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オンライン診療とは?医療機関の取り組みやシステム、現状制度の方針を徹底解説

2022.07.29(最終更新日:2022.08.05)

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人口減少や少子高齢化、地域間の医療資源の格差など、日本が直面する社会課題に対する取り組みの一つとしてオンライン診療が進められています。

さらに近年は、感染症対策の観点からも注目が集まり、普及への動きが加速しています。2022年度には、オンライン診療による初診の恒久化※や、診療報酬の改定といった動きが見られ、新たな時代に向けた医療変革の一環として、オンライン診療は今まさに過渡期を迎えているのです。この記事では、さまざまな観点から期待が高まるオンライン診療について、その概要や現状、課題を解説します。

※オンライン診療を初診から認める措置

オンライン診療とは?定義や意味、現状制度について解説

まずは、オンライン診療の意味や定義を踏まえたうえで、日本におけるオンライン診療の現状について解説します。

オンライン診療の意味・定義

厚生労働省が発表している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、パソコンやスマートフォンといった情報通信機器を用いた遠隔医療を「オンライン診療」「オンライン受診勧奨」「遠隔健康医療相談」の3つに分けて整理しています。そのなかでもオンライン診療は、「遠隔医療のうち、医師・患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察および診断を行い、診断結果の伝達や処方などの診療行為をリアルタイムにより行う行為」と定義されています。通話やチャット、インターネット上にて予約・問診・診察・処方・支払いまでが可能です。

オンライン診療を取り巻く背景と現状

日本のオンライン診療につながる「遠隔診療」は、1990年代に開始されました。その後、ICT技術の進歩・普及を経て2018年に厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」において「遠隔医療」が定義されました。厚生労働省がまとめた資料(出典1)によると、オンライン診療に対応する医療機関数および初診から実施できる医療機関数は、時限的・特例的な取り扱いが認められ大幅な規制緩和が図られた2020年4月~6月にかけての期間は急増したものの、それ以降は微増、停滞状態となっていることが分かります。

オンライン診療の導入に対する動きが鈍化している要因の一つには、パソコンやスマートフォンを経由するオンライン診療では患者の状態の変化に気付きにくいという診断面での課題が指摘されています。加えて、対面診療と比べて診療報酬が低い、オンライン診療を行うための設備の導入コストがかかるといった、医療機関側の金銭的な負担感も背景にあります。オンライン診療のさらなる普及・拡大を目指す厚生労働省は、2022年1月に指針の一部を改定し、初診では対面診療を原則としていた改定前の指針から、初診でもオンライン診療を実施しやすくするなど、大幅に規制を緩和しました。

なお、初診におけるオンライン診療については「かかりつけの医師」が行うことを原則とし、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」を踏まえ、オンライン診療が適さない場合には対面診療を実施するといった、諸条件が明記されています。受診する患者側の意識としては、健康保険組合連合会(健保連)が2021年12月に行ったWebアンケートによる調査結果から、オンライン診療の受診経験がある方の感想として「自宅で受診できるため、便利だと感じる」という声が多く挙がっています。一方で、「直接の対面でないため、十分な診察がされているか不安に感じる」というように、二の足を踏んでいる方がいることも明らかとなっており、いかに患者の不安を払拭するかが普及の課題となるかもしれません。

オンライン診療のシステムと流れ、医療機関によって異なるフローを解説

オンライン診療はスマートフォンやパソコンなどを用いて診療するため、診察の流れは対面診療と大きく異なります。オンライン診療を利用する場合は、事前に流れや必要なものを確認しておきましょう。

オンライン診療の一般的な流れ

オンライン診療を検討する際の注意点として、まず医療機関の診療方針や使用するアプリによって流れが異なることを念頭に置いておきましょう。また、かかりつけの医師を受診するか初めて受診する医療機関か、保険診療か自費診療(自由診療)かによってもフローが変わります。ここでは一例として、「かかりつけの医師の受診」であり「保険診療」のケースを解説します。

1.診療内容の確認

かかりつけの医療機関が電話やオンラインによる診療を行っているかどうか、医療機関のホームページや電話にて確認します。

2.事前の予約

電話・ホームページ・アプリのいずれかの方法で、希望する日時を予約します。このとき、事前に「問診票」「保険証」「身分証明書」「支払い方法」の情報登録が必要になる場合もあります。

3.診療

医療機関側からの着信やオンライン接続により、診療が開始します。最初に本人確認が行われるので、求められた個人情報を伝えた後に病状を説明しましょう。

4.診療後

医師の診断を受け、医療機関を来訪して受診することを推奨された場合は、医療機関に直接出向いて対面診療を受けます。薬の処方を受けた場合は、処方箋を持って最寄りの薬局へ行くか、医師から薬局へ処方箋を送ってもらい、薬局から配送してもらうといった方法で薬を受け取ります。服薬指導は電話やオンラインにて実施されますが、直接薬局に行って服薬指導を受ける必要があるケースもあります。

なお、ここで紹介したフローは病院によって多少異なる場合があります。

フローの一例としては以上ですが、オンライン診療の実施の可否の判断については、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」といったガイドラインを踏まえて医師が判断します。オンライン診療が適さないと判断された場合には、対面診療を実施する可能性もあります。

オンライン診療を受診する際に必要なものは?

