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アクティブラーニングとは?メリットやICTを活用した導入事例を紹介

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2023.04.05(最終更新日:2023.04.05)

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教育現場で注目されている「アクティブラーニング」とは、文部科学省が推進している教育方法です。
この記事では、アクティブラーニングの概要や教育ICTとの関係、実施するメリット、注意点、受講するポイント、
ICTを活用した導入事例をご紹介します。

アクティブラーニングとは

アクティブラーニングとは「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」と文部科学省により定義されています。具体的な学習方法として挙げられるのが、発見学習や問題解決学習、体験学習、調査学習などです。そのほか、グループディスカッションやディベート、グループワークも生徒が主体性を持って授業に参加するうえで有効な方法といえます。

従来、講師が教壇に立ち講義を行う学習方法が一般的でした。最近では生徒が能動的に授業に参加し、仲間たちとともに考えて深い学びを得るアクティブラーニングが盛んです。従来のように講師が正しい答えを教えるのではなく、あくまでも中立的な立場として、生徒による積極的な議論をサポートする点がアクティブラーニングの大きな特徴です。

アクティブラーニングが注目されている背景

従来の日本における教育では、規則や規律が重要視され、誰もが平等に同じ内容を学ぶ傾向にありました。近年ではITやAI、ロボットなどの最新のテクノロジーが発展し、社会の流れや仕組み、環境が大きく変化しています。インターネットを使えば、すぐに様々な情報が得られるようになった今、かつてのように「知識を得る」のではなく、自ら情報にアクセスし活用する力が求められるようになりました。さらに、グローバル化や多様性が加速する中で互いの価値観を認め、ともに課題を解決する力が求められています。

今後、テクノロジーの進化や多様化する社会は、将来的にますます加速していくと考えられるでしょう。予測できない未来に対して子どもたちが柔軟に立ち向かうためにも「主体的・協働的に課題を見つけ解決する力」が必要です。こうした状況を踏まえて、2020年度に始まった「新しい学習指導要領」では、アクティブラーニングが導入されました。

アクティブラーニングと教育ICTの関係

ICTは人とインターネットをつなぎ、デジタル化された情報をやり取りする通信技術です。例えば、ビジネスにおけるスマートフォンを使った同僚とのやり取りや、外出先で作成した資料の共有などが挙げられます。教育の現場でも多く導入されており「教育ICT」と呼ばれています。教育ICTは、アクティブラーニングを効果的に実施するうえで重要なツールです。続いては、アクティブラーニングと教育ICTの関係を詳しく解説します。

ICTを活用した学びのメリット

従来の紙媒体ではファイリングや検索に手間がかかるほか、紛失するリスクもありました。一方、スマートフォンやタブレットなどのICT機器を活用すると、膨大な量の情報でもスムーズに整理・分析が可能です。また、複数人で情報共有をする際には、クラウドやLMS
(学習管理システム)が役立ちます。

例えば、講師がクラウドに課題や教材をアップロードしておけば、生徒はいつでも必要な情報を得ることが可能です。LMSであれば、さらに生徒の学習状況や成績を視覚化できるようになるほか、一元管理されるため講師間で情報共有をする際にも重宝します。

また、紙媒体での学習で表現しづらかった内容も、デジタルデバイスを活用することで、動画やアニメーションによる分かりやすい表現が可能です。併せて、生徒の関心や興味を集めやすくなる点もメリットといえるでしょう。

アクティブラーニング推進には教育ICT活用が重要

アクティブラーニングでは生徒自身が分からない点を調べ、自分の言葉で表現することが求められます。従来の教科書や図解を活用した勉強方法では、調べられる範囲が限られており講師からの教えが頼りでした。

一方、教育ICTを活用した授業では、タブレットやノートパソコンを1人につき1台提供するケースが多く、情報収集が容易になります。表現方法も多岐にわたるため、より伝わりやすい手段を自主的に考える力も身につくでしょう。

さらに、クラウドを導入すると教材や課題をインターネット上にアップロードできるため、生徒は場所や時間を問わずアクセスして必要な情報を得ることが可能です。そのため、学校に限らず自宅や校外でもスムーズに学習を続けられます。さらに、講師のサポートも遠隔で行えるため、生徒の疑問や質問に対する速やかな反応・解決にもつながるでしょう。

