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オンライン診療のメリット・デメリットは?

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2022.08.05(最終更新日:2022.08.05)

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医療従事者の働き方改革や医師・医療施設の偏在といった社会課題に対する取り組みとして進められている施策の一つが、オンライン診療です。オンライン診療を利用することで、医療従事者と患者の対面によって懸念される感染リスクも回避できるため、さらなる普及促進を目指して規制の緩和が進められています。

オンライン診療は、通院時間やコストの節約が期待できる一方で、血液検査やレントゲン撮影ができないといった注意点を理解しておく必要があります。今回は、オンライン診療を活用する際に知っておきたいメリット・デメリットを解説します。

オンライン診療のメリットとは?

オンライン診療には、医療従事者だけでなく、患者にとってもさまざまなメリットがあります。ここでは、オンライン診療を利用するメリットを見ていきましょう。

通院にかかる時間とコストが節約できる

自宅で受診ができると、通院時間や交通費の節約につながります。病院が近くにない場合や通院が困難な場合に活用することで、診療に伴うコストを抑えることができるでしょう。

感染症のリスクが軽減される

感染症リスクにさらされず受診できる点も、オンライン診療の大きな魅力です。対面診療と違い感染症が疑われる患者との接触を避けられるので、院内感染や二次感染からも身を守ることができます。

ほかの患者と顔を合わせる必要がない

オンライン診療は医師のみ対応するため、ほかの患者と顔を合わせることがありません。そのため、心理的に負担のある疾患や悩みを抱える方も、周囲の目を気にすることなく受診できます。さらに、医師は患者の治療の継続率や診療の質の向上につなげることができるでしょう。

24時間予約ができる

通常の場合、病院の予約受付は診療時間内に限られています。「電話がつながらない」「勤務中で電話ができない」と、予約ができずに受診が先延ばしになってしまうケースも少なくありません。オンライン診療の場合は、24時間予約を受け付けている病院が多く、診療時間外でも好きな時間に予約ができます。

複数の決済方法から選択できる

病院が導入しているシステムやアプリによって支払い方法は異なりますが、オンライン診療を実施する医療機関の多くは銀行振込、クレジットカード、電子マネーといった方法で決済が可能です。支払いがスムーズに済むため、診察後に会計待ちの時間を短縮することができます。医療機関によっては、対面診療で来院した際にまとめて請求する場合もあるため、オンライン診療を予約する前に確認しておくと良いでしょう。

場所にとらわれずに診察を受けられる

「引越しや転勤でかかりつけの病院に通院できない」「自分の症状に合う専門医が近くにいない」といった理由で、希望する医療機関に通えない場合もオンライン診療がおすすめです。ただし、場合によっては対面による診療が必要なこともあるため、事前にオンライン診療に対応している症状や疾患か、施設によって設けられている基準を確認しましょう。

病院へ行かずに自宅や勤務地付近で薬が受け取れる

オンライン診療で薬を処方された場合は、処方箋を配送してもらえるため、病院へ行くことなく、自宅や勤務地付近の薬局で薬を受け取ることができます。また、患者から指定された薬局へ病院から処方箋を配送し、薬局から自宅へ薬を配送してもらうことも可能です。

オンライン診療のデメリットとは?

さまざまなメリットがあるオンライン診療ですが、検査や処置ができないといったデメリットもあります。

問診に留まってしまい、診断が難しいケースがある

オンライン診療では、対面の診察で行う触診、聴診、打診ができないため、問診に沿って自覚症状を確認することに留まってしまいます。そのため、症状によっては詳しく診断することが難しい場合もあるでしょう。

血液検査やレントゲン検査など、実際の検査や処置はできない

オンライン診療では画面越しに診察を行うため、実際の検査や処置はできません。血液検査やレントゲン検査が必要な場合は、通院が不可欠となるケースもあります。ただし、オンライン診療で「対面での検査や処置が必要か」を相談することはできます。

