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先進国でもっとも眠らない国ニッポン。最新テクノロジー搭載の睡眠グッズで、ぐっすり眠れる毎日へ

2023.06.15(最終更新日:2023.06.16)

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先進国のなかでもっとも睡眠時間が短い日本人

日本人は世界の先進国の中で睡眠時間が最低レベルと指摘されています。
経済協力開発機構(OECD)が各国の平均睡眠時間を調査した結果、OECD加盟33ヵ国中、日本人の平均睡眠時間は7時間22分。これは、加盟国33ヵ国のなかで最も低い数値です。

「経済協力開発機構(OECD)2018年調査」OECDの調査結果より林 光緖 教授(広島大学大学院 人間社会科学研究科 人間総合科学プログラム 教授が作成したグラフ。日本の睡眠時間は加盟国中、最下位となっている

日本人の睡眠時間が短い理由は、いくつか考えられます。

まず、下記の図からわかるように、日本人は他国と比べて労働時間が長い傾向にあることが挙げられます。その背景には、日本社会全体に古くから、「睡眠時間を削っても働くことが美徳」という考え方が根付いているからであるとも度々指摘されています。

人口に占める1週間のうち49時間以上働いている労働者の割合|出典:国際労働比較 独立行政法人 労働政策研究・研修機構『 2022データブック』 (画像クリックでリンクします)

次に、夜間に浴びている光が明るすぎるということが挙げられます。夜間に200ルクス(照明の明るさの程度を表す単位)以上の光を浴びると睡眠に悪影響があると言われるなか、日本では一般家庭の室内照明が夜でも400〜500ルクスに達しているとも言われています

「睡眠負債」により、年間GDP約15兆円の損失!?

慢性的な睡眠の不足は、作業効率や、勤労意欲に大きな影響を及ぼします。睡眠研究において用いられる用語として、睡眠負債というものがあります。

これは、睡眠を十分にとれず寝不足がたまっている状態を、借金になぞらえて表現している言葉です。睡眠不足の状態は、たとえ少しずつでも、積み重なることにより大きな負担となっていく、ということを表しています。健全な身体を維持し仕事の生産性を上げるには、この睡眠負債を解消し、良質な睡眠をとることが欠かせません。

国民の睡眠不足により、海外と比較して「日本は国家レベルで大きな損失を生んでいる」と推測される調査結果があります。

アメリカのシンクタンク、ランド研究所が2016年に公表した調査資料によると、1日6時間未満睡眠の労働者は、7〜9時間睡眠の人よりも、生産性の損失が平均で約2.4ポイント高い傾向にあります。さらに、6〜7時間睡眠の労働者は7〜9時間睡眠の人よりも、約1.5ポイント高いことが報告されており、睡眠時間が短ければ短いほど、生産性が落ちていることが見て取れます。

この数値と、OECD加盟の5ヵ国、日本、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツにて観測された各睡眠時間と、労働人口の規模の違いを考慮して計算した場合、毎年各国ではかなりの労働時間が失われていることが明らかになっています。下図の青い円で囲まれた数値は、各国のGDP(国内総生産)に対する、損失見込みの割合を示しています。

睡眠不足による生産低下に起因するGDP損失見込み|出典: Rand Corporation(画像クリックでリンクします)

上記の値をもとに概算すると、日本では、睡眠不足により年間平均60万4,000労働日が失われているという結果になります。これは、最大1,380億ドル、すなわち日本のGDPの2.92%に値する、約15兆円もの損失となります。

睡眠不足を解消し、生産性を上げるためどういった対策ができるでしょうか。対策の一つとして、テクノロジーを活用するという手段があります。

近年は睡眠とテクノロジーを掛け合わせて「睡眠の質向上」をはかるグッズが続々登場

睡眠アプリの代表例を紹介

睡眠不足を解消するために、眠りの質を向上させるという方法があります。そんな時に役立つアイテムが、睡眠アプリです。アプリは、睡眠の深さに応じたステージ毎の集計データを分析するのが得意です。

たとえば、レム睡眠(浅い眠り)のタイミングに合わせてアラームを鳴らすタイミングを自動で調整してくれます。ノンレム睡眠(深い眠り)の最中に無理に起こされず、さわやかに目覚めることができます。

また、快眠に導く穏やかなヒーリングサウンドなどを収録しているものも、多く見受けられます。

睡眠アプリの代表例3つを紹介します。

熟睡アラーム

『熟睡アラーム』は、「アラームを設定して寝る、起床後アラーム止める」という動作をするだけで、睡眠データを多角的に記録してくれるアプリです。睡眠時間・睡眠効率・睡眠の質はもちろん、いびきをかいている時間や音量なども計測できます。

