横浜に搭乗した「動く実物大ガンダム」…130万人が観覧
20年11月末、アニメ作品の中の設定と同じ身長18mの「動く実物大ガンダム」が横浜山下公園の「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」(GFY)に登場しました。854日間 (2023年10月5日時点)の営業で、約130万人が来場したことが発表されました。また、コロナ禍が落ち着いたことで海外旅行者も急増、32万9,000人に達しています。
実際に目の前で動く巨大なガンダムを実際に目撃し、いままでアニメでしか観ることができなかった実物サイズのガンダムの雄姿に、感動を覚えた人も少なくないでしょう。
また、「動く実物大ガンダム」を題材にした小中学生を対象に体験型教育イベント「エデュケーショナルサポート」が複数回開催されるなど、教育面でも多くの功績を残しています。イベントには累計で76校、5,487名の児童、444名の教員(引率者)が参加し(2023年9月の時点)、巨大なガンダムが動く仕組みを学び、その迫力を体験しました。
ガンダムの指を遠隔で操作し、ジャンケン大会も行われました。「動く実物大ガンダム」は、ガンダム世代のアニメファンが抱く夢を形にしただけでなく、次の世代を担う子ども達に、「巨大ロボットも現実に作れる」という科学の可能性と夢の種も届けたのです。
その「GFY」は、あらかじめ発表されていた通り2024年3月末日をもって終了します。
運営や開発を行ったEvolving Gチームのテクニカルディレクターをつとめた石井啓範氏は、「横浜の『動く実物大ガンダム』は終了しますが、究極の目標は自立して操縦できる実物大ガンダムを作ること」と語っています。
巨大・変形ロボット『アーカックス』登場…身長4m、販売価格は4億円
その石井氏が開発に携わるもうひとつの巨大ロボット、身長4mの『アーカックス』(ツバメインダストリ製)が2023年8月に報道関係者向けに発表され、4億円という価格で発売されました
『アーカックス』はボディ前面のラダー(ハシゴ)を昇って操縦席に入り、操縦が可能です。遠隔操縦もでき、ビークルモードに変形すれば最高時速10km/hで走行できます。
上の標準モデルのほか、マクロスに登場した『バルキリー』等のデザインを担当した河森正治監督が手がける特別モデルも登場。新デザインは、10月26日から東京ビックサイトで開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」でお披露目となりました。
現時点での巨大ロボットは、乗って動かしたり、遠隔操作したりして楽しむエンタテインメントを目的としています。人の代わりに何か大きなモノを運ぶことはできませんし、公道を走ることもできません。
しかし、これらの巨大ロボットは、工場や倉庫、工事現場で働いたり、災害現場で救助活動したり……そんな将来を予感させてくれます。
機動警察パトレイバーの『イングラム』を搭乗型ロボットとして開発
2023年8月には、MOVeLOT社が開発した、身長3mの巨大搭乗型ロボットのベースとなる『EXA』が報道関係者向けに発表されました。発表時点では動作するのは上半身のみでしたが、コクピットに乗ってロボットの両手を動かしたり、ブラスター銃を的に向けて発射することができます(弾は安全な吸盤式ダーツです)。
外観はロボットの骨格(骨組み)のように見えますが、これは外装を好きなロボットに自由にデザインするためのフレーム構造です。そのため「ベースとなる」巨大ロボットなのです。
そしてこの『EXA』と人気アニメ『機動警察パトレイバー』とのコラボが発表されました。アニメに登場した『イングラム』の装甲を『EXA』に施したモデルが開発されます。アニメで観てその雄姿に憧れたあの『イングラム』を現実に操縦できる日が、すぐそこまできているのです。
<著者>
神崎洋治
TRISEC International代表取締役
ロボット、AI、IoT、自動運転、モバイル通信、ドローン、ビッグデータ等に詳しいITジャーナリスト。WEBニュース「ロボスタ」編集部責任者。イベント講師(講演)、WEBニュースやコラム、雑誌、書籍、テレビ、オンライン講座、テレビのコメンテイターなどで活動中。1996年から3年間、アスキー特派員として米国シリコンバレーに住み、インターネット黎明期の米ベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材した頃からライター業に浸る。「ロボカップ2018 名古屋世界大会」公式ページのライターや、経産省主催の「World Robot Summit」(WRS)プレ大会決勝の審査員等もつとめる。著書多数。