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厚底シューズだけじゃない!プロからアマチュアまで「ランナー」をサポートする最新テックとは?

2024.05.09(最終更新日:2024.05.09)

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ランナーをサポートする技術と聞いて思い出すのが、2019年9月に行われた東京五輪のマラソン日本代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」。出場した男子選手30名のうち半数以上の16名が「ナイキ」の新作厚底シューズで挑んだことが大きな話題となりました。このほかにも、プロからアマチュアまでのランナーをサポートするさまざまなテクノロジーが続々と登場しています。今回は、ランナーをサポートする最新テクノロジーの魅力に迫ります。

足型の3Dモデルを生成し最適なシューズをセレクト

ランニングやマラソンで欠かせないアイテムといえば、ランニングシューズですよね。しかし数ある商品のなかから、自分に合ったものを見つけ出すのは決して簡単なことではありません。そんなときに活用できるシステムとして浸透しているのが、世界中で導入が進む足型測定器「SafeSize」。日本ではスポーツショップの「スーパースポーツゼビオ」と「ヴィクトリア」にて、SafeSizeのシステムを利用した測定サービス「FeetAxis」を展開しています。

FeetAxisは、スキャナーを通じて足幅や厚さなどをミリ単位で計測。取得したデータを用い、つま先から足首までの形状を再現した3Dモデルを作り出します。計測データを分析して、土踏まずの形状タイプを診断することも可能です。

また測定用プレートの上で歩いたり走ったりすることで、足の動きを動的に分析。足裏のどのあたりに圧がかかっているのかなど、ランニング時の足の使い方を可視化できます。加えて、探したいシューズの種類やランニングする頻度、体重などいくつかの質問を通して、必要な機能面の特徴を算出。得られたさまざまな情報をもとに、最適なシューズを提案します。

自分の足の形を客観的に分析でき、目的に合ったスペックの商品を見つけやすいのは大きな利点です。もっとシューズにこだわりたいという人はもちろん、これからランニングを始めたいという初心者にも優しいテクノロジーだといえるでしょう。

国内メーカーもシューズ選びをサポート

ランナーのシューズ選びに役立つシステムはほかにも。

国内スポーツブランドとして有名な「ミズノ」は、競技中のパフォーマンスアップやトラブル解消をサポートする「ミズノフットケアステーション」を提供しています。

ミズノフットケアステーションは、専門スタッフが最適なシューズの提案やインソールの調整を行うサービスです。まず測定器で足の形や足圧をデータ化し、分析。足の中央部にほとんど圧がかかっていない“ハイアーチ型”、土踏まずを含む足裏全体が地面に着いている“扁平足型”など、足の使い方や体重のかかり方のクセをタイプわけしたあとに、スタッフがアドバイスを行います。

続いてスクワットやサイドステップなど任意の動作を通し、体の使い方のクセや苦手な動きを確認。これらのデータを加味して、スタッフとともにシューズを選んでいきます。またインソール選びでは、既製品からカスタム品まで幅広いアイテムの中から競技に合わせて選択可能です。

専門知識を持ったスタッフと直接やりとりをしながら細やかなアドバイスが受けられるので、記録を伸ばしたいランナーには特に有用なサービスといえるのではないでしょうか。

ランナー向けスマートウォッチで快適な走りを実現

快適な走りを支えるアイテムとなり、いまや多くのランナーが利用するスマートウォッチも大幅に進化を遂げています。なかでもアスリート向け時計ブランドの「COROS」が販売する「COROS PACE 3」は、ランナーにとって嬉しいスペックが満載です。

本製品はランニング・トライアスロンをはじめとした、スピードが重要となる競技向けにデザインされており、本体も超軽量。さらにGPSを利用したナビによって、走行ルートや標高、日の出および日の入り時間といった関連データを確認できます。長時間バッテリーを採用しているので、通常使用であれば17日間、GPSをフルに使用しても連続で最長38時間稼働させることが可能です。

さらに、専用アプリのルートページから目的地を設定し、好みのランニングルートを簡単に作れるのも特徴のひとつ。作成したデータはすぐに時計本体と同期できます。

文字盤の裏には高精度の光学式心拍センサーも搭載しており、心拍数はもちろん、トレーニング強度の計測や血中酸素濃度のチェック、睡眠時のモニタリングも行えます。また、水深50m相当の水圧に対応可能な耐水性も兼ね備えているので、ランニング中に雨に降られた場合でも安心です。

また英語のみの対応ではありますが、おすすめのトレーニングプランを無料でダウンロードできたり、専門スタッフから個別にコーチングを受けられたりするサポートも展開。「Apple Health」をはじめとするフィットネスアプリと連携でき、使い勝手がいいのも嬉しいポイントだといえるでしょう。

AIが最適なトレーニングプランを調整

通信機器メーカー「HUAWEI」も、ランニング用スマートウォッチの「HUAWEI WATCH GT Runner」を販売。約38.5gの軽量な本体に加え、通常使用で最長2週間稼働できるバッテリー性能、心拍数やトレーニング負荷の測定、GPSをはじめとする5種の衛星測位システムに対応したトラッキング機能など、充実したスペックを持っているのが特徴です。

なかでも注目すべきは、AIを活用したトレーニングプランのカスタマイズ。身長、体重、性別、心拍数、ランニング距離、走行ペースといったさまざまなデータをもとに、パフォーマンス向上に向けた目標を設定可能です。加えて1週間分のトレーニング結果をAIが分析し、翌週以降のプランを調整してくれる機能も搭載。無理せず長期的に取り組みやすいスケジュールで走ることができます。

さらにHUAWEIは、シューズや腰に取り付けてランニングフォームを分析するアクセサリー「HUAWEI S-TAG」も別売りで提供中。HUAWEI WATCH GT Runnerと合わせて利用すれば、より正確なランニングデータを参照できるので、自分の走りを多角的に理解できるでしょう。

アプリを通じて世界中のランナーとつながる

スマートフォンやスマートウォッチの普及により、ランナーにとっての定番ツールとなったランニングアプリ。数々のスポーツブランドからリリースされており、それぞれランニングを楽しく継続するのに役立つ機能があります。

「アディダス」のランニングアプリ「adidas Running」ではコース設定や距離、速度の管理はもちろん、目標達成を目指して世界中のユーザーと競い合う“チャレンジ”モードを搭載。定期的に開催される“バーチャルレース”でほかのランナーと競争したり、コースを完走したアチーブメントとしてバッジを集めたりすることも可能です。

ユーザー同士でモチベーションを高め合えるシステムは、ナイキが提供する「Nike Run Club」にも採用されています。アプリ内で任意の目標を設定し周囲にシェアする、あるいは定期的に開催される課題に挑戦してコミュニティ内で競争するなど、さまざまなスタンスでランニングを楽しめるよう工夫されているのが特徴です。

ランニングやマラソンは孤独な戦いというイメージが強いスポーツ。一方で近年ではデバイスやサービスを通じて仲間を見つけることも簡単になり、自分にとって快適な環境を整えやすくなっているといえます。

暮らしのスタイルが多様化する昨今、スポーツへの取り組みを支えるシステムにも絶え間ない進化が求められているのではないでしょうか。今後どのような最新テクノロジーが登場するのか、ぜひ注目してみてください。


吉田康介(フリーライター)