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高価格&多様化するドライヤーは“ヘアケアできる美容家電”という新境地へ

2024.05.22(最終更新日:2024.05.22)

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ここ数年、急激に高価格化が進んでいるドライヤー。値段が高くても、毎日使うものだけに違いが出ると考えられ、「高くてもその価値はある」と購入する人が多いのです。では近年の高級ドライヤーには、どのような機能が搭載されているのでしょうか。時代のニーズに合わせて進化を遂げる最新ドライヤー事情についてご紹介します。

かつてのドライヤーが髪を傷めやすい理由

ミドル世代以上の方の中には、ドライヤーをかけすぎると髪が傷むイメージをお持ちの方も多いかもしれません。ドライヤーは髪の水分を蒸発させて乾かしていますが、その蒸発を促す2大要素となるのが熱と風。髪に温風を吹きかけると髪周辺の温度が高くなり、飽和水蒸気量が多くなるため蒸発が促されます。同時に風で吹き飛ばすことで、髪周辺に湿気が留まらず、効率的に髪が乾かせるのです。

かつてのドライヤーは風が弱かったため、それを補うため温度を140℃などの高めに設定する傾向にありました。しかし髪は高温にさらされると髪を構成するケラチンと呼ばれるタンパク質が変性して元に戻らなくなってしまいます。これが髪がダメージを受けた状態。さらに温度が高いと、「夏のお風呂上がりに髪を乾かすと再び汗をかいてしまう」といった不満の声も増えてきます。

ダメージを抑えながら速乾するという新たな価値

東京・表参道にある「パナソニックビューティー表参道」では、パナソニックの美容アイテムが試せる。同社によると男性客も多いという(筆者撮影)

上記の理由から、ドライヤーの熱からヘアダメージを抑えるには、風の温度を髪が傷みにくいとされる80℃以下の低温に設定する必要があります。しかし、ただ温度を下げただけでは乾燥能力が落ちてしまうため、忙しい現代人にとっては負担になります。さらに髪は濡れているとキューティクルが開きやすい状態になり、摩擦によってキューティクルが剥がれたり、髪の内側の水分や栄養分が逃げやすくなるなど、やはりヘアダメージの要因に。

そんな課題に立ち向かったのが、パナソニックが2005年より発売している「ナノケア」シリーズです。一般的なマイナスイオンの約1000倍の水分を含むとされる「ナノイー」を発生させ、髪に潤いを与えるというもので、2022年7月時点での累計出荷台数1,500万台を突破、2012年度~2021年度の10年連続で国内出荷台数シェア1位を獲得(日本電機工業会出荷統計)するなど、ドライヤーの付加価値向上に一役買いました。

さらに高級ドライヤーの意義と価格を一気に押し上げたのが、2016年に登場した「Dyson Supersonicヘアドライヤー」です。独自の小型ハイパワーモーターを搭載することで従来の常識を覆す風量を可能とし、低温でも速乾を実現。時短と同時に風圧によりキューティクルが整うといった訴求も受け入れられ、従来の高級ドライヤーの2倍を超える45,000円(当時)ながら業界を席巻しました。以来、各メーカーから独自の技術を搭載したドライヤーが続々登場し、高価格・高付加価値化に拍車をかけています。

独自のイオンを発生させることで美髪を実現

シャープの「プラズマクラスタードレープフロードライヤー(IB-WX901)」は4つの穴から風を吹き出し、髪を揺らしながら乾かす独自技術で速乾を実現(筆者撮影)

ドライヤーの中には、マイナスイオンを搭載したものが多くあります。髪はプラスの静電気を帯電しやすい性質があるため、マイナスイオンを与えると中和され、静電気を抑えて髪の広がりや摩擦を防ぐ効果が期待できるのです。さらにマイナスイオンを与え続けると、髪がマイナスに帯電し、今度はマイナス同士で反発してしまうとの考えから、プラスイオンとマイナスイオンを発生させるものもあります。

パナソニックとシャープは、独自のイオンを発生させることで、髪の水分量をアップさせるほか、さらなる美髪効果を訴求しています。パナソニックのヘアケアドライヤー「ナノケア(EH-NA0J)」(実勢価格38,610円)が発生させる「高浸透ナノイー」は、水分発生量が従来のナノイーの18倍となり、毛髪水分増加量が1.9倍に。またシャープの「プラズマクラスタードレープフロードライヤー(IB-WX901)」(実勢価格44,000円)も、水分をたっぷり含む「プラズマクラスターイオン」が髪をコーティングし、しっとりした髪に導くとしています。いずれもキューティクルが保護されることから、ヘアカラーの退色を抑える効果も期待できます。