また、ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)と呼ばれる、「平日」と「休日」の睡眠時間やライフスタイルの差異から生じる、いわゆる時差ボケ(体内時計の不和)を定量化できるのも、大きな特徴の一つです。ソーシャルジェットラグはさまざまな健康リスクを引き起こし、特に肥満リスクが33%増えるとも指摘されています。ダイエットをしている人や、積極的に病気予防をしたい人におすすめです。

Sleep Cycle

『Sleep Cycle』は、ほかのアプリに比べて、「ベッドに入る前にアプリを起動させ端末を枕元に置くだけ」と、気軽に使えるのが魅力です。操作が簡単なため、日々タスクに追われる忙しい人や、デバイス操作が苦手なシニア層にもおすすめです。

『Sleep Cycle』は独自技術によって、睡眠中のユーザーの呼吸音やいびき、寝返りによる振動をもとに、まずは動作をトラッキングします。動作のデータから、いつ、どのタイミングで、どの睡眠ステージにいるかを分析します。

Apple Watchとの連動も可能なため、外出時にはApple Watchから操作すれば、スマホのバッテリーを節約できるというメリットもあります。残念ながら、睡眠導入サウンドは収録されていません。

いびきラボ

『いびきラボ』は名前のとおり、いびきの計測に特化したユニークなアプリです。高度な検出アルゴリズムによっていびきを正確に認識し、録音します。録音後の再生は無料で行うことが可能です。(睡眠アプリによっては録音データの再生に課金が必要なものもあるため、注意しましょう)

録音したデータは、週ごとにスコア化され、分析をもとにユーザーに最適なアドバイスを提供してくれます。いびきは睡眠時無呼吸症候群の手がかりにも成り得るため、「疑いがあるが、まだ病院に行くのは気が引ける」という方にもおすすめです。

一方で、「録音アプリ」としての毛色が強いため、アラーム機能などはありません。

睡眠アプリ以外のグッズを紹介

スマートAI枕 『ZEREMA(ゼレマ)』

『ZEREMA(ゼレマ)』は、枕の高さをユーザーが「最も心地よいと感じる位置」に自動調節するAI搭載のスマート枕です。

また、睡眠中のいびきを感知すると、内部に搭載されたエアポンプによって、首が押し上げられることで気道が広がり、軽減することができます。いびきを音声感知する際に、誤って物音や他人のいびきを感知しないよう、使用者の寝音をAIがディープラーニングにより判別できるので安心です。

いびきは「毎朝起きるとのどが痛い」といった本人の健康上の問題や、「家族に迷惑をかけてしまう」などの周囲への影響の心配があります。深刻な場合は病院で治療を受けることもできますが、スマートAI枕の登場により、「まずは気軽にセルフメディケーション」という、選択肢が増えました。

加えて、『ZEREMA(ゼレマ)』は通常の枕としても優秀です。人間工学に基づいたデザイン設計で、頭の重さを均一に分散して負担を軽減します。さらに、「メモリーフォーム」という、優れた体圧分散機能と抜群の柔らかさを両立した素材を採用しており、安定的に体を支え、心地よい睡眠をサポートします。

スマートAIマットレス『NEWPEACE(ニューピース)』

『NEWPEACE(ニューピース)』は、AIが睡眠データを収集して最適なアドバイスをしてくれるスマートマットレスです。ベッドで利用する場合、ベッドマットの上に設置して利用します。AIが「非接触センサー」により睡眠データを取得し、分析・アドバイスをしてくれます。

また、人は眠りに落ちるとき、体からの放熱により体温が下がり、睡眠が深くなるというメカニズムをもっています。入眠時に体を温めることで、深部体温の放熱を促し、深い眠りをサポートします。

加えて、目覚まし機能も優秀です。マットレスの温度がおだやかに上昇し、自然な振動とともに、さわやかな目覚めを迎えられます。

スマートAIアイマスク『LUUNA』

スマートAIアイマスク『LUUNA』は、睡眠中に装着するだけでAI脳波を分析してくれるスマートアイマスクです。額にあたる部分に内蔵されている3つのEEG脳波センサーが、睡眠中の脳波を測定し、リアルタイムで脳波を分析します。専用アプリからスコアを確認することができます。

分析結果をもとに、AIが最適なリラクゼーション音楽を奏で、さらに、睡眠ステージに合わせて音楽の音量を自動調整し心地よい睡眠をサポートします。

仮眠専用の目覚まし機能では、ノンレム睡眠(深い眠り)に入る直前にAIがミュージックの音量を上げて優しく起こしてくれます。

まとめ

睡眠不足は倦怠感や眠気をもたらすだけでなく、生産性を低下させる要因となります。仕事や勉強、家事、育児など忙しい現代人にとって、睡眠の質の改善は重大なテーマです。最新IT技術を駆使した睡眠グッズを活用すれば、目覚めるのが楽しみになる毎日に出あえるかもしれません。

編集/福永奈津美 文/岡田健汰