そのほか、チャットツールの活用によって、授業時間外でも互いに教えあったり意見を交わしたりすることで、生徒同士のコミュニケーションも活発になります。

また、電子黒板も徐々に広がりつつある教育ICTの一つです。電子黒板は単に文字や図形を描くだけでなく、パソコンとつなげることで必要な情報を表示できます。書き込んだ情報はデータ化されるため保存が可能です。スピーカー付きの電子黒板であれば、デジタル教材の活用や授業音声を録音できます。従来の黒板と比べて生徒の視線を集めやすく、集中力や学習意欲の向上に役立ちます。

このように、アクティブラーニングの推進において教育ICTの役割は大きく、深い関係性を持っています。

アクティブラーニングを実施するメリット

アクティブラーニングの導入は、従来の学習方法と比較して多くのメリットをもたらします。主なメリットとして挙げられるのが「主体性・自発性」「発想力」「問題解決力」の向上です。続いては、アクティブラーニングを実施するメリットについて詳しく解説します。

主体性・自発性の向上

アクティブラーニングは、生徒の主体性や自発性を育てるのに役立ちます。従来の学習方法は、講師が中心となって既定の時間・カリキュラムに沿って授業を進めるため、不明点を解決できない生徒がいても次の内容に進まざるを得ない状況もありました。一方、アクティブラーニングでは、あくまでも生徒がメインであり講師はサポート役です。例えば、チャットツールを導入することで、学校外でも生徒同士で議論を重ね課題を解決できます。講師もチャット内に参加すれば、生徒からの質問に速やかに答えられるでしょう。このように、ICTを使ったアクティブラーニングに適した環境が整っていれば、生徒が自ら学び判断する力を養いやすくなります。

発想力の向上

アクティブラーニングでは、生徒同士でディスカッションをしながら、正解のない課題にチャレンジする学習方法があります。より良い解決方法を見出すためには、試行錯誤をしながら新たなアイディアを練らなければなりません。また、グループで学ぶことで、自分では思いつかなかった斬新な発想を得られる可能性もあるでしょう。互いに切磋琢磨しながらアイディアを生み出す経験は、発想力の向上に役立ちます。

問題解決力の向上

アクティブラーニングでは講師が中心となる学習方法とは異なり、自分自身で課題を解決しなければなりません。単に提示された課題を解くのではなく、物事を多角的に捉える中で課題を発見する必要があります。課題と向き合う過程で不明点や問題があれば、解決に向けて情報を集めたり、生徒間で議論したりすることもあるでしょう。

例えば、タブレットやパソコンなどのICT機器に協働学習アプリケーションをインストールしておけば、各々が書き込んだ意見を互いに閲覧できるようになります。また、意見に対する感想やアドバイスを書き込むことも可能なため、より活発な意見交流が期待できるでしょう。このように、アクティブラーニングにICTを導入すると、より生徒の主体性が引き出され問題解決力の向上に役立ちます。

アクティブラーニングの実施における注意点

アクティブラーニングは生徒の自主性や発想力を高め、問題解決力の向上につながる学習方法ですが、いくつか注意点もあります。より効率的にアクティブラーニングを導入するためには、注意点を把握しておくことが大切です。続いては、アクティブラーニングの実施における注意点を2つ解説します。

講師のファシリテーションの能力が求められる

アクティブラーニングでは、生徒が中心となって議論を進めるため、途中で課題とかけ離れてしまうことも少なくありません。また、能動的な授業に苦手意識を持つ生徒は、黙ってしまう可能性があるでしょう。

こうしたトラブルを避けるために大切なのが、講師のファシリテーション能力です。ともすれば自由時間になりかねないアクティブラーニングでは、講師が目的を明確にして軌道修正をすることが求められます。また、誰もが積極的に参加しやすい状況を保ったり、場合によっては議論の途中で助言をしたりする必要があるでしょう。

体系的な知識習得には不向きである

アクティブラーニングは、主体性や個々の考え方を尊重する学習方法です。生徒自身が考え、意見を述べ合う自由度の高さがメリットですが、実践や課題解決をする中で様々なアイディアが飛び交うため、知識が分散する可能性があります。

効率良く学びを深めるためには、個々のアイディアや知識を順序立てて理解することが大切です。アクティブラーニングで主体性に重点を置きすぎると、断片的な知識ばかりが蓄積される可能性があります。例えば、数学の問題を解く公式を知ったとしても、使い道や順序立てて解く方法を知らなければ活用できません。

