オンライン招待状で負担軽減、ご祝儀や会費もオンライン決済
リクルートの結婚情報サービス「ゼクシィ」は、WEB招待状、ゲスト情報管理、オンラインご祝儀・会費受付の3つの機能を備えたサービス「ゼクシィオンライン招待状」を、2023年6月に提供スタート。結婚式準備の中で、特に細かく手間のかかる招待状の作成に焦点を当てたサービスです。
WEB招待状は、スマートフォンで手軽に作成・送信できる招待状。カップルは、住所録の作成や宛名書き、郵送などの負担がなく、ゲストもスマートフォンで出欠回答をするだけなのでとても便利です。また、デザインは約40種類あり、すべて無料で利用可能。メールやSNSを通じて、手軽に招待状を送ることができます。親族や上司といった年配者に紙の招待状を郵送したい場合は、送り分けも可能です。
ゲスト情報管理は、ゲストからの出欠回答後に、自動でゲストリストを作成する機能。カップルと式場が、出欠管理をリアルタイムで共有できるため、面倒なやり取りが不要になります。また、同年11月には、写真共有機能を追加。プロフィールムービー制作などで、思い出の写真などが必要であれば、出欠回答の際にゲストから写真を送ってもらうことができます。
オンラインご祝儀・会費受付は、サービス利用の有無をカップルが選択できます。利用した場合、ゲストはオンラインで送るか、当日手渡しをするか、自分で選択することが可能。ゲストにとって、ご祝儀袋や新札を用意する手間が省けるほか、当日受付での大金管理も不要になります。オンライン決済されたご祝儀や会費は、結婚式費用の一部として式場に入金されるため、清算作業もスムーズです。
なお、式場が同サービスを導入していれば、WEB招待状とゲスト情報管理は無料で利用可能。オンラインご祝儀・会費受付を利用する場合は、システム利用料として決済総額の3%をカップルが負担します。招待状の作成から出欠管理、ご祝儀・会費管理まで、ワンストップで利用できるゼクシィオンライン招待状は、結婚式準備の負担を大幅に軽減できそうです。
ゲストリストや席次表を簡単作成
IT企業のエスキュービズムは、有料のブライダルDXツール「ブライズノート」を提供中。同ツールは、クラウドベースのコミュニケーションシステムで、カップル・ウェディングプランナー・提携事業者の3者間のやり取りを、スムーズに行うことができるサービスです。ゲストリストや席次表、見積書、請求書など、多くの書類を一元管理できるので、カップルの結婚準備の負担軽減はもちろん、ウェディングプランナーの業務改善にもつながります。
また、同社は、結婚式におけるゲストリストや席次表の作成、引出物集計リストなどを共有できる新ツール「ブライズシート」を、2025年1月から無料で提供予定。カップルとウェディングプランナーをつなぐシステムで、煩雑なリスト作成や集計作業をサポートしてくれるほか、テーブルプランの設計や主催者のプロフィール表の作成機能も搭載されます。ブライズノートとの併用も可能なため、結婚式準備において、さらなる効率化が期待できそうです。
生成AIが約15秒でスピーチ原稿を作成してくれる「結婚式スピーチ生成AI」
結婚式スピーチ生成AI(提供:ユーザーローカル)
結婚式でスピーチを任されたゲストは、どういった内容を話すかを考えたり、不適切な表現がないように配慮する必要があったりと、何かと負担が大きいもの。IT企業のユーザーローカルは、結婚式のスピーチ原稿を自動で作成する「結婚式スピーチ生成AI」を、2024年8月より提供スタート。生成AIの大規模言語モデル(LLM)が、ゲストの代わりに約2~3分ほどの文量のスピーチ原稿を執筆してくれる新たなサービスです。
同サービスは、フォーム上で、カップルや自分の名前を入力し、次に、友人や先輩、上司などの関係性をボタン選択し、相手と知り合ったきっかけや思い出エピソード、印象を箇条書きすると、約10~20秒でスピーチ原稿を代筆してくれます。相手とのエピソードや印象を生成AIが分析し、スピーチ内容に盛り込んでくれるほか、不適切な表現を避けてくれるため、スピーチを任されたゲストの負担軽減につながります。
ログインも不要で、誰でもすぐに無料で利用できる結婚式スピーチ生成AI。祝辞のテンプレートに沿って、あいさつ、自己紹介、エピソードトーク、はなむけの言葉などを作成してくれるので、ゲストは生成された草案をもとに、自分の言葉でブラッシュアップするだけ。オリジナリティやユーモアを交えると、より一層心がこもった温かいスピーチが届けられそうです。
BGM選曲などの準備を一元化
多岐にわたる結婚式の準備ですが、披露宴で流すBGMの選曲も悩みどころの一つ。USENはレコチョクとの協業で、2,000万以上の楽曲からシーンごとに選曲できるBGMサービスパッケージ「WEDDING MUSIC BOX」を、2022年11月より提供しています。J-POPや洋楽、JAZZ、クラシックなど幅広いジャンルの楽曲から、スマートフォンアプリで簡単に選曲できる人気のサービスです。
カスタマイズでの選曲だけでなく、そのまま使用できる披露宴プログラム、迷ったときに便利なプレイリストなども充実。また、披露宴の各シーンに合わせて、好きな楽曲を選曲したり、再生開始タイミングの設定も可能。CD原盤の用意が不要になるほか、BGMの選曲や当日のBGM再生、著作権申請処理などがオンラインで一元管理できるため、カップルと式場の両方の負担を軽減できます。
また、ウェディング業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズは、同サービスと同社独自の結婚式準備オンラインツール「the Steps」を連携したことを発表。2024年10月より、全国の式場でのサービス提供を順次スタートしています。これにより、BGMを含めた結婚式の準備を一元化することが可能になり、スマートフォン一つでどこでも簡単に準備を進めることができそうです。
結婚指輪のバーチャル試着やVRシミュレーションも…ブライダル業界のDXに期待
大きな費用が発生するだけでなく、多くのルールが存在するため、準備がとても大変な結婚式。ブライダル業界でDXが進めば、カップルだけでなく、ゲストや式場の負担も軽減できます。特に、コロナ禍以降は、急速にオンライン化が進み、結婚式のあり方にも変化が生まれています。結婚指輪をバーチャル試着できたり、披露宴のイメージをVR空間でシミュレーションしたり、QRコードから好きな引出物を選べたり、便利なツールも続々登場しています。いまだ成長過程のブライダル業界のDXは、今後もさらなる進化が期待できそうです。
文/渡邊晃子
フリーライター。1983年生まれ。大学卒業後、会社勤務を経て、2010年からフリーランスのライターとして活動。WEB媒体を中心に、エンタメ、ライフスタイル、テック、子育てなどの分野で執筆を行う。