オンライン授業とは?
「オンライン授業」とは、パソコンやタブレット、スマートフォンといったデバイスを使い、インターネットなどのネットワークを介して行う授業のことです。学校や塾の授業の他に、社会人向けの資格スクールでの授業も含みますが、学校や塾以外では「オンライン講座」という言葉もよく使われます。
「リモート授業」もオンライン授業とほぼ同じ意味で使われています。リモート授業は「遠隔授業」と訳すことができ、別の場所で授業を受けるには必然的にオンラインを活用することになるからです。オンライン授業、リモート授業、遠隔授業の違いについては、厳密な言葉の定義はなく呼び方の違いといえます。
オンライン授業に対して、従来のように教室等に集まって直接先生や講師が教える授業を一般的に「対面授業」と呼びます。ただし学校では、対面授業の中でオンラインを活用すること、例えば他校との交流授業や専門家から指導を受ける授業などもオンライン授業や遠隔授業と呼ぶことがあります。
オンライン授業の種類
オンライン授業の種類は、大きく分けると「リアルタイム型授業」「オンデマンド型授業」「ハイブリッド型授業」の3つがあり、それぞれの種類を説明していきます。
リアルタイム型授業
リアルタイム型授業とは、リアルタイムに先生と生徒をオンラインでつなぐ授業で、同期型授業とも呼ばれます。双方向のやりとりができ、対面に近い臨場感のある授業を展開できるのがメリット。ただ、自宅などの通信が乱れると、一部の内容を聞き逃してしまう可能性もあり、その点がデメリットともいえます。
オンデマンド型授業
オンデマンド型授業とは、あらかじめ用意された授業の動画を好きなタイミングで視聴する非同期型の授業のことで、社会人スクールや大学の講義でよくとられている形です。メリットは、いつでも好きなときに授業を受けられることや倍速再生や繰り返しの受講も容易なこと。一方で、双方向のコミュニケーションができないので、ディスカッションやその場で質問できない等のデメリットもあります。
ハイブリッド型授業
対面とオンラインを組み合わせた授業のスタイルで、「ハイフレックス型」「ブレンド型」「分散型」の3つがあります。
「ハイフレックス型」は同じ内容の授業を対面とオンラインで同時に行う型です。生徒にとっては好きな受講スタイルを選べるメリットがありますが、先生は対面とオンラインの両方を意識した授業を行う必要があります。
「ブレンド型」は学習効果を考えて対面とオンラインを使い分けるもので、例えば、全10回の講義のうち、5回を対面、5回をオンラインで行うといったやり方です。学習効果の向上が期待できますが、オンラインしか選択できない生徒がいれば、学習効果に差が生じてしまう可能性があります。
「分散型」は、同じ時間に異なる授業を対面とオンラインで実施し、次の回ではメンバーを入れ替えるなどして、1回あたりの参加人数を抑える型です。感染症の流行時などに1授業あたりの生徒の数を抑えられますが、2回同じ授業を行わなければならないため効率は悪くなります。
オンライン授業の活用場面
オンライン授業の活用場面には次のようなものがあります。
学校教育での活用
コロナ禍で登校ができないなどの非常時に、家庭と学校をつないで授業やコミュニケーションに活用できます。また遠隔教育の一環として、対面授業の中でオンラインを活用することも広義ではオンライン授業(遠隔授業)です。
塾や習い事など教育ビジネスでの活用
学習塾や習い事のオンライン化も進んでいます。習字やそろばん、ピアノ、アート、ダンスなど子どもたちに人気の高い習い事の多くがオンラインでもレッスンを受けられるようになっています。
社会人向けスクール、企業研修等での活用
社会人向けの資格スクール、英会話やプログラミングスクール等にも、オンライン授業が広く取り入れられています。企業における新人研修やスキルアップ研修も、従来の集合研修に代わって、オンライン研修(リモート研修)も活用されるようになってきました。
コロナ禍で一気に利用が広がったオンライン授業。現在は再び対面授業が主体になっていますが、大学では一部でオンライン授業とのハイブリッド型授業を残しているところもあり、コロナ収束後も授業形態の一つとして残っていくかもしれません。社会人向けのスクールや企業研修については、リモートワークや在宅勤務の定着と共に今後も広く利用されていきそうです。
オンライン授業のメリット
オンライン授業には大きく次のようなメリットがあります。
感染防止につながる
オンライン授業が一気に広がったのはコロナ禍がきっかけです。学校へ行かなくても自宅等から授業を受けられるので、感染症流行などの非常時にも密を避けながら、学びを継続することができます。
