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ルート算出のため部屋の間取りを認識し、「水拭き」にも対応…最新〈ロボット掃除機〉による驚きの“時短効果”をシミュレーション

2023.10.31(最終更新日:2023.10.31)

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米・アイロボット『ルンバ』が2002年に日本に上陸して以来、急速に普及したロボット掃除機。もはや生活の一部になっているという人も多い一方で、「きちんと掃除してくれるとは思えない」「床を片づけるのが大変で、自分で掃除したほうが早い」など、懐疑的な意見も聞かれます。

しかし近年のロボット掃除機は大幅に進化しており、上のような不安を解消する機能を搭載した機種が増えています。ロボット掃除機はどのように進化したのか、またロボット掃除機を使うと家事時間はどれほど時短できるか、さっそくみていきましょう。

世界中で売れ続けるロボット掃除機…高価格帯は中国メーカーが牽引

2023年9月22日から発売されている掃除機&床拭きロボット『ルンバ コンボ j9+』(中央)

初期のロボット掃除機が登場したころ、よく聞かれたのが「おもしろ家電の延長」「キワモノ家電」という評価でした。自動で掃除してくれるロボットとはほど遠く、同じ場所ばかり掃除する、障害物にぶつかり巻き込む、段差から落下する、充電がすぐに切れる、迷子になる……とトラブルが続出し、これなら自分で掃除したほうが早い」と匙を投げる人も多かったようです。

あれから約20年、ロボット掃除機の進化とともに普及率は大きく伸長しています。

アイロボットの日本法人社長・挽野元氏によると、同社のロボット掃除機『ルンバ』ならびに床拭きロボット『ブラーバ』の国内累計販売台数は2022年時点で500万台を突破。さらに世界市場では累計販売台数4,000万台を超え、同社が目指す「ロボット掃除機 一家に1台」達成に向けてユーザーを順調に増やしています。

さらに英国の調査会社・ユーロモニターによると、2021年の世界のロボット掃除機の小売り販売台数は1,500万台を突破し、過去5年間の年平均成長率は20%を上回っています。

これらの立役者となっているのが、中国のロボット掃除機メーカー。中でもロボロック、エコバックスの攻勢が強く、ロボット掃除機市場全体の世界シェアNo.1はアイロボット(富士経済「グローバル家電市場総調査2022」メーカー別生産台数シェア 2021年実績)ながら、500米ドル以上の高価格モデルにおいては、ロボロックがアイロボットを抑えて1位となっています。

掃除の準備からお手入れまで「完全お任せ」

1つのドックにゴミ収集、モップ洗浄、給水機能を備えたロボロック『S7 MaxV Ultra』

では近年のロボット掃除機はどのように進化したのか、高価格モデルの機能に目を向けてみましょう。

1)間取りと自己位置を認識し、効率的なルートで掃除する
2)障害物を認識し、コード類やペットの粗相も避ける
3)スマートフォンやタブレットで外出先から操作できる
4)充電台に戻ると自動でゴミを吸引する
5)吸引力が大幅にアップ
6)掃除すると同時に床の水拭きも行う
7)水拭き用の水の給水からモップ洗浄、乾燥まで全自動

進化したロボット掃除機は、間取りを記憶し、どのルートで掃除するのが効率的かを考えて作動します。そのため同じ場所を何度も掃除したり、掃除し忘れたりということがありません。
また、いままでは床に落ちているものを巻き込んでエラーで停止したり、ときにはペットの粗相を吸い込んで大惨事になることもありましたが、これらのトラブルも回避できるようになっています。

スリッパを見つけ、障害物として回避する『ロボロック』

さらにロボット掃除機はダストボックスが小さく、すぐにいっぱいになってしまうのが難点でしたが、最新機種は充電台に戻るたびにゴミを吸い込んでくれるため、自身が行うゴミ捨ての頻度は数ヵ月に1回程度に抑えられるようになりました。

とくに近年、もっとも顕著なトレンドとされているのが、水拭き機能です。

モップも同時に搭載することで、掃除機がけと同時に水拭きをしてくれるだけでなく、ドックに大量の水を給水しておけば、ロボット本体への給水やモップの洗浄、乾燥まで行ってくれるのです。

つまりユーザーは、スマートフォンを操作するだけで、最初から最後まで掃除機に触れずに掃除を終えられるのです。

スマートフォンアプリに表示されるマップと掃除状況

実際、筆者も10年以上にわたってさまざまなロボット掃除機を試用してきましたが、ここ数年の掃除性能には目を見張るものがあります。とくにナビゲーションシステムが搭載されるようになってからは、エラーが格段に減り、床にスリッパや靴下が落ちていても、気にせず掃除できるようになりました。

ロボット掃除機の活用で「月12時間30分」節約できるケースも

ロボット掃除機を使うと、どれくらいのゆとりが生まれるのか、具体的にシミュレーションしてみます。

パナソニックが行ったアンケート(掃除機の頻度に関する調査|2022年3月)によると、掃除機がけの頻度は「毎日」と回答した割合がもっとも多く、約3割。さらにファミリー世帯向け住宅の掃除機がけの平均時間は、1回あたり30分〜と言われていますので、1ヵ月で掃除機がけに要する時間は、30日×30分=900分、つまり15時間と換算できます。

この掃除機がけをロボット掃除機に置き換えた場合、自分で掃除機がけをする時間はゴミに気づいたときに1日5分程度に減らせますので、掃除時間は1ヵ月あたり2時間30分。すべて自分で行うケースと比べ、12時間30分もの時間を節約できることになります。

しかも床拭き掃除も日常的に行っている場合、この時間の差はさらに広がることに。もしこの時間を労働に充てたとすると、約1年で高機能ロボット掃除機の本体代金が相殺される計算になります。

「ほとんど掃除していない」人を増やしたロボット掃除機

2023年9月28日に発売されたスクエア形状のエコバックス『DEEBOT X2 OMNI』

従来のロボット掃除機はゴミの吸い残しやエラーが多かったため、過去に使ったことがある人ほど「信用できない」と思っているかもしれません。

しかし前述のように近年は飛躍的に進化しており、いまでは「ロボット掃除機を導入してからほとんど掃除していない」という人も増えています。

高機能モデルは価格も高く、少し贅沢に感じるかもしれませんが、暮らしのプライオリティを考えて導入を検討してみるといいかもしれません。


〈著者〉
田中真紀子

家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。
その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆。
出産を経て、子育てと仕事の両立に悩む中、家事をラクにしてくれる白物家電、エステに行けなくても自宅美容できる美容家電に魅了され、家電専門ライターに。現在は雑誌、webにて執筆するほか、専門家として記事監修、企業コンサルタント、アドバイザー業務もこなし、テレビ・ラジオ出演も多数こなす。これまで執筆や監修に携わった家電数は1000近くに及び、自宅でも常に多数の最新家電を使用しながら、生活者目線で情報を発信している。