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不動産テックとは?メリットやサービスの種類を徹底解説

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2022.12.13(最終更新日:2022.12.13)

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不動産業界にテクノロジーで革新を起こそうとする「不動産テック」。今、なぜ不動産業界で不動産テックが注目されているのか、そもそもどんな種類があるのかについて、不動産テックを一覧にした「不動産テック カオスマップ」も交えながら解説します。

不動産テックとは?

不動産テックとは、「不動産×テクノロジー」の略で、技術によって不動産業界の業務効率化や革新的なサービスの提供を目指すものです。日本語では「不動産テック」ですが、英語では不動産を意味するReal EstateやPropertyと技術を意味するTechnologyを組み合わせて、「Real Estate Tech」(リアルエステートテック)とその略の「ReTech(リーテック)」、あるいは「Property Tech(プロパティテック)」とその略の「PropTech(プロップテック)」などと呼ばれます。

不動産テック企業が提供するサービスは、エンドユーザー(利用者)向けのBtoC領域と不動産事業者向けサービスのBtoBサービスの大きく2つに分けられます。BtoCサービスの一例としては不動産情報提供サイトや買い手と売り手のマッチングサービスなどが挙げられます。またBtoBサービスとしては、VR(Virtual Reality/仮想現実)内見や契約の電子化など不動産業務の効率化を促すツールがあります。

不動産テックの市場規模と今後

物件内覧や契約書類への押印などアナログ業務が多い不動産業界は、他業界に比べてIT化が遅れてきたといわれています。しかし近年、不動産テックの市場規模が拡大しています。

出典:株式会社矢野経済所:「不動産テック市場に関する調査(2021年)」(2021年8月17日発表)

株式会社矢野経済研究所「不動産テック市場に関する調査(2021年)」(2021年8月17日発表)の推計では日本の不動産テックの規模は2020年度で約6,110億円に上り、BtoC領域が4,852億円、BtoB領域が1,257億円となっています。同調査では今後も不動産テック市場の拡大を見込んでおり、2025年度には2020年度比203.9%の1兆2,461億円に拡大すると予測しています。内訳としては、BtoC領域は2020年度比206.5%の1兆17億円、BtoB領域は同194.5%の2,445億円に達するとしています。

不動産テックが注目されている背景

行政が業界のデジタル化を推進

行政も不動産業のデジタル化を推進しています。契約時の重要事項説明をテレビ会議システム等で行うことを認める「IT重説」(ITを活用した重要事項説明)が2017年にまずは賃貸で実施できるようになり、2021年には不動産売買でも可能になりました。さらに2022年5月からは、宅地建物取引業法(宅建業法)の改正で、不動産取引の電子契約も認められています。

非接触サービスのニーズの拡大

コロナ禍での非接触サービスへのニーズの高まりを受けて、物件の内見や商談をオンライン化した不動産会社もあります。内見のオンライン化は、外出自粛や県をまたいだ移動制限が広がる中での住まい探しに役立つものでした。

不動産業界の人手不足

厚生労働省の「労働経済動向調査」によれば、は2016年3月以降、多くの企業で人手不足が続いています。
不動産業界に焦点を当てると、2022年8月の「労働経済動向調査」では、正社員等の労働者が「不足」していると回答した不動産業・物品賃貸業の事業所が39%なのに対し、「過剰」と回答したのはわずか1%でした。不動産テックによる業務効率化が人出不足解消につながることが期待されます。

不動産テックのメリット

不動産テックによって、不動産会社の業務効率化だけでなく、利用者の利便性も高まります。

物件へ足を運ぶ手間を省ける

ビデオ通話での接客や現地からのライブ中継を活用すれば、利用者が店舗や物件へ足を運ぶ必要がなくなり、移動のためのコストや手間を削減できます。転職や進学による遠方の住まい探しや、1日に複数件を内見したい場合にも便利です。サイトでの物件情報にも3Dイメージやドローンの空撮などが使われることが増えてきました。

好きな時間に不動産取引ができる

物件の検索から内見、契約まで、店舗や物件へ足を運ぶことなく、すべてオンラインで完結させることが可能になると、忙しい人でも時間や場所を選ばず情報収集や検討ができます。最近では好きな時間にいつでも電子契約を交わせる仕組みを整えている不動産会社もあります。

契約手続きにまつわる手間やコストが軽減される

電子契約は、契約書の印刷、郵送など手間や時間がかかりません。紙の契約書と違い、印紙税が課税されないのでコストの削減にもなります。

業務効率化による顧客サービス向上が期待できる

不動産会社が物件情報作成や顧客管理を支援するシステムを導入して業務効率化を図れば、浮いた時間でより丁寧な対応や顧客サービス拡充に取り組むことが期待できます。

不動産テックサービスの種類

一般社団法人不動産テック協会では、不動産テックのビジネスやサービスの一覧を「不動産テック カオスマップ」としてまとめており、最新版の第8版が2022年8月8日に公開されています。

