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医療ICTの活用事例を見てみよう!電子カルテやオンライン診療の普及で目指す社会とは?

2022.05.10(最終更新日:2022.09.15)

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利便性向上や人手不足の解消を目的として、電子カルテやオンライン診療などの医療ICT(情報通信技術)の普及が進められています。
さまざまな取り組みが実施されるなか、今後の社会はどのように変わっていくのでしょうか。今回は、医療ICTにおける現状の活用事例とこれからについて紹介します。

医療ICTとは?

医療ICTとは、「Information and Communication Technology」の略で医療分野における情報技術(IT)を用いたコミュニケーションのことを意味します。
医療分野においてICTを活用し、医療機関や介護施設、薬局などが適切な情報共有や連携を図ることは、医療サービスの充実につながります。
それだけでなく、医療現場の人手不足解消や生産性向上、医療費の最適化など、さまざまな副次的効果も期待されています。

医療ICTのメリットや将来性についての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
医療ICTとは?メリットや問題点、将来性について解説

医療ICTの活用事例を紹介

日本政府では厚生労働省や総務省を中心に、医療情報のデジタル化やネットワーク化など、医療ICTの普及に向けた取り組みが行われています。
続いては、医療ICTの活用事例を紹介します。

電子カルテ

医療ICTの活用事例として、電子カルテが挙げられます。
日本では、「2020年度までに400床以上の一般病院における電子カルテの普及率を90%にする」という目標を掲げて、厚生労働省を中心に電子カルテの普及を進めてきました。
その結果、2017年時点で400床以上の一般病院における普及率は85.4%、400床以下の病院や診療所を含めても46.7%と順調に普及が進んでいます。
医療ICTの一つである電子カルテが普及することで、患者の記録をデータ化して保存することができます。
これにより、情報を整理するための時間が短縮され、過去のカルテや検査結果、画像情報の参照が容易にできるようになるほか、外部の医療機関への医療情報の共有も即時に行うことが可能です。

電子処方せん

電子処方せんも医療ICTの活用事例の一つです。
処方せんは医師が薬剤師に対し必要な薬の種類や量、服用方法を記載した書類のことを指し、患者にとっても処方された薬の内容を知ることができる大切な医療情報となります。
医療ICTによって処方せんが電子化されることで、医療機関と薬局はオンラインで情報共有が可能になります。
その結果、患者情報の照会や伝達がスムーズになり、より安全な医薬品使用につながることが期待されています。
厚生労働省では、2016年3月、処方せんの電磁的記録による作成、交付および保存を可能とするための省令改正を行うとともに、「電子処方せんの運用ガイドライン」を策定しました。
以降、より円滑な電子処方せんの運用を目的としてガイドラインの見直し・改定が行われているほか、2020年度以降、完全に電子化するための具体的な工程表も公開しています。

電子版お薬手帳

お薬手帳は、自分の健康管理としてはもちろん、医師・薬剤師が患者の服用歴を確認することによって、副作用の回避や飲み合わせによる相互作用防止などに役立つものです。
厚生労働省では、服用歴を経時的に管理できる電子版お薬手帳の普及にも取り組んでいます。
電子版お薬手帳は、スマートフォンなどを利用して服用歴の管理を行うことができるだけでなく、アラーム設定による飲み忘れ防止や救急時・災害時の活用も期待されています。

オンライン診療

自宅にいながら診察を受けることができるオンライン診療の普及が加速し、私たちの生活と身近になりつつあります。
医療ICTを活用したオンライン診療により、離島など病院になかなか行くことができない方でも適切な診療を受けることができるようになるほか、在宅医療などでは従来の緊急往診に変わるツールとしての活用も見込まれています。

地域医療情報連携ネットワーク

医療ICTの活用により、病院や診療所、薬局、介護施設などが患者情報を電子化することで、それぞれの施設がデータを共有・閲覧できるようになる地域医療情報連携ネットワークに注目が集まっています。
地域医療情報連携ネットワークを構築することで、初めて受診する患者の医療情報も医師が正確に把握することができ、適切な治療ができるというメリットがあります。
他院への紹介や転院をスムーズに行うこともできるため、地域医療の質向上が期待されているのです。
ここでは、実際に地域医療情報連携ネットワークを構築している2つの事例を紹介します。

