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急速に発展するフィンテック業界。最先端テクノロジーがもたらす未来に注目

2022.09.27(最終更新日:2022.09.27)

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「フィンテック」という言葉を近年よく耳にするようになったかと思いますが、その意味や、実際に活用されているサービスなど、詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。日常のなかで利用する機会が増えているスマートフォンを使ったキャッシュレス決済や個人間の送金なども、フィンテックのサービスの一つです。

フィンテックという言葉は、アメリカで2000年代前半頃から使われ始め、現在では金融機関向けにサービスを提供する独立系の大手ITベンダーなどが「フィンテック企業」と呼ばれています。
最近では、金融サービスが十分に普及していなかった発展途上国や新興国でも、スマートフォンを利用した金融サービスが広がりつつあります。

今回は、フィンテックの定義や具体的な分野やサービス、そこで使われるテクノロジーから今後の将来性まで解説します。

フィンテックとは?

フィンテック(Fintech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語で、金融サービスとIT技術を結び付けた、新しいサービスや動きのことです。
IT企業と金融機関が連携してサービスを提供することが多く、双方の知見や情報を組み合わせることで、今までにない便利な金融商品やサービスが提供されるようになりました。
例えば、銀行口座と連携した家計簿アプリや、キャッシュレス決済、近年話題の暗号資産(仮想通貨)や個人資産運用のシミュレーションなど多岐にわたります。

また、金融機関以外のさまざまなビジネスや、私たちの生活にも変革を起こすDX(デジタルトランスフォーメーション)※を推進する要因としても注目されているのです。

※DX(デジタルトランスフォーメーション)=デジタル化により社会や生活のスタイルが変わること

フィンテックのはじまりと歴史

フィンテックは1860年代に海底ケーブルを用いた電子資金振替(ネットワークを利用した送金・決済)が起源とされています。その後、技術の進歩に伴いクレジットカード、ATM、オンラインバンキングなどが世界中で広く利用されるようになりました。

さらには、2008年のリーマンショックで既存の銀行に不信感が高まったことにより、加えて高性能なカメラや生体認証機能を持つスマホが急速に普及したことが、フィンテックの成長を加速させたとも考えられています。

フィンテックが提供する幅広いサービス

フィンテックは私たちが普段利用しているお金周りの幅広いサービスを提供しています。ここでは具体的にどのようなサービスがフィンテックと呼ばれているのか解説していきます。

まずは主なフィンテックサービスをチェック!

フィンテックのサービスには主に以下のようなものがあります。

カード決済

顧客が店舗に支払う利用代金をクレジットカード会社が立て替え、後日、引き落としなどで購入代金分の金額が支払われます。

スマホ決済

クレジットカードをスマートフォンに登録し、クレジットカードの代わりにスマホで決済できるシステムです。

電子マネー

現金をデータ化して決済を行います。交通系のICカードや、バーコード・QRコードを介してスマホで決済可能なサービスが代表的です。

ネット証券

インターネット上の操作のみで、出入金をはじめ、株式の売買注文などの証券取引を行うサービスです。

ネット生命保険

インターネットから生命保険の申し込みができるサービスです。

オンラインバンキング

インターネットを利用した銀行などの金融取引のサービスです。インターネットバンキングとも呼ばれることもあります。

クラウドファンディング

インターネットを介して、不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達するサービスです。個人から企業まで、あらゆる規模のプロジェクトが存在します。

暗号資産(仮想通貨)

インターネット上で現金のようにやり取りできる現物のない電子データ資産です。以前は「仮想通貨」と呼ばれていました。

ロボアドバイザー

AIを活用して投資診断や投資アドバイス、運用サービスです。利用者の資産運用目的などを考慮して、合理的な投資配分を提案してくれます。

テレマティクス保険

車載のナビゲーション端末から走行距離などの情報を取得し、走行距離に基づいた保険料算定に役立てます。「ドライバーごとに保険料が細かく算定される」という特徴の自動車保険です。

フィンテックを支えるテクノロジー

フィンテックのサービスに使われているテクノロジーについても説明していきます。

ブロックチェーン/分散型台帳技術

ブロックチェーンは世界中のコンピューターで情報を管理し合うネットワークシステムです。「分散型台帳技術」とも呼ばれており、データを分散させることで、改ざんや破壊のリスクを下げることができます。

