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買い物、旅行、物件選びも!身近で活用広がるVRの世界。今後の動向も大胆予想

この記事は1年以上前に書かれたものです。現在は状況が異なる可能性がありますのでご注意ください。

2023.03.17(最終更新日:2023.03.28)

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360度に映し出された映像の中で様々な体験ができるVR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)。エンターテインメントの領域で多く活用されてきましたが、実はビジネスでの活用も進んでいます。VRの最新技術、ビジネス事例、トレンドについてご紹介します。

VRをビジネスに導入する意義

いまや、VR技術は教育や医療といった様々なビジネスシーンでも活用される場面が増えてきました。ビジネスでのVRの活用は新たな価値を生み出す可能性を秘めているとされていますが、実際にどのような分野・場面での活用が期待できるのでしょうか。

VR技術を活用することで、現実に近い状況を再現し、効率よく技術習得ができます。具体的には医療現場における手術、危険な状況下での作業、災害発生時の対処などです。このように現実の世界では体験することが難しいシチュエーションであっても、状況を再現して技術習得を行うことが可能です。



VRを応用すれば、開発にかかるコストを削減も実現できます。例えば、これまで工業製品や建造物などは、設計し、模型を作って検証するという工程が必要でした。ここにVRを導入することで、実際に作るよりも工程や材料調達などの手間を省くことができその分コストダウンが可能です。

また、先述したように遠隔地からの体験の共有にも活用できるので、移動する必要がなくなり、そのコストをおさえることができます。

導入の手間、VR酔いなどの課題も

VRを導入することで実現可能になることはたくさんありますが、実際には不具合が生じることもあります。

すでに様々な場面で導入が進んでいるとはいえ、VRはまだまだ新しい技術です。新規導入にはそれなりにコストがかかり、また技術的な問題もクリアする必要があります。

企業などの発注側に十分な理解が足りない場合、「このくらいのことはできるだろう」といった推測のもと、該当分野での通常時における作業や動作をVR技術開発の受注側に求めることがあります。しかし、実際には発注者側が求めるレベルまでの開発ができない場合もあります。

また、まれにVRの映像と感覚とのずれから、車酔いのような症状になる人がいます。そのような人にとってVRを利用することは困難なことであるといえます。

VRをビジネスで導入した実際の事例

では、実際にVRが導入された現場の成功事例をみていきましょう。

医療の現場では、医師が患者の診察や手術、緊急医療の現場といった様々な状況をVRで体験することができます。特にアメリカでは、VRによる仮想空間で手術のシミュレーションを行い、成功率を高める試みが進んでおり、一定の成果をあげています。

日本でも、歯科医療機器の「モリタ」が、歯科医師がVRを利用して治療を行えるシステムを開発しています。これは、カルテ情報や器具のCG情報を重ね合わせたシステムで、歯科医師が仮想空間のCG画像のガイドを見ながら、現実空間で治療を施せるというものです。

不動産業界では、VRを利用することで、わざわざ現場に行かなくても物件の見学をすることが可能となっています。

実際に株式会社リニューアルストアでは、VRで中古物件のリフォーム後の姿を体験できるサービス「MITEKURE」を運営・提供しています。

VRを利用して、模擬旅行を体験することもできます。各地の旅行をVRで体験したうえで、実際の旅行を申し込むという使い方もできるでしょう。また、病気や高齢で実際の旅行をすることが難しい方へのサービスとしても活用できます。

「エース株式会社」はwebサイトで「世界VR旅行」というコンテンツを展開しており、世界の有名観光地を体験できるサービスを提供しています。

ショッピングサイトの構築にVRを活用する企業も増えています。まるで実際の店舗にいるかのように商品を選んで購入することが可能です。

「三越伊勢丹ホールディングス」のスマートフォンアプリ「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」では、仮想空間に伊勢丹新宿店を設置しており、店内で買い物をすることができるようになっています。

「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」では、社内研修にVRを導入しており、VRを使ってチキンの調理方法が学べます。実際の研修では約25分かかるとされる調理の習得が、VRでは10分ですむとされています。

VR・AR・MRの違いとは?

