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日本人の約7割がぐっすり眠れていない?ITを活用した“ねむりのパーソナルトレーニング”で、一生モノの「睡眠スキル」を磨こう

2023.07.28(最終更新日:2023.07.28)

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睡眠に不満を抱えている日本人は約7割

日本人は世界的にみて睡眠時間が短いことに加えて、近年は睡眠の質についても問題視されています。毎年大々的な世界睡眠調査を実施しているフィリップスが2020年に行った調査によると、睡眠に満足している日本人はわずか32%。裏を返すと約7割の日本人が睡眠に満足できていないのです。

「睡眠×生産性」の関係

睡眠と生産性には密接な因果関係が

睡眠不足はいったいどのような問題を引き起こすのでしょうか。

まず、睡眠不足になると生産性が落ちるということが、いくつかの研究により明らかになっています。

NTT PARAVITAが2022年に関西の複数の企業に勤務する従業員357名を対象に実施した、睡眠と生産性の関係性の調査を分析したデータによると、不眠の度合が高い人ほど生産性が低くなっているという結果が得られました。

また、少しの睡眠不足でも、長期間にわたって積み重なれば、集中力や記憶力、創造性が低下し、心疾患やがんなどの重大な病気リスクが増えることが、近年の研究で明らかになっています。

政府が企業の「健康経営」を推奨

以上のように、睡眠不足などの健康問題により、生産性が著しく落ちることが推測できることから、日本政府は「健康経営」を推奨しています。

「健康経営」とは、経営的な視点から従業員の健康管理を考え、戦略的に実践することです。実際に、経済産業省では、「健康経営」に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。

すなわち、優良な「健康経営」に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関等から、正当に社会的評価を受けることができる環境を整備しています。国が認定している大規模法人のうち、「健康経営優良法人」として登録されている法人は、現在2,000社を超えています。

睡眠の質という問題にビジネスの観点からも注目が集まるなか、「最新のテクノロジーによって睡眠の質を高めよう」という動きが出てきています。そのようななか、NTT PARAVITA株式会社は、「健康経営」の推進を図るため、一般企業の従業員向け睡眠改善サービスを開始しました。

NTT PARAVITAがITを活用した“ねむりのパーソナルトレーニング”を提案

オンラインアドバイス風景(提供/NTT PARAVITA)

ITを活用した“ねむりのパーソナルトレーニング”とはどんなサービス?

睡眠を改善するサービスITを活用したねむりのパーソナルトレーニング”は、2022年にスタートしました。睡眠研究を行うパーソナルトレーナーが睡眠センサーにより得られたデータをもとに、オンラインで1人1人のライフスタイルに合わせたアドバイスを行ってくれます。

睡眠データをとるための専用機器「アクティブスリープアナライザー」をいつも睡眠時に使用しているマットレスの下に敷いて寝ることで、睡眠時の心拍、呼吸、体動などを測ることができます。

測定したデータを基に、睡眠の質や、入眠・起床時間、夜間の覚醒状態、夜間離床は何回あったかなどをトラッキングし分析することが可能です。

アクティブスリープアナライザー(提供/NTT PARAVITA)

医療機器のテクノロジーを、睡眠を計測する機器「アクティブスリープアナライザー」に応用

自宅で睡眠データの調査ができる「アクティブスリープアナライザー」はパラマウントベッド社によって開発されました。同社の眠りスキャン技術を採用した医療機器製品は、多くの医療機関や介護事業所で導入されているという実績があります。

体動センサーという、圧力から心拍と呼吸と体動を検知するシステムによって睡眠データを取得しています。

一般向けに製品化されたため、インターネットに慣れていない方でも利用できるよう、操作が簡単にできるのが特徴です。

たとえば、一般的なインターネット機器は自宅のWi-Fiに接続する必要がありますが、本製品はコンセントに挿すだけでセンサーとルータがペアリングされ、ルータを通じて、使用者の睡眠データをクラウド上にあげることができます。

また、マットレスや布団の下に敷くだけで利用できるため、計測の負担が軽く継続のハードルが低いのが魅力です。

(提供/NTT PARAVITA)

シニア層への普及のために行っている工夫

「睡眠」は全ての人に関わるため、年齢・性別を問わず、サービスを活用できる環境を整えることが重要です。NTT PARAVITAは、認知症の前段階であるMCI(Mild Cognitive Impairment、軽度認知障害)という状態を発見する技術の実用化のために、睡眠情報や位置情報といったライフログを集めていました。ITリテラシーが高くない高齢者の方でも使いやすくサービスの価値を届けることは大きな課題です

オンラインツールを使ったトークはデジタルネイティブ世代にとってはオンライン授業など生活に欠かせないものの1つですが、シニア層には馴染みがなく、経験がない人も少なくありません。

そのため、オンラインではなく電話をしたりなどの、フォローアップを行っています。

まずは顔を合わせて話し、そのあとは睡眠の状態を紙の睡眠レポートで送り、電話するという対応が多くとられています。最新テクノロジーの実用化は人と人が対話を重ねるという、地道な関り合いの上に成り立っていることが分かります。

まとめ

睡眠テクノロジーの領域は急激に進歩しています。かつて個人の生産性に寄与するのは、各々のスキルや集中力、心がけと考えられてきましたが、昨今はそれらを意図的に伸ばし、効率的に発揮していくため、環境を整えることに目が向けられています。

日々仕事や勉強、役割に追われる現代人にとって、良質な睡眠をとる技術は、今後ますます欠かせないものになっていくでしょう。最新テクノロジーや最新サービスを駆使して、気軽に「睡眠スキル」を磨きましょう。

[プロフィール]
新田一樹
2007年にNTT西日本に新卒で入社。
社外出向先であるヘルスケア系スタートアップでのプロダクト開発の経験を活かし、新規事業開発部署においてヘルスケア関連のプロジェクトの立ち上げをして2021年7月にNTTPARAVITAを設立。サービス開発責任者としてNTTPARVAITAが提供しているねむりシリーズのサービス開発に従事