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“募金”後進国の日本を変えた!「クラウドファンディング」活用の可能性

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2023.01.25(最終更新日:2023.03.28)

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日本人は先進国のなかでも、募金や社会貢献活動への関心が比較的低い国民と言われてきました。しかし、東日本大震災をはじめとするたび重なる災害において、現地で活動するボランティアの様子がSNSなどで詳細に発信されたことで、ボランティアや社会貢献活動は日本国民にとって、以前より身近になりました。さらに、クラウドファンディングというフィンテックの登場により「スタートアップ企業への投資」「非営利団体への募金」などに興味をもつ人、実践する人が急増しました。この記事では、クラウドファンディングとは何なのか、種類やメリット・デメリットなどについてもわかりやすく解説します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディング(crowdfunding)とは、「crowd(群衆)」と「funding(資金調達)」からなる造語で、起案者が夢や目標を実現させるためにプロジェクトを立ち上げ、インターネットを介して不特定多数の支援者から少額の資金を募る仕組みです。クラウドファンディングの種類によっては、見返りとして商品やサービス、分配金などのリターンがあります。

従来の資金調達は金融機関からの借入や、ベンチャーキャピタルによる出資で、融資を受けるには審査に通らなければなりませんでした。ところが、クラウドファンディングは起案者の熱意が不特定多数の人たちに伝わり、賛同して支援者になってもらえれば、誰にでも資金調達することができます。起案者、支援者ともに手軽に行えるところが注目されています。

クラウドファンディングは2001年にアメリカで始まりました。日本では2011年に「READYFOR」「CAMPFIRE」がサービスを開始して定着。2011年3月に東日本大震災が発生したこともあって、新たな資金調達というよりは、寄付をする新たな手段として認知され、急速に浸透していきました。

世界のクラウドファンディングの市場規模は、2021年は175億1000万米ドルで、2028年には429億3000万米ドルに達すると予測されています。日本の市場規模は、2021年は1642億2100万円と推計されています。

クラウドファンディングの種類

日本では、東日本大震災や国内の災害の見舞いやボラティアで話題になり、「寄付型」から浸透していったクラウドファンディングですが、そこから「購入型」「融資型」「株式型」「ファンド型」「ふるさと納税型」と分化していきました。ここでは、それぞれの主な特徴を解説します。

寄付型クラウドファンディング

被災地や業界の支援、環境の保全など、社会貢献性の高いプロジェクトが多いです。従来の寄付と同じで、支援者へお礼の手紙や写真が送られてくることもありますが、基本的にリターンはありません。ただし、寄付した金額を「寄付金」として確定申告すれば、税金が安くなる可能性はあります。代表的なサービスは「READYFOR」「CAMPFIRE」などです。

購入型クラウドファンディング

「購入型」の名のとおり、支援者はリターンとして支援した金額に応じて商品やサービスを受け取ることができます。資金調達の方法は「All or Nothing型」「All In型」の2種類あり、起案者が選ぶことができます。この2つの方法の詳細は次のとおりです。

All or Nothing型

募集期間内に目標金額に達した場合のみ、プロジェクトが成立します。目標金額に達しなかった場合、支援者はお金を払わなくてもよく、リターンもありません。

All In型

募集期間内に目標金額に達しなくても、プロジェクトが成立します。ただし、クラウドファンディングに起案するときにプロジェクトの実施を確約しなければなりません。


代表的なサービスは「CAMPFIRE」「READYFOR」「Makuake」「A-port」などです。

融資型クラウドファンディング

事業者が仲介し、不特定多数の支援者から小口の資金を集め、大口化して借り手企業に融資します。「ソーシャルレンディング」とも呼ばれています。募集するときに利回りが決まっており、支援者のリターンは利息となります。利回りが一般的な社債よりも高いことが多いため、投資家から注目されているクラウドファンディングです。ただし、借り手企業が返済できない場合、元本割れになるリスクがあります。代表的なサービスは「Bankers」「Funds」「クラウドバンク」などです。

