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オンライン診療で処方箋は受けられる?薬を受け取るまでの流れや服薬指導の疑問を解決

この記事は1年以上前に書かれたものです。現在は状況が異なる可能性がありますのでご注意ください。

2022.07.07(最終更新日:2022.07.07)

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新型コロナウイルス感染症の拡大防止策の一つとして取り入れられたオンライン診療ですが、2022年4月に厚生労働省によってオンライン診療に関わるルールが一部改定され、初診・再診に関わらず受診することができるようになり、受診の選択肢を広げる大きな一歩となりました。

さらに、初診時のオンライン服薬指導の実施や自宅付近の薬局で薬の受け取りが可能になり、今後はオンラインによる受診がますます身近になることが予想されます。
一方で、日本では服用中の薬への理解度および医療機関からの説明の満足度がともに低い現状にあり、オンライン服薬指導との併用は欠かせないと言えるでしょう。

この記事では、オンライン診療時の処方箋や薬の受け取り方、オンライン服薬指導について解説します。

オンライン診療でも処方箋が受け取れる!2022年4月からオンライン服薬指導が本格適用へ

オンライン服薬指導が可能となる医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保などに関する法律(以下、薬機法)は2020年9月の施行が予定されておりましたが、新型コロナウイルスの感染症の流行によりオンライン服薬指導の緊急性が高まったことを受け、同年4月に前倒しで解禁されました。また、2022年4月にはオンライン服薬指導に関するルールの恒久化を見据えた内容へ改定するなど、新たな方向性を示しています。

ここでは、オンライン診療に伴う薬の処方や処方箋の発行に関するルールについて解説します。

オンライン診療時の薬の受け取りには処方箋が必要

オンライン診療で医師が患者に対して薬の処方が必要であると判断した場合は、必要な薬の種類や量を書いた処方箋を作成します。
従来のオンライン診療と同じように、処方箋がなければ調剤薬局で「処方箋が必要な医薬品」を購入することができません。

オンライン服薬指導が可能に

オンライン診療に関するルールが改正されたことにより、患者が希望すれば指定の調剤薬局へ処方箋を送り、薬局から自宅に配送、もしくは患者自身が調剤薬局へ処方箋を持って行くことでも薬を受け取ることが可能です。
さらに、薬剤師による服薬指導もオンラインで受けられるため、患者は診療や処方箋のやり取り、服薬指導、薬の受け取りを完全在宅で行うことができます。

オンライン診療も公的医療保険の対象に

オンライン診療は、通常の対面診療と同様に「保険診療」に該当し、患者は原則3割負担で受診できます。処方箋の発行や薬の購入、服薬指導も公的医療保険の対象です。
2022年4月からは「オンライン診療料」が廃止され、情報通信機器を用いた場合の診療として「初診料など」に組み込まれる形になりました。

オンライン診療で処方箋を受ける方法は?薬を受け取るまでの流れ

実際にオンライン診療を受けた後はどのように薬を受け取れば良いのでしょうか。
ここからは、処方箋のやり取りや薬の受け取り方法について、一般的な流れを解説します。

オンライン診療で薬が処方される流れ

オンライン診療で薬の処方を受けるには、まずオンライン診療を実施している病院・クリニックを探し予約します。
スマートフォンやタブレットで予約する際には、予約時の画面に従ってお薬手帳や保険証などの情報を登録してください。
登録方法については、採用しているシステムや医療機関ごとに異なるので事前に確認しましょう。

オンライン診療を受診後、薬剤師からのオンライン服薬指導を受けて「処方箋が必要な医薬品」を受け取ります。
受け取り方には、院外の調剤薬局で薬を処方する「院外処方」と医療機関内で薬を処方する「院内処方」の2種類があり、さまざまな受け取り方法があります。

