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MTG提供

シャワーヘッドからサービスエリアのトイレ清掃まで…“ファインバブル”技術を活用したテクノロジー

2024.10.17(最終更新日:2024.10.17)

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MTG提供

テレビCMやネットの広告で「ファインバブル」という言葉を聞いたことがある人も少なくないはず。私たちが日常目にする泡よりもずっと小さく、直径が100μm(=0.1mm)より小さな泡を指します。ファインバブルには洗浄効果のほか、水質浄化殺菌、生理活性成長促進効果などさまざまな効果がありますが、今回は私たちに身近な家電などへの応用を通して、ファインバブル技術がどのように私たちの生活に役立っているのかを解説します。

毛穴の奥まで入り込んで汚れを吸着。ファインバブル活用のシャワーヘッド

小さな泡のファインバブルは、その大きさによって「マイクロバブル」と「ウルトラファインバブル」の2種類に分かれていることをご存じでしょうか。ファインバブルのうち、直径100μm未満で1μm(=0.001mm)以上の泡はマイクロバブル、それより小さい直径1μm未満の泡はウルトラファインバブルと呼ばれています。ファインバブルは微細な泡なので工夫して作る必要があり、現在はさまざまな原理を応用した製造方式によるファインバブル発生装置が考案されています。

そんなファインバブルの性質に着目したシャワーヘッドを展開しているのが、美容ブランド「ReFa」の開発・販売を手掛けるMTGです。MTGでは10年以上前からファインバブルの有用性について研究を続け、その技術を応用した付け替え可能なシャワーヘッドを販売しています。

ReFaの「ファインバブルシリーズ」(MTG提供、以下同)

同シリーズの新製品「ReFa FINE BUBBLE U」は、ファインバブルが持つ、汚れを吸着して気泡の浮力で汚れを絡めとる性質「疎水性相互作用」を利用。ウルトラファインバブルが毛穴の奥まで入り込んで汚れを取りのぞき、マイクロバブルが毛穴につまった大きな汚れを浮かせて取りのぞく仕組みで、やさしく汚れを取りのぞき、使用前との比較では肌のキメの汚れは約49%減少するそう。

ReFaの「ファインバブルシリーズ」

また、シャワーヘッドを浴槽に入れると、お湯がなめらかな肌ざわりの「シルキーバス」に変化。ウルトラファインバブルとマイクロバブルが全身の肌を包みこんで体を温めるほか、水の中に充満したウルトラファインバブルとマイクロバブルが肌にうるおいを与える効果があるとしています。

同社では、今後は「シャワーヘッドに対するファインバブル技術の深堀はもちろん、シャワーヘッド以外のさまざまな分野の商品にファインバブル技術を広げていきたい」とさらにファインバブルに注力する考えを示しています。

衣類の黄ばみ、黒ずみを抑制。ウルトラファインバブルとマイクロバブルを生成する洗濯機

ファインバブルは、洗剤の洗浄成分である界面活性剤や汚れを吸着する特性から、洗濯機にも活用されています。

「ZABOON TW-127XP4」(東芝ライフスタイル提供)

東芝ライフスタイルは、ウルトラファインバブルとマイクロバブルを活用した技術を洗濯機に導入。ウルトラファインバブルを生成して洗浄力を向上させる独自技術を搭載した洗濯機を展開しています。

同社の洗濯乾燥機のフラッグシップ製品「ZABOON TW-127XP4」は、搭載している加圧タンクで大量のウルトラファインバブルとマイクロバブルを発生させ、2種類のファインバブルを活用しているのが特徴です。

洗浄の仕組み

具体的には、2つのバブルを含んだ洗剤液を衣類全体に浸透させ、洗剤の洗浄成分を吸着したウルトラファインバブルが繊維の奥まで洗浄成分を届けて汚れを剥がし、マイクロバブルが繊維から離れた汚れを吸着する……という仕組み。また、洗濯中、ウルトラファインバブルとマイクロバブルが洗濯槽への汚れの付着を抑制する効果もあるといい、従来なら1~2カ月に1回は必要だった槽洗浄が、3〜4カ月に1回で済むというメリットも。

ウルトラファインバブル&マイクロバブル発生装置

同社ではファインバブルの活用によって、水道水で洗濯した場合と比較した場合、より効果的に衣類の黄ばみや黒ずみを防げるとしており、今後もウルトラファインバブルの技術を活用したラインアップを拡充していく方針です。

ピンク汚れの原因菌が66%減少。家中にファインバブルのお湯を運ぶ給湯器

身の回りで活かされているファインバブル技術は、これだけではありません。浴室や洗面所、キッチン、食洗機などへお湯を送り出す給湯器でもファインバブルは活用されています。