このように、新たに得た知識とすでに得ている知識、他分野の情報を関連付ける体系的な知識習得には不向きです。そのため、座学も交えながら知識を深めていく必要があります。

アクティブラーニングを受講する際のポイント

アクティブラーニングは、講師だけでなく受講する生徒にも意識するポイントがあります。より効果的にアクティブラーニングを取り入れるためには、生徒もポイントを押さえて授業に取り組むことが大切です。続いては、アクティブラーニングを受講するポイントを3つご紹介します。

能動的な姿勢で取り組む

アクティブラーニングでは、受講する生徒は能動的な姿勢で取り組むことを意識する必要があります。いくら講師が丁寧なファシリテーションを行ったとしても、生徒が受け身の姿勢を取ってしまえばアクティブラーニングの効果を得られません。

アクティブラーニングは、生徒自身が積極的に参加してこそ成立する学習方法です。講師の指示やほかの生徒の言動を待つのではなく、課題解決に向けて自分なりに検討し意見を述べ合う過程を大切にしましょう。例えば、チャットツールを導入すると、自分の意見を発表しやすくなり、活発な議論が可能です。

対話を通して多様な意見を取り入れる

能動的に授業を受けるためには協調性も求められます。自由に意見を述べるのも大切ですが、自分の考えに固執してしまうとより良いアイディアや間違いを見逃しかねません。

自ほかの生徒や関係者とコミュニケーションを取り、アイディアを交換しながら多様な意見を取り入れることで深い学びが得られます。また、自分の考えを主張する姿勢だけでなく、相手の考えを認めて尊重する力も身につきます。

目的やゴールを忘れない

アクティブラーニングでは、課題解決に向けたグループワークやフィールドワークなどを行い、生徒自身が能動的に学習を進めます。しかし、自由度の高い授業では課題とは無関係の雑談が増えたり、議論に消極的な生徒が出てきたりすることも少なくありません。

こうしたリスクを避け、効果的に進めるためには、生徒自身が主体的に学ぶ意味を理解する必要があります。そのうえで、課題ごとのゴールや目的を明確にして、有意義な学習時間を過ごすことが大切です。

アクティブラーニングの実践方法

アクティブラーニングには、主に8つの実践方法があります。アクティブラーニングの効果を発揮するためには、学習状況や内容に合わせて実践方法を選択することが大切です。続いては、それぞれの実践方法について概要や特徴を詳しく解説します。

ジグソー法

ジグソー法とは、生徒が互いに教え合い協力しながら学びを得る方法です。まず、生徒をいくつかのグループに分けて、グループ内で課題を解決するための役割分担を行います。次に、同じ役割を持った生徒同士が集まり、自分の役割に沿って学習を深めます。最後に、再び自分のグループに戻って、持ち帰った情報や学びを発表するのがジグソー法です。

それぞれが自分の役割における専門家であり、メンバーに正しい情報を伝えるためには十分な理解が求められます。ジグソー法を導入することで、より主体的に学ぶ力を身にことが可能です。

KP法

KP法とは「紙芝居プレゼンテーション」の略称です。黒板に文字や図を描きながら説明するのではなく、事前に用意された紙芝居形式の資料を貼り付け授業を進めます。黒板に書く手間が省けるほか、授業の流れが可視化されるため要点を捉えやすいです。

特に難解な課題になると生徒が構えてしまいますが、KP法はイメージで伝えられるため心理的な障壁を取り払えます。また、情報を残したまま次の内容に進むため、授業スピードについていけない生徒でも追いかけて理解することが可能です。ただし、事前準備の手間や荷物が増える点がデメリットです。

学び合い

生徒同士で教え合い学びを深める学習方法を「学び合い」と呼びます。自分だけが理解して終わりではなく、困っている人を見捨てないで全員が理解するために行動するのが特徴です。

学び合いでは、まず講師から出された課題に個々で取り組みます。その後、答えが分かった生徒が困っているクラスメイトをサポートしたり、分からない生徒が自ら質問したりする学習方法です。全員が理解し問題の解き方を説明できるようになるまで行うため、クラス全体の学力アップにつながります。

ラウンド・ロビン

ラウンド・ロビンでは、少人数のグループに分かれて順番に自分の意見やアイディアを出し合います。1人が意見を述べている間、ほかのメンバーは感想や質問を挟まず、できるだけ多くのアイディアを出すことがポイントです。集まった意見は次の段階で課題解決をする際に活用します。

