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「2次元キャラの推しに会いたい」を叶える3Dライブ!

2023.06.15(最終更新日:2023.06.15)

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若者を中心に「推し活」が広がりをみせています。実在のアイドルだけでなく、アニメやゲームの2次元キャラクターなど、推しの存在は現実世界にとどまりません。イベントに参加したり、グッズを集めたり、推しが登場するスマホゲームに熱中したり、推し活の形態はさまざまです。

なかでも近年めざましい勢いで発展しているのが、2次元キャラクターが開催する3Dライブです。本記事では、数ある推し活のなかでも、年々進化を遂げている3Dライブに焦点を当てて紹介します。

3Dライブの普及

これまでは2次元キャラクターがライブを行う場合、キャラクターの声を担当する声優が舞台に立ち、キャラクターが劇中で歌っている楽曲をパフォーマンスする形が一般的でした。

しかし2010年代後半から、2次元アイドルがデジタルデータとしての存在を維持したままに、3Dライブを行うという形が急速な広がりを見せました。3Dライブ技術の発展に伴って、近年は2次元キャラクターの動きが非常に滑らかになり、より一層リアルな存在感でキャラクターを観賞することができるようになりました。

現在では多くのコンテンツで、キャラクターたちが実際に歌って踊る3Dライブが開催されています。「推しキャラが歌って踊るところを直接見たい!」という、ファンであれば誰もが一度は抱く願望が、3Dライブの普及によって叶えられるようになりました。

3Dライブの仕組みと特徴

3Dライブと一言で言っても、実際に観たことがない方はイメージがつかないかもしれません。3Dライブとは、人物の動きをカメラやセンサーを用いてデジタル化し、キャラクターに投影するモーションキャプチャーの技術や、3Dモデリングなどの最新技術で制作されたライブのことです。

キャラクターの3Dデジタル映像をいくつものプロジェクターでステージ上に設置した透明大型スクリーンに投影し、立体的に見せることで、まるでキャラクターが現実に存在して動いているように演出します。キャラクターそのものが実際にステージ上で歌って踊っているかのように見えるため、臨場感溢れるライブ体験がかないます。

2次元キャラクターの3Dライブは通常のアーティストによるライブと同様、会場を埋め尽くすファンたちの熱気と歓声に包まれながら行われるため、まるで、推したちが目の前に実在しているかのような感覚を味わうことができます。そのリアルな存在感は、これまで2次元と括られて、私たちが生きる世界と大きく切り離されてきた推しとの接触可能性さえも感じさせます。

筆者自身も推している、「あんさんぶるスターズ!!」の3Dライブを初めて観たときには、推しが見せる細やかな手足の動きや、歩き方、他のキャラクターとの掛け合いのリアルさなどに驚きました。目の前に彼らが実在し、手を伸ばせば触れられるのではないかと感じたことを、鮮明に覚えています。

大好きな2次元キャラクターのライブに足を運んだことのあるファンならば、誰もが感じる感覚なのではないでしょうか。3Dライブの普及は、推し活をする人々に多くの衝撃と感動をもたらしました。

3Dライブを導入しているコンテンツの代表例

2次元ファンたちを熱狂の渦に巻き込んでいる3Dライブですが、具体的にどんなコンテンツがあるでしょうか。特に3Dライブに力を入れているものをいくつか見ていきましょう。

初音ミク

3Dライブの先駆けとも言えるのは、やはりなんと言っても初音ミクです。3Dライブを知らない人でも、初音ミクというキャラクターがCGで歌って踊る姿を見たことのある人は多いのではないでしょうか。

初音ミクのライブは、主催団体によってさまざまな企画がありますが、なかでも代表的なステージが「マジカルミライ」です。2013年から毎年開催されており、3DCGライブと企画展から構成されるイベントです。3DCGライブは年々進化を遂げています。

2017年の企画展ステージでは、「リアルタイム3DCGコントロールシステム(R3/アールスリー)」という技術を使った体験型ライブが行われました。R3というのは、事前にキャラクター映像を作成しておく従来の技術に代わって、ライブ中の観客の反応や生演奏のタイミングに合わせてキャラクターを動かす技術のことです。

2019年の「マジカルミライ」からは3DCGライブ本編でも導入されました。リアルライブを追求する技術が今後どのように進化していくのか注目です。

あんさんぶるスターズ!!