家中ウルトラファインバブルのイメージ(リンナイ提供、以下同)

熱エネルギー機器の開発・製造・販売を手掛けるリンナイでは、ウルトラファインバブルのお湯が
家中で使える「ウルトラファインバブル給湯器」を2022年から販売しています。もともと同社では、約20年前から浴槽にマイクロバブルを発生させる装置を販売していましたが、白濁湯にはならず、「本格的なマイクロバブルを作りたい」という社長の思いで再度、マイクロバブル発生装置の開発に挑戦。その結果、2020年にマイクロバブルとウルトラファインバブルの両方を発生させる「マイクロバブルバスユニット」が誕生。そうした経緯を経て、2022年10月に皮膚や水まわりの汚れを除去できるというウルトラファインバブルに特化したウルトラファインバブル給湯器が誕生しました。

ウルトラファインバブル給湯器のラインアップは、ウルトラファインバブル発生装置を搭載したガス給湯暖房用熱源機、ガスふろ給湯器、ガス給湯器など。お湯の水圧を変化させて水中の空気を気泡化し、さらに気泡をせん断して細かくすることでウルトラファインバブルを発生させており、給湯器から浴室や洗面所、キッチンへウルトラファインバブル入りのお湯が送られる仕組みです。

ウルトラファインバブル発生装置のしくみ

ウルトラファインバブルには細かい隙間にある汚れを落とす作用があり、さら湯と比べて汚れの原因菌が洗い流されやすくなるため、浴室や洗面所、キッチンで汚れや水垢が付きにくくなるのが特徴です。水回りの代表的な汚れの「ピンク汚れ」に対しては、原因菌を66%減少させるという効果も明らかになったとか。また、ウルトラファインバブルのお湯は肌の角層水分量を持続させるため、たとえばシャワーによって肌へうるおいを与える、などのメリットもあるそうです。

同社では「給湯器取り替えの際に、ウルトラファインバブル給湯器お選びいただくことが増えている」と現状を語っており、今後については「ウルトラファインバブルの効果の検証を進め、そのメリットを訴求できれば」としています。

水の使用量を99%削減。ウルトラファインバブルを活用したトイレ清掃

最後にご紹介するのは、高速道路のサービスエリアのトイレでウルトラファインバブルを活用している事例です。

ウルトラファインバブル水を使用したトイレの清掃(西日本高速道路エンジニアリング関西提供、以下同)

西日本高速道路株式会社(以下、NEXCO西日本)では管内のサービスエリア・パーキングエリアでのトイレ清掃作業において、利用者への迷惑を最小限に留めた効果的な清掃方法の開発を行っており、その一環として2010年からウルトラファインバブル水を使用したトイレの清掃をスタートさせています。まずは中国地方の一部の休憩施設から始まり、現在では、NEXCO西日本では管内のSA/PA(もしくは休憩施設)の約300箇所にまで活用が広がっています。


サービスエリア・パーキングエリアにおけるトイレ清掃は、従来はハンドブラシで床面を手洗いし、清掃機でブラッシングすると同時に洗浄水をバキューム吸引する形でしたが、ウルトラファインバブル水の導入後は、ウルトラファインバブル水を噴霧器でトイレ床面に噴霧し、モップでふき取る形に変更しました。

床モップ

これにより、水の使用量が従来の清掃方法との比較で100分の1にまで削減されたほか、水量削減によって床面乾燥時間が約40%も短縮。清掃スタッフの作業時間も全体で約30%短縮されたそうです。さらに、それに伴い洗剤の使用量も削減できたことで、環境への負荷が軽減されるという効果も。加えて「清掃後でも利用者の足元が滑らないので安全」という効果もあり、ウルトラファインバブルの活用がいろいろな面でメリットを生み出していることが分かります。

噴霧の様子

西日本高速道路エンジニアリング関西では、ウルトラファインバブル清掃については数年前から鉄道事業への導入も進めており、今後もさまざまな場所でウルトラファインバブルの活用が広がりそうです。

シャワーヘッドから洗濯機、給湯器、さらにはサービスエリア・パーキングエリアトイレ清掃まで、さまざまな場面で活躍するファインバブル。洗浄効果や、植物や養殖魚の成長を促進する生理活性成長促進効果、水質浄化殺菌効果など多様な効果を持っていることから、今後も多くの業種で活用が進みそうです。

<プロフィール>
カワハタユウタロウ
フリーライター。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、Eコマース・通販関連業界紙の編集部に約7年間所属。その後、新聞社系エンタメニュースサイトの編集部で記者として活動。2017年からフリーランスのライターとして、エンタメ、飲食、企業ブランディングなどの分野で活動中。