ところで、「VR」と「AR」「MR」の違いはご存知でしょうか?どれも近年、よく聞く言葉ですが、これらは似ているようで明確な違いがあります。

コンピュータ上に仮想空間を作り出し、あたかもそこにいるかのような感覚を体験できるのが「VR」(Virtual Reality : バーチャルリアリティ/仮想現実)です。パソコンやスマートフォンでも体験できますが、VR用のゴーグルを装着すると、完全にその世界に入り込むことができるのがAR・MRと大きく違う点です。

「AR」(Augmented Reality/拡張現実)は現実の風景にさまざまな情報をつけ加えて表示し、現実世界を拡張する技術です。VRと違って現実世界が主体で、スマートフォンやARグラスの画面に表示して利用するのが主流となっています。

そして「MR」(Mixed Reality/複合現実)は「現実世界と仮想世界を融合させた世界を作る技術」です。VRのような仮想オブジェクトをARとして現実世界に重ね合わせたもので、いわばVRとARを組み合わせたものだといえるでしょう。

意外に古いVRの歴史

これまでみてきたように、VRの活用範囲は拡大を続けています。VRが普及し始めたのは2016年頃だとされていますが、実はその歴史は意外に古く、1968年にコンピュータ研究者のアイバン・サザーランドという人物が史上初となるヘッドマウントディスプレイを開発したことが始まりだとされています。

その後、1990年代に入るとアップルが「QuickTimeVR」を発表し、最初のVRブームが起こります。しかし、当時はまだ大掛かりな設備が必要で、値段も高かったため、一般に普及するまでにはいたりませんでした。

1度は表舞台から姿を消したVRですが、2012年にOclusVR社のヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」が発売されると再び注目されるようになりました。2013年には開発キットが発売され、コンテンツ制作が盛んに行われるようになります。

当初はゲームで注目を集めたVRですが、その後はゲーム以外の分野でも活用されるようになり、一般にも普及し始めました。じつに発表から50年以上の時間を経て普及したわけですね。

現在はVRデバイスの市場が拡大し、需要が伸び続けています。ヘッドマウントディスプレイの性能も高機能化し、より安価なものが次々と発表されてトレンドとなっています。

最新VR機器(ヘッドマウントディスプレイ)の優れた性能

今でもやはり主流となるのは、頭に装着するゴーグル状のディスプレイである「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」です。本体さえあればVRを体験できる「スタンドアローン型」のほかに、パソコンやゲーム機に接続したり、スマートフォンをセットして使うモデルも登場しています。以下、いくつかご紹介します。

「HTC」が販売するスタンドアローン型のヘッドマウントディスプレイ「VIVE FLOW」は、「6DoF」に対応し、軽量でコンパクトでありながらも高い自由度を誇ります。高機能で操作性にも優れており、扱いやすいモデルです。

「Meta」のスタンドアローン型のヘッドマウントディスプレイ「Meta Quest 2」は、高画質な映像、音響のバランス、充実したコンテンツで人気の高いモデルです。コードレスなので扱いやすく、ゲームやフィットネスの利用に向いています。

SONYが開発した「PlayStation VR2」は、「PlayStation®5」と接続して使う、ゲームファンが注目するモデルです。これまでのPlayStation用のヘッドマウントディスプレイよりも遥かに高い解像度を実現し、より鮮明に構築された仮想空間を楽しめます。

「400-MEDIVR9」は、「サンワサプライ」が販売しているスマートフォン向けのモデルで、ほぼすべてのスマートフォンに対応しています。眼鏡をしたままでも利用でき、ダイヤルで調整できたり、イヤホンを通すスリットがあったりと、安価ながら使い勝手のよいモデルです。

また、最近では眼鏡型の「MRグラス」にも注目すべきモデルが登場しています。

「Microsoft」のスタンドアローン型MRグラス「HoloLens 2」は、前モデルに比べて着用感が改善し、解像度やハンドトラッキングの性能も大幅に向上しました。スタンドアローン型なので単体でも動作します。

2023年現在のVRの将来性。注目のフルダイブ技術とは

これまでみてきたように、近年ではさまざまな分野でVRの導入が進んでいます。

最後にVRの将来性を考えるうえで欠かせない「フルダイブ技術」についてご紹介します。

「フルダイブ技術」とは、仮想現実と五感を接続することで、「意識全体が仮想世界に入り込める」とする概念です。近年の急速な技術革新により、早ければ2030年頃には技術が確立するのではないかという意見もあります。

一方で、フルダイブを夢物語にすぎないという意見もみられます。いずれにせよ、今後ますます現実空間と仮想空間の距離は縮まっていくでしょう。さらなる研究の結果が待たれるところです。

[プロフィール]
飯塚祐世
株式会社スタルジー代表取締役。新卒でベンチャーの WEB 制作会社にエンジニアとして就職。3 年後に介護・医療系のメガベンチャーである株式会社エス・エム・エス(東証プライム上場)に転職し、エンジニア兼マーケターとして従事。その後起業をし、WEB システム開発や WEB マーケティングを主な事業としている。