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自宅で「窯出しの味」を再現。いつものパンがワンランク上に…“食パンをおいしく焼くだけ”に留まらない〈最新トースター〉の進化に迫る

2024.03.08(最終更新日:2024.03.08)

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2015年にバルミューダが「世界一おいしいトーストが焼けるトースター」を発売したのを機に幕を開けた高級トースターブーム。メーカー各社が「おいしく焼く技術」の向上にしのぎを削ること8年、最近ではフランスパンやクロワッサンを“窯出しの味”に近づけたり、唐揚げや天ぷらを揚げたてのカラッとした食感に戻したりできる機種も登場しています。本稿では、いつものパンをお店の味に近づけ、豊かな食卓を演出してくれる最新オーブントースターの進化に迫ります。

かつてないほどトーストのポテンシャルを引き出せるようになったトースター

10年ほど前まで、オーブントースターは1万円以下で購入できる比較的手頃なキッチン家電であったため、2015年にバルミューダが2万2,900円(税抜・当時)の『BALMUDA The Toaster』を発売したときは市場に衝撃が走りました。しかし同時に「トースターでここまで味が変わるとは」と感動する人が続出。高級トースターブームが幕を開けました。

ここで、“おいしいトースト”の条件が改めて定義し直されました。それが「外はサクッと、中はもっちり」と、メリハリのある食感を再現すること。これを実現するには、表面をきつね色に焼き上げつつ内側の水分を逃さないことが重要になります。

バルミューダは、トースターに5ccの水を入れて庫内にスチームを充満させることで、パン表面に薄い膜を作り、中に水分を閉じ込めたまま表面をサクッと焼き上げる「スチームテクノロジー」を開発。前例のない方式でしたが、その効果が広く知れ渡ると多くのメーカーが追随しました。

またトーストを焼いている時間が長ければ長いほど内部の水分が蒸発してしまうため、高火力かつ短時間で焼き上げる機種も続々登場。わずか0.2秒で発熱する遠赤グラファイトヒーターを搭載した日本エー・イー・シーの『アラジン グラファイトトースター』や、循環ファンや反射構造が熱効率を高めるシロカの『すばやきトースター』が人気を博しました。

一方、世間では同時期に「乃が美」や「銀座に志かわ」などの高級食パンブームが到来します。トーストせずに生の食感を味わう高級食パンブームに呼応してか、過熱水蒸気を利用したシャープのウォーターオーブントースター『ヘルシオグリエ』には、焦げ目をつけずにふっくら温める「ふわふわ(弱)モード」が搭載されました。

かつては高くても1万円程度だったオーブントースターですが、BALMUDA The Toasterの登場以降は高価格化が進み、いまでは2~3万円台かそれ以上という機種も珍しくありません。ただその分、機能面の進化は著しく、トースターはかつてないほどトースト本来のポテンシャルを引き出せるようになっています。

次なるトレンドは「窯出しの味」の再現

タイルからインスピレーションを受けたデザインも印象的なバルミューダのリベイクトースター・ReBaker(筆者撮影)

フランスパンやクロワッサン、カレーパンや総菜パンは、食パンと異なり基本的には焼かずに食べるものです。そのため、トースターで温め直しをすると食感が変わったり、真っ黒に焦げてしまったりする場合があります。このようなパンはトーストするのではなく、窯から出したばかりのように温め直す(=リベイク)のが理想的です。

そんな“窯出しの味”を再現できるトースターが、ここ1年で続々登場しています。

たとえばバルミューダからは24年2月20日、総菜パンもおいしく温められるリベイクトースター『ReBaker(リベイカー)』(税込24,200円)が発売されました。

これは、同社の寺尾社長が若い頃によく食べたという山崎製パンの『まるごとソーセージ』を上手に温め直しできなかった体験から生まれたもの。リベイクモードを使えば、ほとんど焼き色をつけることなく、パンはふわふわ、ソーセージは中まで熱々に温めることができます。

バルミューダのリベイクトースター・ReBakerは、総菜パンも作りたてのようなおいしさに焼き上げる(筆者撮影)

また、ツインバードが23年11月に発売したオーブントースター『匠ブランジェトースター』(税込2万5,800円)は、パンの世界大会「iba cup 2015」で総合優勝した浅井一浩氏が監修。表面を焼き上げる遠赤外線カーボンヒーターと、内部まで温める近赤外線ハロゲンヒーターを搭載しており、温め直しが難しいカレーパンも、外はカリカリ、中は熱々に温め直してくれます。また、センサーが庫内の温度を測り続けてくれるため、モードさえ選べば温度や時間の設定は不要です。

ツインバードの匠ブランジェトースターは、冷凍カレーパンも中まで熱々に温めることができる(筆者撮影)

人気の「冷凍クロワッサン」を“解凍”や“予熱”なしで焼ける機種も

ReBakerや匠ブランジェトースターが窯出しの味を“再現”する一方で、本当に窯出しパンを作れるオーブントースターも登場しました。バルミューダとともに高級オーブントースターブームを牽引してきたアラジンが23年9月に発売した『アラジン グラファイト グリル&トースター(フラッグシップモデル)』(税込3万9,000円)です。

高機能な温度センサーとそれらを制御するマイコンにより、トーストの焼き色を5段階で調節できるほか、「リベイク」「煮る」「蒸す」「炊飯」など12のモードを搭載。数あるモードの1つとして、冷凍クロワッサン生地を解凍なしで焼き上げてくれる「冷凍生地焼成」モードを搭載しています。

冷凍クロワッサン生地は、自宅で焼きたてのパンが食べられるとして人気ですが、通常はあらかじめ20~30分間室温で解凍し、予熱したオーブンで焼くという工程が必要です。しかし「冷凍生地焼成」モードなら冷凍生地を並べるだけで、低温解凍から焼成まで一気に行ってくれるため、誰でも手軽に窯出しパンを味わえるのです。

アラジン グラファイト グリル&トースター(フラッグシップモデル)の冷凍生地焼成モードなら、温度も時間も自動制御。筆者が試したところ2個ならだいたい35分前後で焼き上がった(筆者撮影)

新生活を豊かにする高級オーブントースター

ほかにも高級オーブントースターは、唐揚げや天ぷらなどの揚げ物を、揚げたてのようにカラッと温め直したり、高温でグリルしたりと、毎日の食事作りにも役立つ機能を搭載しています。コンパクトゆえに熱の回りが早く、オーブンより手軽ながら高火力で調理ができるメリットもあります。

新年度を目前に控えたこの時期、新生活の開始にあたってオーブントースターの購入を検討している人は少なくないでしょう。1人暮らしなど少人数世帯の場合、オーブントースターはシンプルかつ安価なもので妥協しがちですが、高級オーブントースターがあれば、いつものパンがワンランク上のおいしさになって日々の食卓も豊かになります。そう考えれば、2~3万円という価格は決して高い買い物ではないのかもしれません。


〈著者〉
田中真紀子

家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。
その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆。
出産を経て、子育てと仕事の両立に悩む中、家事をラクにしてくれる白物家電、エステに行けなくても自宅美容できる美容家電に魅了され、家電専門ライターに。現在は雑誌、webにて執筆するほか、専門家として記事監修、企業コンサルタント、アドバイザー業務もこなし、テレビ・ラジオ出演も多数こなす。これまで執筆や監修に携わった家電数は1000近くに及び、自宅でも常に多数の最新家電を使用しながら、生活者目線で情報を発信している。
公式サイト:https://makiko-beautifullife.com/