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ケンブリッジなど「世界最高峰の授業」も受講可能に…教育×テクノロジーの現在地

この記事は1年以上前に書かれたものです。現在は状況が異なる可能性がありますのでご注意ください。

2023.03.17(最終更新日:2023.03.28)

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技術革新により、テクノロジーの恩恵は教育現場にも浸透しはじめています。格差社会が広がる現代社会において、誰もが受けたい教育をいつでも受けられる……そのような「理想的な社会」がすぐそこに迫っているのです。テクノロジーの発展により実現されようとしている「教育」の最前線をみていきましょう。

「受動的な教育」から「能動的な教育」への変化

これまでの教育は「暗記させること」に特化しており、とにかく多くの知識を詰め込むためのカリキュラム主体でした。この「詰め込み型」の教育形態は、長年にわたって受け継がれてきました。

決められた時間に学校へ通い、興味があろうとなかろうと、クラスごとにひとりの教師から勉強を習うというこの風習に、ひとつの変化が生まれようとしています。それは「受動的な教育制度」から「能動的な教育制度」への変化です。

読み書きなどの基本的な勉学は必要不可欠であり、これを省くということはありませんが、教わるだけの一方通行から、自分が興味を持ったことを深堀りしていこうとする動き。これこそ大きな変化だといえるでしょう。

こうした動きが生まれた背景には、教育テックの発展があります。かつては教師が黒板に書いたことをノートに記して覚えた学校教育ですが、今では試験的にではあるものの、PCやタブレットを使って授業が行われています。

これまでは、教師が一方的に教える受け身の教育が一般的でした。しかしこうしたスタイルでは、各生徒がどの程度理解できているのか、教師が把握することは非常に困難でした。結果として、生徒一人ひとりのフォローができず、格差が広がるばかりでした。

しかし教育のデジタル化が進めば、教師と生徒の間でのアクティブ・ラーニングが可能になります。タブレット端末に直接書き込み送信できるので、教師は1台の端末で生徒全員の理解度を把握することができるようになります。

同時に、教師と生徒の双方から発信できるようになれば、生徒からの意見や質問の機会が増えることになるので、自ら学ぶ意識を高められるでしょう。

このことは教師から教わった内容をリアルタイムで自ら調べ、能動的に知識を得る、という大きな変化をもたらすことも期待できるのです。


また、都市部と地方の地域格差解消も期待されます。一般的に都市部というのは、さまざまな職業や教育施設が集中する傾向にありますが、地方では人口が少ないうえに教育者の絶対数も不足しがちでした。

加えて、学校教育以外の塾や予備校といった教育サービスについても、都市部ではさまざまな選択肢がある一方、地方では人材不足や立地の面から都市部と比べても「選択肢」が限られます。

しかし、教育テックの発展によって、場所を選ばずに同じ質のサービスを受けられるようになります。そしてこれは対国内に留まらず、対世界であっても同様です。

「世界最高峰の教育」をどこにいても受けられる時代に

このように、教育テックの発展とは新たな学びの場を提供できるツールの誕生、と言い換えることができます。いつどこにいても、誰でも受けられる教育の実現。場所を問わずに学べるという選択肢ができたことで、これまでできなかったことが可能となりつつあるのです。
こうしたなか、世界ではインドのVedantuというEラーニングが注目されています。これは3歳から18歳を対象とした、経験豊富な教師によってライブ型授業がおこなわれています。インターネットを通じて、教師と生徒がいつでもどこでも繋がれる仕組みとなっており、わからないことなど質問が生じた場合でも、その場で解決することができるのです。

授業形式はマンツーマンの個人クラスから、多ければ数百人が同時に授業を受けられるクラスまで実に多彩。費用面においても無料と有料の2つが用意されているので、少なくとも授業を受けられない、という状況には陥りません。

毎月3,500~4,000万人もの利用者がおり、YouTubeチャンネルにもコンテンツ提供していることから、その視聴者数は実に6,500万人にものぼっています。

気になる授業内容ですが、学校のカリキュラムとは少し違っています。

3つの年齢でグループ分けされており、いちばん低学年のグループでは、英会話やコーディングを教えています。それより上のグループでは、英語に加えてヒンディー語や数学、社会や科学に加え、コンピュータサイエンスを学べます。さらに入学試験対策が必要となる11~12年生には、医学部や工学部受験対策のクラスまで用意されているのです。

もちろん無料ライブが用意されていますが、安価なコースで月額1~10ドル程度、もっとも高額なものでも1,000ドル程度と、家庭への金銭的負担がほぼかからないような設定になっています。

日本でも徐々に普及する「オンライン留学」

また、先進国である日本の教育市場においても、教育テックの進化によって大きな変化が生まれています。

たとえば、イギリスの名門『ケンブリッジ大学』をはじめとして、オプションで「オンライン通信教育」を選べる大学が増えています。通信教育で大学に通えるとなると、ピザ申請が不要であったり、現地での滞在費が節約できたり、非常に大きなメリットがあります。海外の大学で学んでみたいが、費用面で諦めざるをえなかった人も決して少なくなかったこれまでと比較すると、海外留学のハードルが大きく下がりました。

オンライン留学のもっとも大きな恩恵は、なんといっても留学費用を抑えられるという点でしょう。これまで留学にかかる学費以外の費用は、渡航費で約20万円、保険などで約20万円、ピザやパスポートの申請費が約7万円と、すべてあわせると約50万円もかかっていました。加えて現地での生活費が年間250万円と換算すれば、4年間で1,000万円。この1,000万円が、オンライン留学では不要となるのです。

また、スケジュールの面でも非常に大きなメリットがあります。わざわざキャンパスに通う必要がないので、時差の点さえクリアできれば気軽に利用可能です。日中は仕事に追われ、夜帰宅してからしか時間がとれない人や、留学のためにいまある環境を大きく変えることに抵抗がある人であっても、オンライン留学であればスケジュールの自由度が高いため、自分の時間の都合で受講できるという強みがあるのです。

テクノロジーで広がった「教育の可能性」

技術革新によって多くのシステム、サービスが開発され、教育現場においてもさまざまな選択肢が増えてきた現代。経済格差などの根本的な課題は残されてはいるものの、「教育を受ける権利」を守るための技術革新は、日々進歩しているといえるでしょう。

教育の現場は、時間も場所も選ぶことなく、学ぶ意思さえあれば、いつでも学ぶことのできる、ひと世代前では考えられなかった環境が整いつつあるのです。

また、テクノロジーの発展により、これまでの暗記型の学習方法から、疑問に思うことを自ら探求し、答えを見つける、という考え方へとシフトする必要があるでしょう。受動的な教育から能動的な学びへ……この変革のうねりが、日本を含め世界中で始まっているのです。