あじさいネット

あじさいネットは、長崎県全域での医療の機能分担を進め、地域全体で診療の質を向上させることを目的としています。
現在、長崎県内および佐賀県などを拠点とする病院38施設では、カルテ情報を367医療機関で共有し、地域医療にとってなくてはならないサービスとなっています。

信州メディカルネットワーク

土地面積の広い長野県では、山や川が多く、平常時においても交通が不便であることにより生じる患者の通院負担を軽減するために、医療ICTを導入した信州メディカルネットワークを構築しています。

信州大学病院に中継センター(県医療連携情報センター)を設置し、複数の医療機関の情報を管理することで、県全体の医療連携を図っています。

医療ICTの活用が進むと今後どうなる?

ここでは、今後医療ICTの活用が進むことによりどのような社会の実現が期待されるのかを紹介します。

医療に関するデータの種類

医療ICTによって活用できる医療データには、 「EHR(Electronic Health Record)」と「PHR(Personal Health Record)」の2種類があります。

EHRは電子健康記録と呼ばれ、個人のあらゆる診療情報(既往歴や薬歴、アレルギー、予防接種日、検査画像レポートなど)を生涯に渡って電子媒体に記録し、ICTによって各医療機関の間で連携して活用するという仕組みのことです。

PHRは生涯型電子カルテとも呼ばれるデータのことで、健康や医療、介護に関する個人の情報を統合的に収集し、一元的に保存したものです。

EHRの連携による包括ケア

EHRの活用が進むことで、医療機関と介護施設、訪問医師や看護師、薬剤師などが必要な患者情報を正確に把握することができます。さらに、地域包括ケアの担い手同士の効率的な連携を実現できるため、より適切な医療・介護サービスの提供を行うことが可能となります。
また、匿名化した医療データは新たな治療法や治療薬、ワクチンや予防法などの研究開発などへ活用できると大きな期待が集まっています。

PHRの連携による最適なヘルスケア

近年、クラウドやスマートフォンの普及により、本人の同意の下でPHRをさまざまなサービスに活用することが可能となりました。
PHRを連携することで、緊急時であっても自らの健康状態に関する情報を適切に医師に伝達することができ、医師も患者の既往歴や投薬情報を即時に確認することができるようになります。
山形県大月市では、健康データや日々のバイタルデータをスマートフォンやウェアラブルを用いて記録しておくことで、災害時などでも記録を提示することにより適切な診療・介護サービスの提供を実現しています。

医療ICT×MaaSによる地域課題の解決

日本は医療先進国で、保険証があればいつでも誰でも必要な医療サービスを受けられる国ですが、なかには車の運転ができなければ医療機関にかかることができない地域も存在します。
そこで現在、医療ICTとMaaS(マース)を掛け合わせることで、地域課題の解決を図る取り組みが各地で行われています。
MaaSとは、「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」 の頭文字をとったもので、地域住民や旅行者の移動ニーズに対して交通機関を含めた移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービスのことを指します。
浜松市の春野地区で実施された「春野医療MaaSプロジェクト」では、浜松市の指導のもと、看護師が医療機器などを搭載した移動診療車で訪問し、遠隔で医師が診療するオンライン診療や、オンライン診療を実施した患者に対してオンライン服薬指導および薬剤配送を行う実証実験を行いました。
移動診療車を活用することで交通弱者でも安心して診療が受けられるだけではなく、医師による遠隔診療が可能となれば、医師が不足している地域でも医療サービスが受けやすくなるでしょう。

医療ICTの活用事例を知って身近なことから取り入れてみよう

ここまで、医療ICTとは何か、日本政府の医療ICTの取り組みについて紹介してきました。
少子高齢化が深刻な日本において、今後少ない人手でも充実した医療サービスを提供するためには、医療ICTの活用が必要不可欠です。
ぜひこの記事を参考に、医療ICTに関する知識を深めてみてください。