【院外処方の場合】

・患者が指定した調剤薬局へ医療機関が処方箋を送付する方法
・オンライン服薬指導後、患者の自宅に調剤された薬を送付する方法
・医療機関から処方箋を患者の自宅に送付し、患者自身が処方箋を持参して調剤薬局で薬を購入する方法

【院内処方の場合】

・医師が作成した処方箋をもとに院内で薬を調剤し、患者の自宅に薬を送付する方法

院内処方を実施している医療機関であれば、調剤薬局を介さず処方箋のやり取りができます。
ただし、院内処方を行っている医療機関は限定されているため、患者は事前に院内処方に対応しているか確認するようにしましょう。

服薬指導(服薬フォロー)が義務化

2020年9月に改正・施行された薬機法では患者が安心して医薬品を使用できるように、以下のことを法制化しました。

・必要に応じて患者が正しく薬を服用できているかを把握し、服薬指導を継続的に行うこと
・患者が使用している薬に関する情報をほかの医療提供施設の医師などに提供すること

オンライン診療で薬を処方してもらう際の注意点

オンライン診療で薬が処方される場合、対面診療とは異なり、薬の処方日数は原則として最大7日間という制限があります。
また、薬の種類によっては初診のオンライン診療では処方できないよう規定されているものもあるので、事前に確認をしておきましょう。

オンライン診療の初診時に処方できない薬

初診のオンライン診療で処方できない薬には、以下のようなものが挙げられます。

・麻薬および向精神薬(抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬、抗認知症薬)
・基礎疾患の情報が把握できていない患者に対して、特に安全管理が必要な薬品
・基礎疾患の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方

これらは、なりすましや虚偽の申告による濫用・転売の防止が困難であることや、患者の安全を確保するという点から、オンライン診療の初診では処方できないよう規定されています。

「電子処方箋」によりオンライン診療での薬の受け取りがスムーズに

オンラインによる診療や服薬指導を活用することで、薬の受け取りまでを完全在宅で行うことができるようになりました。
しかし、医師が発行する処方箋は紙による発行が必要とされ、効率的に非対面化が実現しているとは言い難い部分もあるでしょう。

2020年4月に第2版が策定された「電子処方箋の運用ガイドライン」では、「電子処方箋引換証」の発行を不要とする新たな仕組みを制定し、運用の見直しが図られました。
また、2022年3月に行われた「健康・医療・介護情報利活用検討会」では、2023年1月から電子処方箋の本格的な運用開始を目指すと報告されています。

処方箋を電子化することで、処方・調剤された薬の履歴や情報が閲覧でき、重複投薬や併用禁忌のチェックで安全性を高め、疑義照会※による薬の内容変更が共有できることもメリットです。
電子処方箋とオンライン診療を組み合わせることで、今後は薬の受け取りがさらにスムーズになるでしょう。

※疑義照会…薬剤師が処方箋をもとに調剤を行う際、処方箋の記載に疑問点や不明点を感じた場合に処方箋の作成者に対して内容の確認を行うこと

オンライン診療による薬の受け取りは今後さらに利便性が高まる

今回は、オンライン診療における処方箋や薬を受け取る流れ、オンライン服薬指導など、医療を完全在宅で受けられる仕組みについて紹介しました。
オンライン診療のさらなる浸透・定着を目指すうえで、オンライン服薬指導の活用や今後運用が開始される電子処方箋が大きな鍵を握っていると言えます。

医療のデジタル化の動きの一つとして注目を集めているのが、2022年4月から導入された「リフィル処方箋」です。
リフィル処方箋とは、症状が安定している患者に対して一定期間内に処方箋を最大3回まで反復利用できる仕組みのことを指します。
これは薬の処方のためだけに医療機関を受診する回数を減らすことができ、患者の負担軽減や医療費抑制につながるとされています。
医療のオンライン化は、患者はもちろん、医療従事者の労働環境改善にもつながります。オンライン診療が進むことによって、人々の健康的な暮らしを支えるために欠かせない要素となっていくでしょう。