形も小型ヘッド、コンパクトスリムで扱いやすく変化

A-Stage「Re・De Hairdry DR01A」は折りたたむとバトンのようにスリムに。スタンドは収納時だけでなく、ハンズフリーで髪を乾かしたい時にも(筆者撮影)

従来のドライヤーは長いヘッドの後方にモーターやファンが搭載された、いわゆるピストル型と呼ばれる形状が一般的でした。この形状で大風量化を目指すとモーターやファンを大きくする必要があり、よりヘッドに重量がかかります。そのためヘッドがふらつきやすくなるため手首に力を入れたり、ヘッドが長いぶん腕を高く上げなければならず、疲れやすいといったデメリットも。そんな中、ダイソンはハンドル部にモーターを内蔵することでヘッドが短い形状を実現し、取りまわしやすさの重要性が注目され、今ではヘッドが短いドライヤーも珍しくなくなっています。

一方で、ここ数年増えているのが、スリムかつコンパクトなドライヤーです。従来の大風量ドライヤーの中には600g以上のものもありましたが、2022年に発売されたA-Stage「Re・De Hairdry DR01A」(実勢価格29,700円)は、大風量ながら本体重量はわずか255g。またウィナーズ「FESTINO(フェスティノ)」から登場した「ツヤモイスト ドライヤー SMHB-029」(実勢価格25,300円)も重量270gしかありません。これらはヘッドが長くても軽いため、腕への負担を大幅に軽減。気になる風量も、ブラシレスDCモーターなどの高性能モーターや風量・風圧を増幅する内部設計により、コンパクトでもパワフルな風を実現しています。

2025年には市場の4割以上が高価格製品に

ドライヤーに美容機器としての機能をいち早く搭載したヤーマン。頭皮をケアできるため、男性にも人気がある(筆者撮影)

ほかにも髪が高温にさらされるとダメージを受けることから、温度センサーを搭載し、過加熱になる前に自動制御するものや、遠赤外線を搭載し、髪を内側から温めて速乾を促すもの、温風と同時に美容液ミストを噴霧して髪をコーティングするものなど、様々なアプローチでヘアケアするドライヤーが登場。さらに美容家電メーカーのヤーマンは、ドライヤーに音波タッピング機能を搭載し、頭皮はもちろん顔のリフトケアもできる「リフトドライヤー」を発売するなど、いまやドライヤーはヘアケアできる美容家電としての位置付けを色濃くしています。

実際、富士経済が2024年1月に発表したレポート(※)によると、ヘアドライヤーは2023年、前年比31.8%増と大幅な伸びが見込まれており、販売金額は200億円を超えると予想。中でも単価3万円以上の高価格帯製品の比率が上昇するとみられるとしているとしています。今後は、さらに差別化が進み、ヘアケア機能の向上など高機能化を進めていくとし、2025年には市場の4割以上を高価格帯製品が占めると予想しています。

付加機能を比較しつつ店頭で触って体感を

以上のようにドライヤーは年々高価格化していますが、高いのにはそれなりの理由があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。一方でメーカーによって機能が異なるため、何を選んだらいいか迷ってしまうかもしれませんが、ヘアケアの基本は、髪を傷めないことと、髪を守ることの二本柱。髪を傷めないためには、低温かつ大風量・大風圧のドライヤーで速乾させるといいでしょう。また、過加熱にならないセンサー制御してくれるものもおすすめです。

そして、髪を守るためには、水分子を含むイオンや美容液ミストで髪をコーティングしたり、遠赤外線を発生させるもので、プラスアルファのケアができるのもいいと思います。ただし値段が高ければ高いほど高性能とは限りませんので、あまりに高いものは、高い理由が納得できるものであるか確認を。また家電量販店や美容室で販売しているものは、実際に手に持って重量感やバランスを確かめてみると安心です。


〈著者〉
田中真紀子
家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。
その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆。
出産を経て、子育てと仕事の両立に悩む中、家事をラクにしてくれる白物家電、エステに行けなくても自宅美容できる美容家電に魅了され、家電専門ライターに。現在は雑誌、webにて執筆するほか、専門家として記事監修、企業コン
サルタント、アドバイザー業務もこなし、テレビ・ラジオ出演も多数こなす。
これまで執筆や監修に携わった家電数は1000近くに及び、自宅でも常に多数の最新家電を使用しながら、生活者目線で情報を発信している。
公式サイト:https://makiko-beautifullife.com/