AI

AIは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略で、コンピューターがデータを分析し、認識や推論、判断などの人間の知的能力をコンピューターで可能にするための技術のことです。
主に、企業の財務データ、株価の情報、経済指数などのビッグデータの解析や管理に活用されており、フィンテックでは、株の売買や窓口業務の自動化、顧客の質問に答えるチャットボットなどに取り入れられることが多いです。

IoT

IoTは「Internet of Things」の略で、あらゆるモノをインターネットにつなぐ技術のことです。
コンピューターだけでなく、自動車や電化製品など身の回りのモノがインターネットにつながると、さまざまなデータが生成できるようになります。

API

APIは「Application Programming Interface」の略で、ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐ仕組みのことを指します。フィンテックでは、API連携を通じて銀行が持つデータを提携先のアプリで使用できるようにするオープンバンキングが広がっています。
例えば家計簿アプリでは、API連携によって銀行口座の残高やクレジットカードの利用額を家計簿へ自動的に反映させることが可能です。

生体認証

生体認証は、個人によって異なる身体的特徴をもとに本人確認する認証技術で、指紋や静脈などのデータを登録し、認証時に照合します。
暗証番号やパスワードのように記憶する必要がなく、なりすましや偽造のリスクが低いシステムです。

キャッシュレスが進む中国では、顔認証による決済や虹彩認証によるATMや銀行の本人確認システムとしても取り入れられ始めています。

フィンテックの技術を用いたサービスを提供する企業に興味がある方は、下記関連記事をご覧下さい。

フィンテック企業の代表事例を紹介!注目すべき国内・海外の有名ベンチャーは?

成長を続ける国内フィンテック市場

さまざまな技術を用いて実現されているフィンテックのサービスですが、ここでは国内におけるフィンテックの市場規模の見通しを紹介します。

2022年度の国内フィンテック市場規模は1兆2,102億円と予測

株式会社矢野経済研究所が2019年に発表した調査(出典1)では、2018年度の国内フィンテック市場規模は2017年度比42.7%増の2,145億円、2022年度には1兆2,102億円に達すると予測されました。背景には家計簿・資産管理アプリを導入する地方銀行が増えたり、融資の分野でもAIを使った審査が進んだりしていることがあります。

新型コロナウイルス感染症の流行によって、金融取引の多くが人との接触を避けられるネットに移行すると考えられ、今後もフィンテック企業の成長は続くと見られています。

今後予想される展開

フィンテック市場は、年々その規模を拡大させています。
今後は、どのような変化が見込まれるのでしょうか。現状の課題や、トレンドを踏まえ気になる動向を解説していきます。

世界的な現金利用の低下

キャッシュレス決済が進む背景には、利用明細や履歴が簡単に確認できたり、ポイントが貯まったりと、消費者にとって現金利用では得られないメリットがあることも挙げられます。
日本では、経済産業省が事業者を対象に実施した「キャッシュレス決済 実態調査アンケート」(出典2)が2021年6月に公表されました。
「回答した事業者におけるキャッシュレス導入率は約7割」という結果が報じられています。キャッシュレス決済を導入することで、事業者にとっても「レジ締め・現金計算をはじめとする管理負担の軽減」「会計時の釣り銭ミス防止」「強盗リスクの回避」など多くのメリットがあります。
また、キャッシュレス化の浸透は、訪日観光客のインバウンド経済効果の面でも、多岐にわたるシナジーが期待されます。

組み込み型金融の進展

非金融事業者が自らのサービスに金融サービスを埋め込んで提供する「組み込み型金融」が2021年のトレンドとなりました。国内の事例では、住信SBIネット銀行が提携先に銀行機能を提供しています。
家電小売チェーンのヤマダ電機を運営しているヤマダホールディングスではこれを利用し、金融サービス「ヤマダNEOBANK」を開始し、利用者はスマートフォンアプリ「ヤマダデジタル会員」を通して、預金や決済、家具や家電の購入資金を組み込んだ住宅ローンを利用することができます。

組み込み型金融サービスが広がると、直接銀行に出向いてお金を振り込んだり引き出したりすることなく、スムーズにお金のやり取りを行うことができるようになります。例えば、「ECサイトで審査なしの後払いがすぐに選べる」「ライブ配信の報酬がすぐに振り込まれる」など、スピーディーな金融体験を実現できることが、組み込み型金融がもたらす未来だと言えるでしょう。

ブロックチェーンの新展開(NFT・DeFi・STO・デジタル通貨)

