「終活」とは?みんな準備しているものなの?
「終活」とは自分自身の人生の終わりに向けて、予め準備をすること。もしも病気になって意識をなくしてしまったとき、人生の最期を迎えるときなどのための事前準備でもあり、最期まで自分らしい人生を送るための活動とのことです。しかし、いま元気な毎日を過ごしている自分にとっては、果たしていつからどんな終活をしたらよいのか、漠然としています。
まずは「終活」について、多くの人が何をいつから始めているのか、楽天インサイトの終活に関する意識調査を見てみました。(出典:楽天インサイト株式会社 「終活に関する調査」(2023年))
調査結果では、7割近くの人に「終活」の実施意向がありました。
年代別にみると、「終活」の今年の実施意向については、男女ともに年齢が高くなるにつれ、意向があるとの回答割合が多く、20代など若い世代には、今年から「終活」を始めようとする人は少ない印象でした。
調査結果では、「終活」で今後する予定があること・興味があることは、家の中の荷物整理、財産整理、パソコンやスマートフォンなどのデータ整理、エンディングノート・遺書の作成などが上位にありました。確かに自分自身も、何かあったときのために、家の中の荷物や財産などの身辺整理がまず思い浮かびました。しかし、他には何を整理しておけばよいのか、備えておけばよいのか不安も感じます。
下の表は、同じく楽天インサイトの2019年の「終活」に関する調査結果です。2019年の調査では、「終活」について不安に感じることをアンケートで質問していました。少し前のデータですが、私自身、「終活」について何をどうしたらよいのか分からないため、世代別にどのような不安があるのか見てみました。
調査結果では、全体でも回答が多かった「何から手をつけたらよいかわからない」という不安は、20代・30代中心に多く、「いつから始めるかわからない」不安も同じように若い世代を中心に多く見られました。
備えあれば憂いなし。
準備を始めるのに、早ければ早いに越したことはありません。しかし、やり方や始めるタイミングが分からない…。最初から専門家に相談するのではなく、まずは自分で始めてみたいけど…。「終活」のきっかけになる、手軽に始められるツールがないか探してみたところ、よく使っているLINEでできる遺言サービスを見つけたので、体験してみました。
LINEでできる遺言サービス「タイムカプセル」を使ってみた
普段利用することが多い「LINE」で、トーク感覚で情報を入力し、無料で手軽に遺言を作ることができると知り、今回はLINEの遺言アプリ「タイムカプセル」を使ってみました。
LINEでつくる新しい遺言 「タイムカプセル」
LINEで友だち追加をして、「プロローグを開始する」をクリックするとトーク上で質問を投げかけられます。
性別や生年月日、配偶者やパートナーの有無等、LINEでトークしているように、はい・いいえで回答できる質問が続きます。
その後、「遺言入力を開始する」をクリックすると、プロフィール、資産に関すること、身の回りに関すること、健康に関すること、告知・延命について、葬儀・納骨に関する希望、自分史、夢、大切な人へのメッセージと、それぞれ入力していく項目が出てきます。
※最初にパスワードを設定して上記画面に続きます。
プロフィールの入力
本名、生年月日、電話番号・メールアドレスなど個人情報
資産に関する情報入力
預貯金(口座を持っている金融機関名、支店名、口座種類、口座番号)、株式・投資信託等有価証券や不動産、負債の有無、クレジット・電子マネーの有無、保険に関する質問など
身の回りのことに関する情報入力
電気料金やガス料金などの自動引き落としの有無、携帯・PCの有無とデータの処分に関する希望、SNSアカウントの保有有無と具体的なアカウント内容、老後の希望(住む場所、介護に関する希望、老後に頼れる人がいるかどうか)など
健康に関する情報入力
アレルギーの有無、薬や注射による副作用の発生有無、持病の有無など
告知・延命に関する希望入力
重病になった場合の病名や余命の告知への希望有無、延命治療処置の希望有無など
葬儀・納骨に関する希望入力
葬儀や納骨に関する希望など(葬儀の宗教に関する希望、遺影に使いたい写真の希望など)
自分史について
出身地や幼少時の思い出、経験したライフイベント、お世話になった人・親交が深かった人に関する情報など
夢について
これからの人生でしたいこと
大切な人へのメッセージ
メッセージを送りたい人の有無と送り先とそのメッセージ内容
それぞれの項目沿って入力した遺言は、内容ごとに公開するタイミングを指定することが可能です。また遺言を届ける相手を追加・確認できます。
遺言を伝えたい人をLINEから選び、メッセージを送ると、相手には招待用URLが送られます。招待用URLの有効期限は24時間で、受け取った相手も友だち追加をして送られた遺言内容を見ることができます。
遺言を届ける相手を確認する場合は「設定」の「遺言を届ける相手を確認」をクリックすると、招待用URLに返答があったかどうかを確認することができます。もしものときにむけて、元気なうちに、遺言を届けたい相手を指定し、その人に届くかどうか事前に確認しておきたいですね。
また遺言の内容ごとに、いつ遺言を公開したいか、自由に指定することができます。ご紹介の通り、タイムカプセル側からどの遺言をいつ公開するのがよいか、おすすめのタイミングが表示されているので、これも参考になります。自分が健在のときなのか、倒れたときなのか、この世を去ったときなのか。遺言を伝えたい人に、いつのタイミングで何を伝えるのか、自分で選ぶことができるのは良い機能だと感じました。
ただ倒れてしまったとき、逝去したときはどうやって分かるのか?タイムカプセルのサイト上では、下記のように書かれていました。(タイムカプセル公式サイト「よくある質問」より)
遺言作成の本人が倒れてしまったり逝去したときは、遺言の受取先として指定されている方からの申告がもとに判断するようです。逝去の申告の場合は、逝去を証明するための書類画像のアップロードと、遺言作成者本人へも生存確認の連絡も行い、遺言作成者本人への安否確認にて48時間返答がない場合、逝去と判断されます。逝去を証明するための書類は、死亡診断書、火葬許可書、埋葬許可書、戸籍謄本(除籍)のいずれかを確認するようです。
※合わせて逝去の申告時に、申告をされた方の身分証明書の画像アップもお願いしているようです。
タイムカプセル上で入力した内容はあくまでも遺言であり、遺言書としての法的効力はありません。法的に効力のある遺言書を作成したい場合は、ホーム画面から「法的に有効な遺言書を作成する」をクリックすると、手順に沿って無料で自筆証書遺言を作成することができます。司法書士が監修しているので、書式ミスによるトラブルがなく、安心に気軽に着手できるのはいいですね。
※遺言の内容によっては作成にあたり専門家に相談した方がよい場合もあるようです。
使ってみた感想・まとめ
いざ「終活」を始めよう!と思いたっても、何からどのように手をつけてよいか分かりませんでした。そして、「終活」とは自分が亡くなったときに遺族に迷惑がかからないよう準備することだと思っていました。タイムカプセルを使ってみて感じたのは、「終活」とは最期に向けた身辺整理だけではなく、今までの人生を見つめ直す機会であり、残りの人生を自分らしく過ごすための夢を描くものであり、お世話になった人や親交の深い人に対する想いを残す準備であると感じました。タイムカプセルは、気軽に、今日からでも始められる「終活」だと思います。「備えあれば憂いなし」。ご興味がある方はぜひ試してみて下さい!
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本記事は筆者独自の観点で書いたものであり、所属する企業・団体の見解を表すものではありません。