医療機関や使用するアプリによっても異なりますが、一般的にオンライン診療を受診する際に必要となるものは次の通りです。

・スマートフォンやタブレット、パソコンなどの情報通信機器
・インターネット環境
・オンライン診療アプリ
・本人確認書類(保険証・運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
・診療情報(診療情報提供書・健康診断結果・お薬手帳など)

オンライン診療の料金は?対面診療との費用の違いは?

オンラインによる診察費用は、対面診療と同様に「保険診療」と「自費診療」に分けられます。症状や治療内容によって保険診療が適用されるのか、自費診療が適用されるのかも異なるので、確認が必要です。また、受診する医療機関によって発生する諸費用の項目や金額が異なりますが、オンライン診療にかかる主な費用は次の通りです。

・初診料/再診料/外来診療料(情報通信機器を用いた場合)
・医学管理料
・オンラインシステム利用料
・処方された医薬品の購入費用
・処方箋や医薬品の配送料

オンライン診療と通院による対面診療で費用に差はあるの?

オンライン診療と通院による対面診療の初診料を比べると、現状は対面診療よりオンライン診療のほうが安いです。ただし、上で紹介したオンラインシステム利用料もかかることがあるのでその点に注意しましょう。また、2022年度の診療報酬改定を踏まえ、2022年4月以降は新施設基準を満たす医療機関で初診からオンライン診療を行う場合、「コロナ臨時特例」の2,140円程度から2,500円程度になり、改定前の水準から2割ほど引き上げられました。これは、対面診療の初診料である2,880円との費用差を減らし、医療機関がオンライン診療の実施に踏み切りやすくすることで、オンライン診療を普及させることを目的とした措置とされています。

オンライン診療の料金ついての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
オンライン診療の初診料が変わる?対面診療と異なる料金の仕組みや初診時のルールについて解説

オンライン診療の処方箋の受け取り方や服薬指導はどうすれば良い?

診療の結果、医師から服薬指示を受けた場合、患者は処方箋に基づいて調剤薬局で服薬指導を受け、医薬品を購入する必要がありますが、オンライン診療の場合には完全在宅で薬を受け取ることもできます。患者が指定した調剤薬局に医療機関から処方箋を送り、調剤薬局は調剤した医薬品を患者宅に配送します。オンラインで服薬指導を受けることで、薬の受け取りまでを在宅で完結することができるのです。なお、院内処方の場合には、医療機関から直接患者宅へ配送できるケースもあります。

オンライン診療で薬を処方してもらう際の注意点

オンライン診療時、処方してもらう薬について注意が必要な点があります。例えば、初診でオンライン診療を受けた際、原則として薬の処方日数は7日間が上限となっています。また、薬の種類によってはオンライン診療では処方してもらえない場合もあります。

オンライン診療時の処方箋の受け取り方や服薬指導についての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
オンライン診療で処方箋は受けられる?薬を受け取るまでの流れや服薬指導の疑問を解決

オンライン診療のメリット・デメリットとは?

オンライン診療には、通院時間やコストの節約といったメリットがある一方で、血液検査やレントゲン撮影ができないといった、遠隔ならではのデメリットもあります。それぞれの特徴を踏まえたうえで、最適な診療方法について医師と患者が相談することが重要です。

オンライン診療のメリット

オンライン診療の主なメリットとしては、移動時間や診療・会計までの待ち時間が短縮できることによる効率化、交通費など金銭面での節約、通院による身体的負担の軽減が挙げられます。また、ほかの患者と接触しないことによって感染症にかかるリスクの回避、プライバシーの保護にもつながります。さらに、場所を問わず受診できるので、引っ越し後もかかりつけの医療機関を受診したり、遠方の専門医を受診したりできるという点で医療の選択肢が広がります。

ただし、保険診療の場合には定期的な対面診療が必要であったり、別途算定要件や施設基準が設けられていたりということもあるので、事前の確認が必要です。

オンライン診療のデメリット

オンライン診療のデメリットは、触診や聴診、打診ができないため詳細な診断が難しいこと、症状の急変や重症化の兆候に気付くのが難しいケースがあること、オンライン診療に適していない病症があることの3つが挙げられます。さらには、IT機器を使うことへの抵抗感やハードルが高い方もいるでしょう。以上のデメリットから、対面ではない診断への不安感を抱くこともあるかもしれません。

オンライン診療のメリット・デメリットについての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
オンライン診療のメリット・デメリットは?

急速な変化の過渡期にあるオンライン診療に注目しよう!

今回はオンライン診療について解説しました。オンライン診療は、感染症拡大を機に、普及に向けた気運が高まっています。一方で、2020年4月に医療従事者専用サイトが行った調査(出典2)では「オンライン・電話での初診」について、医師のおよそ6割が「対応せず」と回答するなど、医師・医療機関側の慎重な見解もあります。

今後、持続可能な制度として定着させるため、情報通信技術の進展、対面とデジタルの特性を最大限に生かした的確なすみ分けと融合など、さらなる見直しを図りながら精査をしていくことが求められます。少子高齢化、医療機関・医師の偏在といった日本の社会課題を解決する重要な一手として、今後の動向に注目しましょう。