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スポーツテックとは?成長が止まらない市場規模や事例を分かりやすく紹介!

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2023.01.26(最終更新日:2023.01.26)

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スポーツとテクノロジーをかけ合わせた「スポーツテック」はスポーツ関連のさまざまな事業に導入されており、次世代のスポーツ産業の発展に欠かせない技術です。
今回はスポーツテックがどのような概念を指し、具体的にはどういった技術を用いたものなのかを中心に、国内での事例や市場規模を分かりやすく紹介します。

スポーツテックとは

スポーツテックとは、Sports(運動)とTechnology(科学技術)が組み合わさった造語です。ITやAI(人工知能)などのテクノロジーをスポーツ関連事業に活用して生み出された技術や、その考え方のことを指します。
具体的には、スポーツの道具やサービスの開発や競技における環境改善、スポーツ選手のサポートなどです。

スポーツテックの4要素

文部科学省は「スポーツ立国戦略 基本的な考え方」において、「観る」「支える」「する」人を重視した戦略を掲げています(出典1)。
これら3つの要素はスポーツテックにおいても重視されており、株式会社NTTデータ経営研究所の公表したスポーツテック業界の俯瞰図「Sports-Tech Landscape2020」では、「観る」「支える」「する」に「創る」をプラスした4つのテーマをスポーツビジネスの基本要素としています(出典2)。
そこで、スポーツテックにおける4つの要素では、それぞれどのようなテクノロジーが導入・活用されているのかを見ていきましょう。

観る

スポーツ観戦というと、従来はスタジアムや競技場などの現地に行くか、テレビを通して観ることしかできませんでした。つまり、場所や時間帯の制約によって、「いつ」「どこ」で観るかに制限がありました。

しかし、現在はテクノロジーの発達によってパソコンやスマートフォン、タブレットでのリアルタイム観戦もできるようになりました。スポーツを取り扱う配信サービスやアプリの中には見逃し配信やハイライトなどのコンテンツを用意しているものもあり、さまざまなデバイスでいつでもどこでもスポーツ観戦を楽しめます。近年は、テレビ中継がされないような特定の競技の観戦に特化した専用アプリも開発され、よりスポーツ観戦のハードルが下がり、身近なものになっています。

スポーツテックの活用によってスポーツ観戦の環境は改善され、より多くの方が気軽に観る環境が整います。

支える

さまざまなスポーツにおいて選手のトレーニングや健康管理を支えているテクノロジーは、スポーツテックの一環です。
ウェアラブル機器や測定・分析システムがこのカテゴリに当たります。これらを活用すると、アスリート個人の運動量や健康状態がデータ化されます。蓄積されたデータを基に、個人のコンディションや目標に応じた効率的なトレーニングメニューや、その日の体調に最適なメニューを構築することが可能です。

する

スポーツテックにおける「する」とは、テクノロジーの活用によって身体を動かす楽しさや気持ち良さを感じられることです。プロやアマチュアのスポーツ選手はもちろん、これからスポーツを始めるすべての人が対象です。
新しいトレーニングメニューやスポーツ用品を開発したり、気軽にスポーツに取り組める環境づくりをしたりするものが当てはまります。
例えば、ユーザーの身体情報を基にマシンを自動的にセットアップし、最適な運動強度でトレーニングできるといったAIによる新機能を搭載したエクササイズマシンを自宅に導入すれば、ジムに行かなくとも効率的なトレーニングができるようになると期待されています。

他にも、レッスン動画のストリーミングサービスと自宅用のトレーニング機器を組み合わせたエクササイズコンテンツなども登場しており、身体を動かすことへのモチベーションを高めるサービスは今後も広まっていくことが予想されます。

創る

最新テクノロジーをスポーツ関連事業に導入することによって、これまでにはなかったあるいは実現できなかった体験が生まれたり、課題の解決につながったりすることも期待できます。
AR(拡張現実)を用いた新しい競技であるARスポーツもその一つです。ARゴーグルやアームセンサーを装着し、バーチャルな要素も加わった世界で体を動かす競技は、従来のスポーツでは体験できなかった新しい感覚をもたらしてくれます。
スポーツテックは、新たなスポーツの楽しみ方や可能性を生み出す創造性も備えているのです。

