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「ソーシャルレンディング」が注目されているワケ…魅力は「銀行預金よりも高い金利」?

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2023.03.06(最終更新日:2023.03.28)

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「人生100年時代」。長い老後に備え、お金をどうするか。超低金利がつづくなか、NISAやiDeCoの普及もあり、若いうちから資産形成することの重要性が徐々に浸透しつつあります。そのようななか、株式や投資信託、不動産といった代表的な金融商品と比べて安全性が高いと目されていることから、「リスク分散のための投資先の一つ」として情報感度の高い一部の人から注目されているのが「ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)」です。今回は「ソーシャルレンディング」の特徴やメリット・デメリットから、この商品が新たな投資対象として注目されているワケをみていきます。

預金以上株式未満……ソーシャルレンディングとは

「ソーシャルレンディング」は、「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれます。
※「クラウドファンディング」は「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」を組み合わせた造語です。

ソーシャルレンディングの運営事業者は、インターネットを通じて個人を中心とした不特定多数の人から広く資金を集め、資金を必要とする企業や事業に融資します。企業は返済期限に利息を付けて事業者に借入金を返済するとともに、事業者は手数料(スプレッド金利)を差し引いたうえで、投資家に元本と利息を分配するというのが基本的な仕組みです。

インターネットやスマートフォンの普及に伴い、近年、ネット上で手軽に投資ができるソーシャルレンディング市場は拡大を続けています。コロナ禍で高まった投資熱も後押ししています。

ソーシャルレンディングの特徴の一つが、投資家がPCやスマホから簡単に投資ができることです。ソーシャルレンディング運営会社への会員登録も、基本的に運営会社のWebサイトで申し込みが完了します。

通常、1口1万円程度の少額から投資が可能で、年率3~6%程度の高利回りが人気の理由です。銀行の定期預金や国債に比べ利回りがよいうえ、株式投資よりも投資をはじめるハードルが低いため、個人を中心に幅広い投資家から新たな資産運用手段として注目が高まっています。

一方で、投資利回りが高いため、リスクも大きいのではという不安を抱く投資家も少なくありません。実際、ソーシャルレンディングは元本保証がなく、融資した先の企業がデフォルト(債務不履行)を起こすなどして、資産が返ってこないケースも発生しています。

「信頼できる業者」と「怪しい業者」それぞれの特徴について

ソーシャルレンディングで投資を行う際に、リスクを極力低減するために最も重要なのがソーシャルレンディングの運営事業者選びです。事業者は基本的に金融庁の監督のもとに適切に運営していますが、一部に不適切な運用を行う事業者が存在するのも事実です。なかには悪質な業者もいます。そうしたリスクの高い業者と取引をすると、トラブルや損失を被る可能性が高くなりますから注意が必要です。

そこで、ここでは「信頼できる事業者」と「怪しい事業者」を見分けるポイントをみていきましょう。

「信頼できる事業者」を見分ける際に大事な点は、第二種金融商品取引業に登録しているかどうかです。ソーシャルレンディングでは、投資家に対してファンドとなる匿名組合を組成し、その出資持分の募集を行いますから、ビジネスを行う上で第二種金融取引業の登録は不可欠です。登録していない事業者は要注意です。第二種金融商品取引業の登録がされていない事業者は、法令違反を犯している可能性が高いと考えられます。ファンド運営上のリスク管理などがきちんと行われていない可能性も高いです。過去には詐欺まがいの商法で投資家から資金を集めていたケースもあります。

第二種金融取取引業の登録が行われていれば絶対に安心というわけではありませんが(実際に過去に不祥事を起こしている)、登録していない事業者のファンドへ出資することは基本的にはおすすめできません。


事業者自身の会社情報が十分に開示されているかも確認しましょう。設立年数、資本金、業績、上場の有無、経営者の経歴(金融機関出身など)、株主構成(大手上場企業や証券会社など)などを、事業者のHPなどでしっかりチェックしましょう。