株式型クラウドファンディング

起案者は個人ではなく株式会社で、個人投資家へ未公開株を提供し、その見返りとして資金を調達します。ベンチャー企業がIPO(上場)やM&Aとなった場合、大きなリターンを手にすることができます。エンジェル税制適用の案件の場合は、税制上の優遇措置が受けられます。ただし、借り手企業は年間1億円未満、投資家は1社につき50万円までと投資金額に制限があり、事業者は第一種少額電子募集取扱業の資格が必要です。代表的なサービスは「CAMPFIRE Angels」「FUNDINNO」「Unicorn」「イークラウド」などです。

ファンド型クラウドファンディング

株式型同様、起案者は企業で、特定のプロジェクトに対して個人投資家から出資を募集します。投資家はリターンとして、プロジェクトで発生した利益から投資金額に応じて分配金を受け取ることができます。さらに事業によってつくられた商品やサービス、割引券などを受け取ることができる場合もあります。社会貢献の要素が強いことも特徴です。起案者は第二種金融商品取引業の登録が必要で、投資家は匿名組合契約などの出資契約を締結することになります。日本では比較的実例が少ないサービスですが、代表的なサービスとしては「セキュリテ」などがあり、投資先は国内だけでなく海外も見込むことができます。

ふるさと納税型クラウドファンディング

自治体がふるさと納税を利用し、解決したい課題をプロジェクト化して寄付を募ります。リターンは寄付先の特産品や主要産業にまつわる品物で、返礼品として受け取ることができます。寄付金の控除を受けられるのも特徴です。代表的なサービスは「CAMPFIREふるさと納税」「ふるさとチョイス」「さとふる」「READYFOR」などです。

クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディングを始める前に把握しておきたいのがメリット・デメリットです。起案者、支援者に分けてまとめておきます。

起案者のメリット

・プロジェクトに挑戦する幅が広がる

オンラインで誰でも手軽に資金調達できるため、資金調達が難しかった大きなプロジェクトにも挑戦できます。

・テストマーケティングできる

自社商品を販売したり、イベントを行ったりする前に市場の反応を見ることができます。反応がよければ、ファン獲得や宣伝効果も期待できます。

起案者のデメリット

・資金調達できない可能性がある

目標金額に達成しなかった場合、労力がムダになります。目標金額に達成したとしても、手数料が10~20%かかることや、支援者へのリターンを含めた設定でないとマイナスになる場合があります。

・アイデアが盗まれる恐れがある

多くの人に知られることになるため、アイデアが盗まれる可能性があります。先に商品化され、コピー商品が市場に出回ってしまうと大きな損害になります。

支援者のメリット

・少額からの支援が可能

プロジェクトによっては、プレミアム感が強いリターンがあります。

・気軽に社会貢献できる

オンラインから気軽に社会貢献でき、寄付金控除が受けられる場合があります。

・高い利回りが期待できる

投資タイプの場合、普通の金融商品以上の利回りが期待できます。

支援者のデメリット

・キャンセルできない

気持ちが変わったとしてもキャンセルできない場合が多いです。

・資金の使途明細の確認が難しい

資金が正しく使われているか、詳細を確認することができません。

・元本割れのリスクがある

投資タイプの場合、利回りによっては元本割れになるリスクがあります。

起案者がクラウドファンディングを検討する場合、サイト選びが重要です。プロジェクトとの相性はもちろん、どのサイトを選べば支援が集まりやすいのかを検討するといいでしょう。支援者はプロジェクトやリターンの内容を確認するのはもちろんですが、どのサイトに応援したいプロジェクトが集まりやすいのかをチェックしておくといいでしょう。

[プロフィール]

桃山透
フリーランスライター。1968年、大阪府生まれ。ビジュアルリテラシー(東京支部)所属。大学卒業後、金融系会社の営業、コピーライター、出版社の編集者、業界新聞の編集長を経て、独立。主にビジネス書、実用書、医学書関連の執筆・編集・監修に携わる。得意なジャンルは整理術、手帳術で、著書に『サクッと1分間 整理・ファイリング術』などがある。