能動的な学習方法が苦手な生徒でも自分の意見を出す機会が得られるほか、多様なアイディアが生まれる点がメリットです。

LTD

LTDとは「Learning Through Discussion」の略称で、各生徒による予習とグループでのディスカッションを行います。

事前に出された課題を正確に理解するだけでなく、深く読み解きながら実生活や社会における事象、生徒の持っている知識と結びつけるのが特徴です。そのうえで、予習内容をまとめ授業に臨みます。

授業では少人数のグループに分かれて、予習ノートをもとにディスカッションを行います。LTDによって自分の意見だけでなく、ほかの生徒による深い考察を得ることが可能です。

シンク・ペア・シェア

シンク・ペア・シェアとは課題に対して1人で考え、その後ペアになって共有・議論を行い、最後に2人でまとめた意見をクラス全体に共有する方法です。ペアで意見が異なった場合、互いの違いを検証したうえで必要であれば双方の意見を発表することもあります。

最初から自分の意見を全体に共有するのではなく、ペアでまとめた意見を発表するため、能動的な授業が苦手な生徒でも参加しやすいでしょう。

ピア・レスポンス

ピア・レスポンスとは、仲間(Peer)が作成したレポートやプレゼンテーションなどを読み合い、感想や改善点を伝える方法です。講師に添削してもらう従来のやり方だと、どうしても受動的になりがちですが、ピア・レスポンスでは書き手と読み手の両方の視点から資料をまとめるため、より分かりやすく伝える力が身につきます。

また、対等な関係にある仲間からのフィードバックを通して、人間関係を築きながら新しい発見ができる点もメリットです。

マイクロ・ディベート

マイクロ・ディベートとは、一つの課題に対して肯定・否定両方の意見を全ての生徒が体験しながら、議論を深める方法です。

まず、出された課題に対して肯定・否定いずれかの立場を選び、その根拠をまとめます。続いて、反対の立場に立った場合、どのような根拠が考えられるかをまとめ、「肯定」「否定」「ジャッジ」の役割を順番に担いながらディベートを行う流れです。

全ての立場に立って考えることで、自分の考えをより深められるようになります。一般的なディベートではある程度時間をかけて行いますが、マイクロ・ディベートは簡略化されているため、短時間で実施可能です。

アクティブラーニングの導入事例

主体的に判断する力や想像力を持った人材が求められる中、アクティブラーニングは今後さらに重要視される可能性があります。しかし、アクティブラーニングに正解はなく、どのような実践方法が適しているか悩む方も多いでしょう。

続いては、すでにアクティブラーニングを導入している国内外の事例をご紹介します。これから導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

国内の事例

日本国内の学校でもアクティブラーニングは浸透しており、取り組みの内容は様々です。まずは国内の事例を4つご紹介します。

茨城県立高萩清松高等学校

茨城県立高萩清松高等学校では、学習管理システム「LMS」を活用した授業を行っています。生徒が各々でシステムにログインし学習状況を確認できるほか、小テストの実施も可能です。

LMSでは学習到達度レベルを確認できるため、生徒が苦手科目を自覚し重点的に学ぶべき箇所を把握する際に役立っています。講師もアクセスできるため、個々に応じたサポートが可能になる点も魅力です。課題点だけでなく、評価の高い科目を知ることで学習意欲向上にもつながっています。

球磨郡山江村立山江中学校

球磨郡山江村立山江中学校がある山江村では、村を挙げてICT化に取り組んでいます。きっかけは、2013年に山江中学校が「ICT活用推進実証研究校」に指定されたことでした。現在では全ての普通教室に電子黒板を設置し、生徒1人につき2台のタブレット(学校用と家庭学習用)を支給するほどICTの導入が進んでいます。電子黒板の活用により過去の授業内容を効率良く振り返ったり、より着目すべき箇所を目立たせたりすることが可能です。

また、ICTの導入によって促されたのが授業改革です。例えば生徒自身が問題を作り、互いに解き合うことで理解を深めるアクティブラーニングや、体育の授業でうまくできなかった内容の改善点を協力して見つける協働学習が浸透しました。講師側も、ICTを使いこなし有効活用するために日々研究を深めています。

