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最新スマホアプリで趣味が広がる!「楽器演奏」の新しいカタチ

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2023.06.14(最終更新日:2023.06.14)

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ポピュラーミュージックの歴史の中心には、長らく生楽器が存在してきました。しかし近年は作曲からアレンジまでをPC上で行うプロデューサーやミュージシャンが世界中で活躍しています。テクノロジーの進化は生楽器を駆逐するのでなく、新たな音楽表現の手段として、演奏者たちに大きな影響を与え始めました。演奏や作曲がもっと簡単に、身近になりつつあるのです。

「楽器演奏が趣味」という人はどれぐらいいる?

総務省の統計局が2016年に行った「社会生活基本調査」によると、10歳以上の国内推定人口約1億1330万人に対し、約11%にあたる約1,240万人が楽器演奏を楽しんでいることがわかりました。単純に計算しても、10人に1人という水準です。

また一般社団法人のヤマハ音楽振興会が2022年に発表した調査によると、20~50代の働く男女500名のうち「今後、楽器を始めたい」と考えている人の数は、全体の約43%にも上ることが明らかになっています。コロナ禍でおうち時間が増加したこともあり「新たな趣味を開拓したい」と考える人が増加したのではないでしょうか。

ひとりで地道に練習できる楽器として連想しやすいのは、ギターやピアノ。また音楽サークルでの活躍に結びつきやすいバイオリンにも人気が集まります。幼少時代に習い事のひとつとして始めた経験のある楽器に「いま一度トライしてみたい」と考える人も多いようです。

意外と古い!?「電子楽器」のヒストリー

ピアノやバイオリン、そしてアコースティックギターなどは楽器本体さえあればその場で演奏ができます。そのため生楽器には非常に長い歴史があり、世界中でさまざまな音楽文化を形成してきました。

一方、19世紀の電気の発明から約300年後にあたる20世紀初頭のロシアで「テルミン」という電子楽器が発明されます。微弱な電流を帯びたアンテナの間に手をかざすことで演奏するこの楽器には、独特の幽玄な響きがあり、いまなお人気です。しかし本格的な電子楽器の開発は、第二次世界大戦後の1950年代にスタートしました。ピアノと同じ鍵盤を有する電子オルガンを経て、1952年にアメリカのコロンビア大学がシンセサイザーを発明。電子回路を活用し、一台でさまざまな音を電子的に合成するシンセサイザーが、1960年代に販売開始されたのです。ピアノと同じ鍵盤を有する電子オルガンを経て、1952年にアメリカのコロンビア大学がシンセサイザーを発明。電子回路を活用し、一台でさまざまな音を電子的に合成するシンセサイザーが、1960年代に販売開始されたのです。

シンセサイザーを活用したポップスは60年代の試行錯誤を経て、70年代に本格化します。その後もディスコブームやパンクロック以降のニューウェーヴシーンで積極的に採用された電子楽器は、よりダイナミックなグルーヴを獲得し一般化していきます。

また90年代にオーバーグラウンド化し、現在に至るブラック・ミュージックはもともと、ミュージックシーケンサーやドラムマシンなど、電子楽器を活用したアレンジが基調となっていました。さらに近年、世界中で巨大な市場と化しているダンスミュージックの現場では、DJがプレイする楽曲はほぼすべてPC上のソフトウェアで製作されています。現代において、電子楽器は楽曲制作に必要不可欠となったのです。

スマホの進化で「楽器練習」のカタチにも変化が

クラブやフェスでプレイされるダンスミュージックの多くはPCで製作されていることを述べましたが、ITの発達によりDJのプレイ法にも変化が生まれています。以前、DJたちはレコードやCDをクラブに持参したものですが、近年はノートパソコンひとつで来場。インストールした専用アプリを活用しながら、PC上の楽曲データをミックスしています。同様の変化が、生楽器の練習法にも及んでいることをご存知でしょうか? その実例を見ていきましょう。

電子ピアノやキーボード練習が10倍楽しくなるアプリ

数千円のミニキーボードから、数十万円の電子ピアノまで、幅広いラインナップが人気を博しているカシオの電子楽器。同社はそのユーザーに向けたスマートフォンアプリ「CASIO MUSIC SPACE」をリリースし話題を呼んでいます。

「楽曲の再生に合わせ、次に引くべき鍵盤や音の高さ、そして長さを視覚的に表示」する機能で個人練習をサポートするほか、録音や採点機能も搭載。自分の演奏をスコア化することで、ゲーム感覚の楽しい上達を促します。