移動の手間や時間を省ける
通学のための移動の手間や時間を省けます。場合によっては交通費の節約にもなります。
生徒の学習機会を増やせる
オンライン授業は、病気やケガをはじめ、さまざまな理由で学校等へ行くのが難しい人が自宅から授業に参加することを可能にします。塾や習い事のオンライン授業は、地方などで近くに教室がない人に質の高い学びの機会を提供できます。社会人向けスクールのオンライン講座は、時間のない社会人の隙間時間の有効活用を後押しします。
板書や資料が見やすい
板書や資料、先生の手元の作業など、広い教室では見にくいものもモニターなら大きく映せます。ただし映し方によっては視認性が下がることもあるので、先生・講師側のカメラのセッティングが重要です。
オンライン授業のデメリット
メリットの多いオンライン授業ですが、少なからずデメリットもあります。
座学以外の実験や実習が難しい
学校の授業の中には、理科の実験や家庭科の調理、体育の実技、複数の班にわかれたグループワークなど、オンラインでは難しい内容もあります。
コミュニケーションがとりにくい
リアルタイム型のオンライン授業なら双方向のやりとりは可能なものの、発言のタイミングやその場の雰囲気がわかりにくく、対面に比べるとコミュニケーションがしにくいと感じる人は少なくないようです。
集中力が継続しにくい
人目がなく自宅などでリラックスできる状況で受けられるのは、オンライン授業のメリットといえます。その半面、緊張感がないことで、集中しにくいと感じる人もいます。学習意欲やモチベーションの維持は、対面授業以上に意識して取り組む必要があるかもしれません。
オンライン授業を受けるのに必要な準備
オンライン授業を受けるときには次のような準備が必要です。
インターネット環境
オンライン授業にはインターネット環境が不可欠なので、生徒側は光回線やモバイル回線(モバイルWi-Fiルーター)を用意する必要があります。スマートフォンの回線も使えますが、オンライン授業の映像は通信量が多いので、通信制限がかかることがあります。モバイル回線もデータ量の上限に注意が必要です。
デバイス
パソコンやタブレット、スマートフォンなどの必要なデバイスを用意します。小中学生の場合は、政府が「GIGAスクール構想」のもとに1人1台の端末配備を進めているので、その端末を使うことがほとんどです。
リアルタイムの参加型オンライン授業ではWebカメラやマイクも必要ですが、一般的なパソコンであれば内蔵されているものが使えるので、追加の準備は不要です。周囲に配慮する必要があるときは、マイク付きのイヤホンがあると便利です。
オンライン会議ツール
リアルタイム型授業は、オンライン会議ツールを使うことが多く、事前に指定のツール(Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなど)を使えるようにしておきます。スマートフォンやタブレットにはあらかじめアプリをインストールしておく必要がありますが、パソコンはアプリをインストールしなくてもWebブラウザで動作するものがほとんどです。
オンライン授業を受けるときの注意点
オンライン授業の学習効果を高めるために次のような事前の準備もしておくとよいでしょう。
ハウリングの発生を防ぐ
同じオンライン授業に参加しているデバイスが近くに複数あり、一方のスピーカーの音を別のデバイスのマイクが拾ってしまうと、ハウリングが発生します。誰かと一緒にいるときやモニター用と作業用で複数の端末でログインしているときなどは注意が必要です。マイクのミュートやイヤホン、ヘッドフォンで対策できます。
トラブルが起きた際の対処方法を確認しておく
リアルタイム型のオンライン授業では、自宅などの通信環境やデバイスに不具合があると授業を見逃してしまいます。万が一、通信や機器のトラブルで授業に参加できなかったときはどうすればよいか、あらかじめ対処方法・問い合わせ窓口を確認しておくと安心です。
準備を万端にしてオンライン授業を効果的に受けよう
学校だけでなく、塾や習い事、社会人向けスクールや企業研修などで実施されているオンライン授業。学生の場合は学校側から授業のスタイルを指定されることがほとんどですが、それ以外では生徒が自発的に選ぶケースも多いでしょう。この記事で解説してきたようにオンライン授業にはメリットもデメリットもありますが、それらを理解した上で準備を万端にしておけば、オンライン学習の利便性を享受しつつ、学習効果を最大限に高めることができそうです。