スポーツテックの具体例

スポーツテックは、実際にどのような分野で用いられているのでしょうか。ここでは、スポーツテックを活用した3つの具体例を紹介します。

ライブストリーミングプラットフォーム

昔からテレビでのスポーツ中継は行われていますが、世界中で行われている多種多様なスポーツすべてをテレビ中継することはできません。

ライブストリーミングプラットフォームは、こうしたスポーツ中継の課題解決に貢献し、スポーツ観戦をより身近なものにしてくれます。高速なインターネット通信によって、テレビ中継のない地域でも目当ての競技を観戦できる環境が整えられます。新たなファンの獲得にもつながるため、スポーツ市場の拡大も狙えるでしょう。

ウェアラブル端末を用いたトレーニング

スマートウォッチなどのウェアラブル端末は、トレーニング中の運動量や健康状態を測定するデバイスとして、プロのスポーツ選手のみならずアマチュアアスリートや一般ユーザーからも高い人気を集めています。

例えば、ウェアラブル端末のセンサーによる動作分析機能を使えば、アスリート個人の運動量や健康状態がデータとして蓄積され、より効率的なトレーニングの提案やコンディション管理に役立てられます。トレーニングの計画に活用したりケガのリスクを回避したりと、ITの技術がアスリートをアシストします。

現在はリストバンド型やメガネ型、ストラップ型、下着型などさまざまな形状が開発されており、今後もさらなる形状のウェアラブル端末の登場が期待されています。

ウェアラブル端末についての詳細は、下記関連記事をご覧ください。
ウェアラブル端末で健康を管理しよう!最適な選び方もご紹介

eスポーツ

「eスポーツ」は「エレクトロニック・スポーツ」の略語で、コンピューターゲームやビデオゲームなどの電子機器を用いて行うスポーツ競技です。ゲームという分野から一つのスポーツ競技としての地位を確立しました。VRを用いた迫力ある試合観戦や公平な競技環境の整備など、eスポーツの進化にはテクノロジーの貢献が不可欠です。

2021年には、伝統的なスポーツとバーチャルスポーツをつなぐことを目的として、国際オリンピック委員会(IOC)が「オリンピック・バーチャル・シリーズ(OVS)」を公式開催しました。OVSでは、野球やサイクリング、ボート、セーリングといったさまざまな競技のeスポーツが行われました。

飛ぶ鳥を落とす勢いでその地位を確立しているものの、世界的に見ると日本はまだeスポーツ分野において後れを取っているのが現状です。さらなる発展を目指し、2018年に発足した一般社団法人日本eスポーツ連合は日本のeスポーツの発展に向けて、経済産業省との取り組みも発表しています(出典3)。

拡大を続けるスポーツテックの国内市場規模

日本におけるスポーツテック市場の規模は、年々拡大を続けています。株式会社野村総合研究所が2019年12月に発表した調査データでは、スポーツテック市場は2022年現在で1,062億円、2025年には45%増の1,547億円にまで膨らむと予測されています。

出典:ITナビゲーター2020年版|株式会社野村総合研究所

また、日本政府もスポーツテックをスポーツ産業における重要なテーマとして位置付けています。スポーツ庁はスポーツテックをより発展させるだけでなく、国内スポーツビジネスの市場規模を、2012年時点の5.5兆円から2025年には15.2兆円まで拡大させることを目標としています。

日本のスポーツテックをリードする日本企業

日本国内では、どのような企業がスポーツテックの発展に貢献しているのでしょうか。ここでは、スポーツテック分野における代表的な日本企業3社をご紹介します。

株式会社meleap

株式会社meleapはARスポーツの一つである「HADO」を運営しています。HADOはAR(拡張現実)技術を用いて、頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーを装着して行う競技です。ディスプレイ内に広がる「子どもの頃に誰もが憧れた魔法の世界」で、フィールドを自由に移動しながら、手から放たれるバーチャルのエナジーボールやシールドを使った臨場感のある対戦を楽しめます。

HADOのプレー施設の運営も行っており、世界39か国109か所の施設を展開。プレーヤー人口は累計350万人に達し、累計視聴世帯も1億世帯以上へと成長を遂げました。タレントを起用したライブエンターテイメント事業のほか、さらなる世界展開を構想しています。

株式会社meleap

株式会社ORPHE

株式会社ORPHEは、足の動きをリアルタイム分析するセンサーやコンピューターが内蔵された「スマートフットウェア」を開発したパイオニア企業です。世界のスマートフットウェアをけん引しています。

手軽に全身の動作を計測できるORPHEの動作分析ソリューションは、アカデミック分野ではもちろん、歩行データの大規模収集が可能なことから、新規事業開発にも活用できると期待されています。