またライブ演奏を疑似体験できるという、ユニークな機能も搭載。スタジアム、ホール、ライブハウスといった会場に加え、ビーチなど自然のシーンも用意し、まるで聴衆が耳を傾けてくれているかのような拍手や歓声などのパフォーマンス体験まで与えてくれます。もちろんアプリを通じ、音色などの設定変更も手軽に行えるので、ピアノ練習がもっと便利に、楽しくなることは間違いありません。

うるさくて場所を取るドラムの練習問題が一気に解決

スネア、バスドラ、シンバルやハイハット……、すべて並べるとかなりの場所を取るのがドラムセット。練習の際にも、かなり大きな音が出ます。このためドラム演奏を楽しみたい人は有料の音楽スタジオに通い、練習に励むしかありませんでした。

しかし近年、場所を取らず騒音も出さない本格的なエアドラムシステムがスウェーデンで開発されました。「Freedrum」という名称の同商品は、アメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」を通じ、商品化されています。

ドラムスティックや足にデバイスを装着、スマートフォンに専用アプリケーションをインストール/ペアリングしたうえで空中を叩くと、ヘッドフォンから生ドラムの音が聞こえます。ドラムセットの感触をある程度理解している中級者以上にとっては、革新的練習システムとして歓迎されています。

2016年に登場した「Freedrum」ですが、2020年に「Freedrum2」が登場。サブスクリプション導入など、さらなる進化を遂げているようです。

いつでも手軽にギターのコード学習

初心者がギターの練習をするためには、人から教えてもらったり、教則本や楽譜を購入したりする方法が一般的でした。しかし現在では、ギター練習をサポートしてくれるスマートフォンアプリが多数配信されています。

ギターがまったく初めてというなら、スマートフォンの画面上にコードの押さえ方が表示される「押さえ方表示機能」を搭載したアプリがおすすめ。さらに各コードの正しい音が聞ける「コード音声再生機能」があれば、自分が弾いている音が正しいかどうか分からないというときに便利です。

たとえばシンプルな操作性で特に初心者から好評の「ギターコード(ベーシック)」は、「押さえ方表示機能」や「コード音声再生機能」を搭載した無料アプリです。弦をタップ・ストロークすれば音が再生されるほか、左利き用ギターにも対応。「U-FRET」は「コード音声再生機能」を搭載していないものの、7万曲以上のギターコードや楽譜が見放題で、「弾きたい曲が見つかる」と支持されています。

弾いているだけじゃつまらない! 作曲や楽曲制作までをアプリがサポート

楽器演奏やバンドセッションによって生まれる楽曲は、非常に魅力的です。しかし、最近では多くのアーティストがパソコン上で作曲を行い、自分自身でアレンジやプロデュースを手がける「ひとりユニット」と呼ばれるスタイルが世界中で広まっており、そうして作られた楽曲がヒットを飛ばしています。

かつて楽曲制作は、楽器を持ち込み、音響・録音設備のあるスタジオで収録して行われていました。しかしながら、スタジオ利用にはどうしても費用がかかり、なかなか手軽に利用することができない課題がありました。1980年代初頭には、そういったニーズに応えるかのように広いスペースや多額の資金がなくても購入可能な録音機材が登場し始めました。。さらにシンセサイザーやリズムマシン、サンプラーなどが普及し始め、現在に連なる作曲や編曲のアイディアが生まれていきました。IT時代が本格的に到来した2000年代には音楽制作ソフトウェアが急速に進化、生楽器にこだわりのない人たちは、楽曲制作の現場をスタジオからPCへ移していったのです。


そして近年はスマホアプリで気軽に作曲できる時代が訪れています。録音から打ち込み、編曲、そして書き出しまで、あらゆる作業ができてしまうアプリが実際にリリースされているのです。「作曲にはある程度の知識が必要なのでは?」と思う人が多いかもしれませんが、中には「適当な音階を指定しても、音楽理論に沿った音階に補正してくれるアプリ」まであるので心配無用。またビートからギター、ベース、シンセサイザーなどはアプリ内音源を使用、または購入できるので、アレンジに困ることもありません。

アプリによっては楽曲の公開機能も搭載されており、オリジナル楽曲を世界へアピールできるチャンスもありと、夢は広がります。これまでは楽器ができる人たちだけのものだった作曲にトライしてみたい方は、要注目です。

[プロフィール]
西本不律
東京都出身。雑誌編集部、編集プロダクション、IT企業クリエイティヴを経たのち、フリ
ーランスライターとして活動中。