出典:一般社団法人不動産テック協会

カオスマップとは、一般的に業界地図といった意味で、この図では不動産テックを15のカテゴリーに分類して紹介しています。それぞれのカテゴリーの定義はのちほど説明しますが、2021年7月に公開された第7版と比較すると、カテゴリーが12から15項目に増えたことが大きな変化です。第7版の「仲介業務支援」と「管理業務支援」が、第8版では「業務支援 集客」「業務支援 顧客対応」「業務支援 契約・決済」「業務支援 管理・アフター」「業務支援 設計・施工」の5つへ細分化されました。
直近1年間の不動産テックサービスの傾向としては、コロナ禍のオンライン対応に迫られ「VR・AR」サービスが増加したことや、テレワークなど場所を問わない働き方が広がって「スペースシェアリング」が増えたことなどが挙げられます。

ローン・保証

不動産取得に関するローン、保証サービスの提供、仲介、比較をしているサービスです。住宅ローンの仲介、住宅ローン比較サービスなどがあります。

業務支援 集客

不動産売買・賃貸の仲介業務のうち、顧客の集客を支援するサービスやツールです。不動産業界に特化したホームページ制作を支援するサービスなどがあります。

業務支援 顧客対応

不動産売買・賃貸の仲介業務のうち、顧客対応を支援するサービスやツールです。内見予約の受付や管理をするサービス、空室確認を自動音声で応答するシステムなどがあります。

業務支援 契約・決済

不動産管理会社等の主にPM(Property Management/不動産の管理・運用)業務の効率化のための支援サービスやツールのうち、契約・決済に関わるものです。非対面決済サービスや月極駐車場管理システムなどがあります。

業務支援 管理・アフター

不動産売買・賃貸の仲介業務のうち、顧客管理やアフターケアを支援するサービスやツールです。更新・退去手続きのウェブサービスや契約管理サービスなどがあります。

業務支援 設計・施工

不動産管理会社等の主にPM業務の効率化のための支援サービスやツールのうち、設計・施工に関わるものです。
施工管理アプリや管理台帳の作成や管理サービス、工務店向けの業務管理システムなどがあります。

不動産情報

物件情報を除く、不動産に関連するデータを提供・分析するサービスです。
地図データベースや、路線価、固定資産税評価額など、主に不動産会社が使う情報を扱うサービスです。

物件情報・メディア

物件情報を集約して掲載するサービスやプラットフォーム、もしくは不動産に関連するメディア全般ですが、カオスマップではメディアのみのサイトは除かれています。地域コミュニティアプリ、会員制の家探しサイトなども含まれます。

価格可視化・査定

さまざまなデータ等を用いて、不動産価格、賃料の査定、その将来見通しなどを行うサービスやツールです。個人が自宅を売却したいときに活用できるものもあります。

クラウドファンディング

個人を中心とした複数投資者から、Webプラットフォームで資金を集め、不動産へ投融資を行う、もしくは不動産事業を目的とした資金需要者と提供者をマッチングさせるサービスです。クラウドファンディングのプラットフォームの中でも不動産投資に特化したサービスが掲載されています。

VR・AR

VR・ARの機器を活用したサービス、VR・AR化するためのデータ加工に関連したサービスです。オンライン内見サービスやバーチャル住宅展示場作成システムなどがあります。

マッチング

物件所有者と利用者、労働力と業務などをマッチングさせるサービスのうち、シェアリングとリフォーム・リノベーション関連を除いたものです。住居物件のマッチング以外に、店舗物件や居抜き物件を探せるサービス、マンション清掃を依頼したい管理会社と近所で働きたい人をつなぐサービスなどもあります。

IoT

IoT(Internet of things/モノのインターネット)とは、さまざまなモノがインターネットに接続されることを意味します。ここではネットワークに接続される何らかのデバイスで、不動産に設置、内蔵されるものや、その機器から得られたデータ等を分析するサービスを指しています。リモコン付きの家電製品の操作や施錠の遠隔管理サービスなどがあります。

リフォーム・リノベーション

リフォーム・リノベーションの企画・設計・施工、Webプラットフォーム上でリフォーム業者のマッチングを提供するサービスです。外装塗装会社の紹介サービス、建材ECサイトなどもあります。

スペースシェアリング

短期~中長期で不動産や空きスペースをシェアするサービス、もしくはそのマッチングを行うサービスです。オフィスやバケーションレンタルなど形態は多様です。

ご紹介した不動産サービスを提供している具体的な企業を知りたい方は、下記関連記事をご覧ください。

話題の不動産テック注目企業11選!各社のサービスを紹介

私たちの暮らしを便利にする不動産テック

不動産テックは、今後も成長が見込まれる注目の市場です。従来、不動産業界では、エンドユーザーと不動産会社のもつ情報量の差が大きい「情報の非対称性」が指摘されてきましたが、不動産テックがこれを解消してくれるという期待もあります。すでに多彩なサービスが提供されていますが、今後さらに市場が拡大すれば、不動産取引や住まいにまつわる幅広い課題を解決しながら、私たちの暮らしを便利にしてくれそうです。