング教材にはない強みは何でしょうか?

東浦:意識していたのは、子どもたちにどう興味を持ってもらうかという部分だと思います。プログラミングというと、どうしても難しいイメージがあるじゃないですか。

世良:そうですね……。私も大学のC言語でプログラミングを勉強しましたが、最初はだいぶ抵抗がありました(笑)。

東浦:大人でさえ難しいですもんね……。小学校低学年くらいの子たちは、最初の掴みが弱いと、全く興味を持ってくれないことが多いみたいで。その点、「GLICODE」はがっつりプログラミングを学ぶ教材というよりも、興味を持つ入口として、身近なお菓子を使って楽しみながら学べるところが強みなのかなと思います。

世良:楽しい方が学ぶ意欲も湧くし、結果的に吸収するスピードも早そうですよね。そんなアプリが誰でも無料でダウンロードできて、すぐに遊べるというのはかなり魅力的だなと思いますが、今はどんな場面で活用されているんですか?

東浦:最近、シリーズ累計で約70万ダウンロードを突破したのですが、やはり教育現場で活用いただくケースが多いですね。リリースされた年に、総務省事業の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」に採択いただいたり、文部科学省のプログラミング教育のポータルサイトで紹介されたりして、現在までに全国、全世界で560校以上の小学校で使われています。実際の授業でも、いろいろ試行錯誤をしながら前のめりに取り組んでくれるお子さんが多いようで、学校の先生たちからはご好評をいただいていますね。

教育現場に貢献できるよう、さらに大きく育んでいく

世良:大学のプログラミングの授業でも、最初にこの「GLICODE」を体験する時間を組み込んでほしいです……! 最初のアプリのリリースから約8年が経ちますが、そのなかでアップデートしてきたことや、今後新たに予定していることはありますか?

東浦:学校で活用いただくことが多いので、現場の声を拾ってアップデートした点はいくつかありますね。たとえば、衛生面への懸念を踏まえて、昨年から本物のポッキーを使用しなくても、画面内のポッキーを並べて操作できる「タッチモード」を導入しました。

世良:これだったら、場所を選ばずにどこでもできますね!

東浦:そうですね。もちろん、私たちとしては実際にポッキーを使ってやってもらえたら嬉しいのですが、教育現場では実際のポッキーを使えないこともあるので、「タッチモード」での代用もできるようにしました。あとは、プログラミング経験のない先生たちでも簡単に教えられるように、授業用教材のコンテンツパックの提供を無償で始めました。それによって、使ってもらえる小学校がさらに増えればいいなと考えています。

世良:先生たちへのガイドラインまであるんですね……!

東浦:2025年度からは、大学入試にも情報科目が入りますし、今後ますますプログラミング教育の重要性は増していくと思います。私たちとしては、これからも教育現場に貢献できるように随時課題に取り組みつつ、もう少しステップアップした内容のものも作っていけたらなと考えています。

世良:身近なお菓子を使って、楽しく、おいしくプログラミングを学べるというのが本当に新鮮でした。より多くの方に体験してみてほしいですし、今後さらにアップデートしていくのも楽しみです! 本日はありがとうございました!

[聞き手]
世良 マリカ(せらまりか)

神奈川県出身。世界三大ミスコン「ミス・ワールド2019ジャパン」にて、史上最年少16歳、現役高校生で「ミス・ワールド2019日本代表」に選出。慶應義塾大学2年生。また環境問題や教育格差、貧困問題などSDGsに関心を持ち、関心を持ち、学業にも励んでいる。
【X(旧Twitter)】
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[プロフィール]
江崎グリコ株式会社 デジタル推進部 東浦佑真
データ・デジタルを活用した新規事業創出や「GLICODE」などの既存サービスの開発・運営など、Glicoグループ全体のデジタル領域のサービス開発を手掛けている。


(文・むらやまあき、写真・飯山 福子、編集・高山諒)