株式会社ORPHE

PAPAMO株式会社

PAPAMO株式会社は、オンラインスポーツ事業「へやスポ」を運営しています。へやスポは、3才〜小学校6年生程度の子どもを対象とした運動教室のオンラインサービスです。自宅にいながら、運動療育のプロによる指導のもと、親子で身体を動かせるのが特徴です。運動神経を育んだり、子どもの自己肯定感を高めたりできるレッスンが充実しています。

2021年9月には、三井住友海上キャピタルや金融機関からの融資により、総額5,600万円の資金調達を実施しました今後もコンテンツやマーケティングの強化に加えて、サービスラインナップの拡充も目指しています。

PAPAMO株式会社

日本のスポーツテック事例

日本では、スポーツテックがどのように活用されているのでしょうか。ここではスポーツテックを活かした4つの事例をご紹介します。

アスリーテックラボ(KDDI×アクロディア)

「アスリーテック」は、株式会社アクロディアと国内大手通信キャリアのKDDI株式会社によって開発されたトレーニングデバイスです。日々のトレーニングで蓄積されていく選手個人のデータを基に、最適なトレーニングの提案やコンディション管理ができます。
アスリーテックのデータを公開・共有・比較することで、練習ノウハウの情報をシェアしたり、友人や年代別トップの選手のデータと照らし合わせたりすることも可能です。適切な目標を設定することで、自分自身の今の立ち位置が明確になります。
また、アスリーテック上に蓄積されるデータは、選手のケガの検知や予防への活用が期待されます。

アスリーテック

バーチャルハマスタ(KDDI×横浜DeNAベイスターズ)

「バーチャルハマスタ」は株式会社横浜DeNAベイスターズとKDDI株式会社によって開発された、国内初の体験型野球観戦サービスです。スマートフォンやパソコン、VRデバイスを使うと、バーチャル空間上に構築された横浜スタジアムで観戦体験ができます。

実際の球場を忠実に再現したバーチャルハマスタ内は、オリジナルアバターで自由に移動することも可能です。会場に足を運ばなくとも、多くのファンと一緒に応援しながら、球場の雰囲気を体感できる次世代型のスポーツ観戦ツールとして注目されています。

バーチャルハマスタ(KDDI株式会社「ニュースリリース」)

EVORIDE ORPHE(ORPHE×アシックス)

「EVORIDE ORPHE」は、株式会社ORPHEの開発したセンサーやコンピューターを内蔵した「スマートフットウェア」と、競技用シューズやスニーカーの製造販売で知られる株式会社アシックスによるプロダクトです。

最適な走りを追求するランナーのためのスマートシューズとして開発されたもので、アシックスの専用シューズにORPHEの小型センサーデバイスをセットして使用します。EVORIDE ORPHEを履いて走るだけでランニングフォームが計測され、リアルタイムで音声コーチングを受けられるだけでなく、ランニング後は、記録を基に分析された走りの評価とアドバイスが表示されます。
自分の走り方を把握して、効率の良いトレーニング計画を立てることが可能です。

EVORIDE ORPHE

SpoLive(SpoLive Interactive株式会社)

SpoLive Interactive株式会社の開発したスポーツ観戦アプリ「 SpoLive」は、ラグビーやサッカー、テニス、アメリカンフットボール、野球、ホッケー、アルティメットなどの多彩な競技に対応した次世代スポーツ観戦プラットフォームとして注目を集めています。

単に試合を観られるだけでなく、試合中に起きた出来事をテキストで解説したり、応援ボタンや購入した応援アイテムを使ってチームや選手に応援を届けたりと、リアルタイムでスポーツ観戦を楽しめるさまざまな機能を搭載しているアプリです。観戦中の競技のルールや選手データなども、アプリ内で確認することができます。

東京都主催の「東京都ベンチャー技術大賞」では「特別賞」を受賞しました。また、イギリスのスポーツメディア「SportsPro」が主催する「SportsPro OTT Awards 2022」のBest Start-up Tech Companyカテゴリでは、唯一最終選考まで選ばれた日本企業でもあります。

SpoLive

スポーツテックでスポーツがより楽しく身近なものに変わる

スポーツテックは、スポーツ関連事業の発展に欠かせないとして、さらなる拡大と技術の向上が期待されています。
ITを駆使した効率的なトレーニング方法が発展していくことで、アスリートの練習環境の改善に大きく寄与します。それだけに留まらず、これまでスポーツと縁がなかった人でも、魅力的なスポーツテックの登場によって気軽に参加できるコンテンツや競技が増える期待も高まります。
そう遠くない将来には、スポーツテックの発展により「運動」の概念が大きく変わるかもしれません。