ファンドについて十分な情報開示がなされているかも大事な点です。投資先の事業および企業の特徴や、ファンドスキームなどに関し十分に情報開示している事業者は信頼度が高まります。

特に利回りの高さを積極的にアピールする半面、ファンドのリスクに関する情報が乏しい事業者には注意が必要です。たとえば、「担保の有無」「返済原資」「返済方式」などの項目は必ずチェックしてください。

過去の実績も確認しましょう。新規募集ファンドの情報だけではなく、過去のファンド運営の実績をすべて開示している事業者は信頼性が高まります。開示がない場合は注意が必要です。


また、年利10%以上の極端な高利回りのファンドを提供している事業者については慎重な判断が必要です。極端な高利回りを提示しているということは、それだけリスクの高い企業や事業に融資していることになりますから、デフォルトのリスクが高くなります。

もちろん、年利10%以上の高利回りでも、融資先の脆弱性やリスクについて十分に説明がなされている場合は、投資家の判断により、リスクをとって投資することも選択肢の一つでしょう。

ソーシャルレンディング業界では、これまで業界トップ企業をはじめ多くの運営会社が不祥事により撤退していきました。業界の発展に向けて、「信頼できる事業者」が増えることが求められています。

ソーシャルレンディングのメリット・デメリット(リスク)

銀行の定期預金や株式投資に代わる新たな金融商品として人気が高まるソーシャルレンディングですが、メリットと同時にデメリット(リスク)もあります。それぞれみていきましょう。

メリットの一つは、高い利回りです。定期預金(ネット銀行で年利0.2%程度)の約20~30倍(年利約4~6%)という高さです。

高利回りであるにもかかわらず、ソーシャルレンディングは株式投資に比べてリスクが相対的に低いのが特徴です。運営会社はファンドの組成において、不動産担保にとどまらず安全性を担保するためにさまざまなスキームを用意しています。ソーシャルレンディングのデフォルトリスクは1~1.5%程度といわれています。

利益が明確なことも利点です。株や投資信託は価格の変動により、最終利益がいくらになるかわかりませんが、ソーシャルレンディングは投資した時点で年4~6%の利回りが確定します。

PCやスマホで簡単、かつ1口1万円の低額から投資できるのもメリットです。特に投資の経験がない人や浅い人は、少額からはじめるのがおすすめです。

一方、ソーシャルレンディング特有のデメリット(リスク)として、事業者によって取り扱うファンドの質に大きな差があることが挙げられるでしょう。これに対しては、前述したように、第二種金融商品取引業の登録の有無などから「信頼できる事業者」を慎重に見極めることが重要で、それによりデフォルトリスクを大幅に減らすことができます。

とはいえ投資である以上、デフォルトのリスクは常につきまといます。万が一、デフォルトが起きた時にダメージを極力小さくするために、1点集中ではなく、複数のファンドに分散投資することが大切になります。たとえば10万円を投資するならば、1つのファンドに10万円ではなく、10のファンドに1万円ずつ投資します。

また、不動産担保付きファンドを選ぶと安全性が高くなります。融資先の返済延滞が起きた場合に、担保不動産を売却して回収することができるからです。

極端な高利回り(10%以上)のファンドには気をつけましょう。それだけ高リスクなため、投資の初心者には基本的におすすめできません。

まとめ

今回は、ネットを活用した新しい資産運用商品として人気が高まっているソーシャルレンディングについて紹介しました。超低金利が続く日本では、銀行の定期預金や国債の金利はほぼゼロです。かといって株式や投資信託はリスクが高く、投資初心者には手を出すのに勇気がいります。その点、比較的安全で高利回り、PCやスマホから簡単に、しかも1口1万円程度から投資できるソーシャルレンディングは今後も成長が期待されます。

[プロフィール]

田之上信(たのうえ・まこと)
ライター。1969年生まれ。業界紙記者、雑誌編集者を経てフリーに。
ビジネス・医療分野を中心に取材・執筆を行う。