フィンテック分野の一つである、ブロックチェーンの技術を用いた新たな仕組みが登場しています。
日本ではデジタル資産の一種であるNFTや金融機関を介さずに金融取引を行う仕組みDeFi、不動産や権利(特許や著作権)などの実在する資産をデジタル証券化したSTOなどが台頭しました。他国でも中国政府が法定デジタル通貨として「デジタル人民元」を発行するなど、デジタル通貨の議論も盛り上がっています。

決済ビジネスの構造変化

三菱UFJ銀行など3メガバンク、りそな銀行、埼玉りそな銀行の5行はスマホ向け少額決済インフラ「ことら」の開発を進めています。
従来よりも低額の手数料で1回あたり10万円以下の少額送金が可能になる見込みです。これらはキャッシュレス化の流れを加速させ、企業にとっては新たなビジネスの創出機会に、消費者にとっては無料に近い手数料で送金できる機会が増えていくでしょう。

BNPLの認知と利用拡大

インターネットや店頭で購入した商品を後払いするサービス「BNPL」(Buy-Now-Pay-Later)が2021年に注目を浴びました。
AIが利用者の購買履歴などを分析し、わずかな時間で与信審査を実施できるのが特徴で、国内取扱高は2020年度で8790億円と推計しており、2025年には後払い決済サービス市場が1兆9千億円を超えると予測されています。BNPLが浸透することで、「クレジットカード不要で後払いができる」ことがより身近なものになるでしょう。

発展途上国への拡大

フィンテックを活用したサービスのなかで、決済サービスは導入コストが低く発展途上国や新興国にも拡大しています。
ケニアでは2007年から携帯電話を使った送金サービス「エムペサ」がスタートしました。携帯電話でのショートメッセージ送信などにより送金・出金・支払いができる仕組みで、銀行口座を持たない人が多いアフリカで大きなシェアを獲得しています。

フィンテックは日本のようにすでに金融インフラが整っている国よりも、発展途上国や新興国の方が急速に普及するという見方もできるでしょう。貧困問題の解決、経済格差の是正など、発展途上国が抱えるあらゆる課題に対して、良い効果を生み出すことに期待が寄せられています。

フィンテック分野で日本は後れを取っている!?

ここまでフィンテックの概要と現状について紹介してきましたが、最後に日本におけるフィンテックの現状と未来について考えていきましょう。日本のフィンテック市場は、アメリカ・中国・イギリス・香港などの諸外国に比べて後れを取っているという見方もあります。


フィンテックの発展の過程は、以下の3フェーズに分けられます。

・アンバントル
既存金融機関の提供する全方位型サービスを「アンバンドル」(分解)し、部分的に提供するという競合型のビジネスモデルです。世界では2010〜12年頃に発展しました。

・エコシステム
ほかのスタートアップや既存金融機関とのコラボレーションをベースとし、顧客ニーズを重要視した商品・サービスを開発するという潮流です。ブロックチェーンをはじめとする革新的なテクノロジーが後押しとなり、世界では2014年頃に普及が進んだと言われています。

・社会構造変革
2016年以降に始まった第3フェーズでは、官民連携やエコシステム形成を通じて社会的課題への対応を試みるスタートアップが多く見られ、革新的な商品・サービスが生まれています。

日本は諸外国に比べ「銀行口座を持たない層」がほとんどおらず、金融構造の変革に対する需要が低かった背景から、「アンバンドル」のフェーズでフィンテックが浸透しなかったと考えられており、それゆえ「後れを取っている」と見られています。
そのような中、2021年に「銀行法等改正」「資金交付制度」といった、新しい制度や改正法が施行されました。銀行が可能な業務範囲が拡大されたことで、2020年以降でさらなる異業種とのコラボレーションやオープンイノベーションが加速してきており、今後フィンテックが浸透していくことが予想されます。

フィンテック業界の発展が世界を変える

ここまで、フィンテックの定義や具体的なサービス、そこで使われるテクノロジーについて紹介しました。また、日本や世界全体でフィンテック業界がどう発展しているのか、そして今後の将来性についても述べました。

リーマンショックをきっかけに大きな注目を浴びたフィンテックは、金融に関わる職業の人だけでなく全ての人にとって欠かせないテクノロジーとなっています。今後もさらにフィンテック市場が活発化していくことで、お金に関わるやり取りがよりスムーズになることでしょう。私たちの生活を変えていくであろうフィンテック業界には要注目です。