学校法人市川学園 市川中学校

千葉県市川市にある学校法人市川学園市川中学校では、2015年度より「ALICE(Active Learning For Ichikawa Creative Education)プロジェクト」を実施しています。プロジェクター付き電子黒板の導入やタブレットの支給によって、アクティブラーニングをしやすい環境作りを行い、2019年にはALICEプロジェクト第2弾として、課外活動の推進を始めました。

ALICEプロジェクトに先駆けて、生徒が活発に意見を述べ合えるように少人数のゼミを開き、アクティブラーニングの重要性を見出したこともALICEプロジェクトが成功している要因です。講師側もICTに使われるのではなく、ICTをうまく活用するという意識を持って日々の授業を行っています。

聖徳学園中学校・高等学校

東京都武蔵野市にある聖徳学園中学校・高等学校では、世界で活躍する人材を育成するために、ICTやアクティブラーニングの導入を行っています。

全てのHR教室に電子黒板を設置するほか、2014年から1人1台タブレット化を推進したことで、日本教育工学協会(JAET)の学校情報化優良校にも指定されました。

iPadを文房具として捉えており、全ての授業で導入しています。また、講師に対して課題を提出するという考え方から、自分の考えを仲間に発表する形式に変えることで、発展的な学びを実現している点もポイントです。 講師も学年や授業内容ごとにニーズを汲み取り、ICTの進化も踏まえながら研究を重ねています。

海外の事例

アクティブラーニングは海外でも広く導入されています。特にアメリカやデンマーク、オーストラリアなどは、早い段階からアクティブラーニングを導入している国です。続いては、海外の事例を詳しく解説します。

アメリカ

アクティブラーニングは、アメリカの哲学者ジョン・デューイ氏によって提唱された教育方法がベースになっています。アメリカでは1980年代という早い段階からアクティブラーニングが活発に導入されるようになりました。

例えばアメリカの中でも多人種が集うボストン市のエリオット・イノベーションスクールでは、複数人で一つの机を使って互いに教え合う学習方法が取られています。また、テクノロジーに関する科目が導入されている点も特徴です。幼稚園児からタブレットを使って語学の学習に取り組み、ICT機器に慣れ親しむ工夫がなされています。

また、ローリー市のリサーチ・トライアングル・ハイスクールでは、授業を行う前にインターネットを活用した講義形式の宿題を実施するほか、生徒と講師がメールでやり取りをしています。

デンマーク

デンマークは、国連経済社会局(UNDESA)による2020年の「世界電子政府ランキング」において第1位を獲得しました。教育分野でもICT機器が浸透しており、国内全土で小学3年生からパソコンやiPadを使って授業を受けるケースが一般的です。

例えば、プレゼンテーション資料の作成やID・パスワードなどに関するセキュリティ管理など、学習だけでなくICTスキル向上自体も重要視されています。また、デジタル素材も充実しており、筆記やリスニングのドリルもICTを使って行う点が特徴です。

授業は、基本的にアクティブラーニングで行われ、生徒が講師にペースを合わせることはほとんどありません。講師からの指示はクラウドで共有され、課題の提出もオンラインで行います。

オーストラリア

オーストラリアのジャスパー・ロード小学校では、アクティブラーニングを導入するにあたって活動的な学習に合わせた評価を行っています。各クラスの人数は30名以下となっており、個人を尊重した指導が行いやすい点が特徴です。

また、授業にはICT機器が大いに活用されており、生徒たちは分からないことをタブレットやパソコンを使って自主的に調べます。教室にはプロジェクターとスクリーンがあり、講師による指示が表示されるため、生徒は自分のタイミングで確認することが可能です。さらに、スクリーンはタッチパネル式になっており、楽しみながら学習ができます。

別の私立学校では、学習に必要な資料がインターネット上に公開されており、生徒たちは自由に閲覧が可能です。このように、オーストラリアでは、ICTがごく自然に授業内に取り入れられており、生徒が主体的に学ぶうえで役立っています。

アクティブラーニングは今後も広がっていく

アクティブラーニングは子どもたちの自主性や発想力、協調性を養ううえで役立つ学習方法です。今後、グローバル化や情報化がさらに進むことが予想され、能動的に物事を解決する力が問われるようになるでしょう。また、テクノロジーの進化に伴い、ICTを使いこなすスキルも必要です。

これからの社会を担う人材を育てるためにも、アクティブラーニングはますます広がっていくでしょう。また、各教育現場ではアクティブラーニングに対応できる環境整備が求められます。