診察料に加えて、オンライン診療の手数料が発生する

オンライン診療では、診察料に加えて手数料や利用料が別途必要な場合があります。これらの諸費用に関しては、病院ごとに異なるので受診前に確認が必要です。別途費用はかかりますが、対面診療と比べて通院時の交通費といった諸費用が抑えられるため、人によっては対面診療との差があまりないこともあります。

病気の急変に対応できない

オンライン診療では細部まで診察することが難しいため、症状の急変への対応には不向きと言えます。また、処方箋を配送する場合は、患者に届くまで時間がかかるケースも考えられるため、すぐに薬の処方が必要な場合には対面診療を利用するほうが良いかもしれません。

オンライン診療が可能なケースとは?症状や疾患を参考に判断しよう

前述したように、オンライン診療は症状や疾患によって利用に向いているケースと不向きなケースがあります。例えば、慢性的な疾患で症状が安定している場合は、病状が急変する可能性が低いと考えられ、自宅での診療が可能とされています。一方で、遠隔では十分な情報が得られない疾患や緊急性の高い症状がある場合は、オンライン診療では対応が難しいと言えるでしょう。

オンライン診療が適切に推進されることを目指し、2021年6月に日本医学会連合から「オンライン診療の初診に適さない症状」が発表されています。オンライン診療を検討する際は、利用に向いている症状や疾患について確認しておきましょう。

オンライン診療が利用可能と考えられる疾患例

次のような疾患の場合、オンライン診療で経過観察が可能とされています。

内科系

循環器系:高血圧や不整脈
消化器系:胃炎や胃潰瘍
内分泌系:脂質異常症や糖尿病

整形外科系

対面診療で継続して鎮痛薬を処方していた患者への処方継続

新規の症状のなかでも、軽度の咳や湿疹

次のような疾患は、オンライン診療には不向きと言われています。

内科系

呼吸器系:急性・亜急性に生じた息苦しさ、呼吸困難、安静時の呼吸困難
循環器系:強いあるいは悪化する胸痛、胸部圧迫感、突然始まる動悸、症状を伴う血圧上昇
消化器系:強い腹痛、強い悪心、嘔吐、吐血、血便、下血
腎尿路系:発熱を伴う腰痛、排便障害、下肢の症状を伴う腰痛

神経系

めまい、失神、意識障害、痙攣、筋力低下

外科系

術後の高熱、外傷創、痛みのある⿏径部や腹壁の突出、めまいや呼吸苦を伴う⾍刺症、突然の下肢のはれ(腫脹)、⾜や⾜趾の⿊⾊変化を伴う冷感

産婦人科系

妊娠の可能性がある「続発性無⽉経」、妊娠に関連する症状・疾患

小児科系

痙攣、呼吸困難、脱水、低体温症、熱中症、高体温症

そのほか

新規の急性期症状(腹痛や胸痛といった症状は検査が十分にできず、鑑別診断も難しいため)
風邪症状(レントゲンや呼吸機能検査ができないことから、肺炎や喘息の正確な鑑別はできないため)


出典:CLINICS クラウド診療支援システム「【医療機関向け】オンライン診療の対象疾患一覧表

出典:メディカル・データ・ビジョン株式会社 「オンライン診療とは

オンライン診療のメリット・デメリットをふまえて適切な受診方法を選ぼう

今回は、オンライン診療を活用する際に知っておきたいメリット・デメリットを解説しました。オンライン診療には、通院時間や交通費の節約といった対面診療にはないメリットがあり、慢性的な疾患を抱えており症状が安定している方にとっては、生活を優先しながら診察を受けることができます。新型コロナウイルスの感染拡大を機に見直されたオンライン診療ですが、今後も利用が進むことによって、制度の見直しや新たな仕組みが構築されるかもしれません。これからのオンライン診療の発展に期待しつつ、機会があればオンライン診療を活用してみてはいかがでしょうか。

オンライン診療についての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
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