育成ゲームスマートフォンアプリのなかで絶大な人気を誇る『あんさんぶるスターズ!!』(『あんスタ』)は、私立夢ノ咲学院を舞台に、男子アイドルの育成を行うアイドルプロデュースゲームとしてスタートしました。現在は『アンサンブルスクエア』という芸能事務所が入ったビルディングを舞台にアイドルたちの人生模様を楽しむことができます。

2015年リリース時の『あんさんぶるスターズ!』に追随して、2020年には3Dリズムゲーム『あんさんぶるスターズ!!Music』がリリース。数あるリズムゲームのなかでも高い3D技術で爆発的な人気を博して います。

『あんスタ』は2017年から『DREAM LIVE』(「スタライ」)という3Dライブを続けています。これまでに計7回開催しており、参加ユニットの追加や海外でのライブビューイング開催などその規模は年々拡大を続けています。公演を重ねる毎に3Dモデルの精度が向上し、ライブの完成度は高まるばかり。

1stライブでは、キャラクターがマイク以外を手にしてパフォーマンスをすることはありませんでしたが、2ndライブ以降は、扇子や刀などの小道具をもち、パフォーマンスの幅が広がりました。

人物以外の小道具や装飾品なども、高いモデリング技術により精緻に表現されているため、作品の世界観へぐんぐん引き込まれます。

また、キャラクター自身については、顔の造形が公演を重ねるごとに鮮明になり、表情も多彩に。衣装や髪などのディティールは質感までが豊かに表現され、目に見えて進化を遂げています。さらに、年々ダンスのクオリティも発展しています。

加えて、『DREAM LIVE』は、3Dライブに生演奏を組み合わせていることも大きな特徴です。迫力の生演奏がライブの臨場感、観客の高揚感を牽引します。ライブに参加すれば、「いま自分はこの瞬間、ずっと憧れてきた推しと同じ空間にいるのだ!」と、心底感じる時間を味わうことができるのではないでしょうか。

うたの☆プリンスさまっ♪

2010年に家庭用ゲーム機にて1作目のタイトルがリリースされて以来、CDやアニメ、スマートフォン向けリズムゲームなど、さまざまな展開を続ける、女性向けコンテンツの先駆けとも言われる『うたの☆プリンスさまっ♪』(「うたプリ」)。

アイドルグループ ST☆RISHとQUARTET NIGHTによる合同ライブとして、「SHINING STAR STAGE」(「SSS」)という3Dライブを開催しています。「SSS」は開催が2021年からと比較的新しいこともあり、1stから臨場感あふれるクオリティの高いステージを展開。

「仮想照明リアルタイム合成システム(RES/エクセレス)」というCGキャラクターに、リアルタイムで擬似立体的な照明効果を組み込むシステムを搭載し、キャラクターに実体をもたせることでよりリアルなステージを実現しています。

CG STAR LIVE

株式会社バンダイナムコアミューズメントが2018年頃よりサービスを展開している、CGキャラクターのライブが楽しめるアミューズメント施設「CG STAR LIVE」。これまで多くの2次元コンテンツのライブが行われ、『アイドリッシュセブン』や『アイドルマスター シンデレラガールズ』、『うたの☆プリンスさまっ♪』など人気タイトルのライブが開催されました。

「CG STAR LIVE」の特徴は、キャラクターの問いかけに対して観客がペンライトの色や声援で答え、その結果で内容が変化する「コミュニケーション型ライブ」だということ。自分が参加した公演で進んだ選択肢とは内容が異なるため、別のライブも気になり、ファンは何度でも通いたくなります。

3Dライブは今後も「推し活」を盛り上げるイベントに!

さまざまな2次元コンテンツが開催してきた3Dライブ。キャラクターが同じ空間で歌って踊る姿からは、細かな表情や所作を見ることができ、これまで気づかなかったキャラクターの新たな魅力も発見できます。3Dライブを通して、推しが増えた人も多いのではないでしょうか。

また、もとのコンテンツを知らない人でも、ライブを通じてそれぞれのキャラクターの魅力を感じることができるため、3Dライブを入り口にもとのコンテンツにハマるきっかけになることもあります。

さらに、3Dライブは1日に2〜3公演、数日にわたって開催され、公演ごとにMCを担当するキャラクターが違うのも特徴です。公演によって、推しが見せてくれる姿はさまざまです。

現実のアーティストのライブと同じように、ひとつひとつの公演がその時限りの特別なもの。次元の垣根を越えるような工夫が随所に施されており、ファンは公演期間中に何度もライブに足を運びたくなります。

残念ながら私たち生身の人間が2次元へ行くことはできません。しかし、3D技術の発展のおかげで、2次元アイドルたちが私たちのいる世界に歩み寄ってきてくれるようになりました。

「2次元の推しに会いたい」という、ファンたちがずっと抱いてきた夢に対する、「キャラクターたちを『存在するもの』としていかに魅せるか?」に心血を注ぐ制作陣の熱い思い。それにテクノロジーの進化が加わり、爆発的な推進力が生まれることが、昨今の3Dライブのめざましい発展に繋がっているのではないでしょうか。

[プロフィール]
荒木理沙
企画から執筆・編集まで多彩なメディアのコンテンツ制作に携わる編集プロダクション・かみゆに所属。得意ジャンルは日本史、世界史、美術・アート、エンタテインメント、トレンド情報など。