パンの種類をAIが瞬時に判別するベーカリー専用レジ『ベーカリースキャン』
パンをトレイに乗せただけで自動計算できる、パン屋さん専用AIレジで会計する店舗が増えています。たとえば、文京区にある「フランスパン発祥の店」といわれる関口フランスパンも導入しているお店の一つ。フランスパンだけでなく惣菜パンの種類も豊富で、お客さんは一度に多くのパンを買い求めます。これまではベテラン店員さんがてきぱきと会計しながら袋詰めをこなしていましたが、現在はAIレジにチェンジ。会計時の様子が様変わりしました。
とはいえお客さんは、トレイに置いたパンを計算用の撮影ユニットに置くだけ。すると画像認識で自動的に計算。ベテラン店員さんがするより早く、パンの値段がレジに打ち込まれます。

自動計算されたあとは、セミセルフ精算へ。お店の人がパンを扱いながらお金に触れることはないので衛生面でも安心です。お客さんが精算をしている間にスタッフは袋詰めに専念でき、長蛇の列になりがちだった会計がスムーズになったと客側としても実感しています。
多くのお店で導入されているのは、株式会社ブレインのAIレジ「ベーカリースキャン」です。この機械では、セミセルフ精算機の横に設置した撮影装置でパンを画像認識、識別しています。識別したパンの名前と値段はモニターに表示されます。間違って識別された場合は即座に次の候補が表示され、正しいパンを選択。こうしてパンの形状や焼き具合をAIが学習することでさらに精度が上がっていく仕組みです。
新規の登録も数分で済むため、新商品が次々に登場するパン屋さんでも重宝しているそう。スタッフはすべてのパンの名前や値段を覚える必要がありません。通常、新人スタッフがレジ打ちをできるようになるまで1〜2ヵ月かかっていたところ、1週間ほどで担当できるように。スピードアップがかなうだけでなく、レジの省人化、スタッフの教育コストの削減、さらに売上アップに貢献するとして、導入店舗から高い評価を得ています。

(参考)
世界初のパン識別AIレジ『BakeryScan』|株式会社ブレイン
https://www.corp.bb-brain.co.jp/packages/bakeryscan/
手持ちのスマホがレジになる、全国イオン300店舗で導入される『レジゴー』、そして「iレジ」も
買い物カートを押しながらスマホで商品をスキャンしていく新たなセルフレジスタイル「レジゴー」。商品を選び終わったら専用レジもしくは有人レジで「お会計に進む」を押し、案内に従って精算するだけ。レジ待ち時間の節約になるだけでなく、合計いくら分買っているのか手元で見えるのが便利と評判です。同様の仕組みの「iレジ」がイオン北海道で登場。これは「iAEON」というアプリをダウンロードして使うもので、ポイントやクーポンの使用がよりスムーズになり、キャッシュレス決済との親和性がさらに高まっています。
レジゴーなど端末によるセルフレジは客側の節約に貢献するかと思いきや、客単価が1.3倍になったというデータも。店側の省人化、コスト削減だけでなく、売上アップをもかなえています。

(参考)
お買い物しながらセルフレジ『レジゴー』|イオン株式会社
https://www.regigo.jp/
『iAEON』を使った新しいセルフレジ『iレジ』|イオン北海道株式会社
https://www.aeon-hokkaido.jp/iaeonapp/i_regi/
30秒で決算が完了。AIがお店に在庫ロスの可能性を、カスタマーに最適な商品を教えてくれるスマートショッピングカート『Skip Cart®』
また、世界で一番使われているスマートショッピングカートがSkip Cart®。こちらは専用タブレットがカートに設置されており、自分のスマホにアプリをインストールする手間がありません。タブレットなので画面も大きく見やすいのも特徴。会計もカートに付いている端末で可能です。
カートに入れた商品を参考に、おすすめ商品をAIがリアルタイムで提案してくれるのも楽しいポイント。クーポンや広告も表示されます。レジ待ちなしによる利便性が評価され、来店頻度が13.8%向上したという実績があります。
また買い物中のデータを反映し、在庫ロスの可能性もチェック。店舗のオペレーション効率化、レジ人員の20%削減など店側にも大きなメリットがあり、導入はますます進んでいきそうです。

(参考)
世界一使われているスマートカートシステム『Skip Cart®』|株式会社Retail AI
https://www.retail-ai.jp/solution/Ssc/
日常生活に寄り添う決済AI
買い物をスマートにするAI技術は、今後私たちの生活のなかで当たり前のものになっていくはず。さらなる進歩が、客側、店側からも期待されています。
有馬美穂
ライター・エディター。2004年に早稲田大学第一文学部を卒業。『VERY』等、さまざまな雑誌媒体で女性のライフスタイル、健康、教育、ジェンダー、ファッションについての取材執筆・構成を行う。