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MaaSを推進する海外での事例、日本での取り組みを紹介

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2022.05.17(最終更新日:2022.09.15)

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MaaS(マース)とは「Mobility as a Service」の略で、電車やバス、タクシーなどの交通機関に関する移動・予約・決済などが行えるサービスのことを指します。

日本でもここ数年でMaaSを推進する動きが活発化していますが、海外のMaaS事例と比較すると、日本はまだこれからという段階でしょう。

今回は、MaaSを推進している海外での事例や日本での取り組み、企業による事例を紹介します。

海外におけるMaaSの先進事例を紹介

フィンランドを筆頭とした北欧諸国やドイツ、アメリカなどから、さまざまなMaaSの事例が報告されています。
まずは、海外におけるMaaSの先進事例を紹介していきます。

フィンランドのMaaS事例

MaaS先進国とも言えるフィンランドでは、運輸通信省の支援のもと2017年から「Whim(ウィム)」というプラットフォームサービスを提供しています。

Whimとは、鉄道やバスなどの公共交通機関や、レンタカーやタクシー、さらには自転車や徒歩など複数の交通手段から、ユーザーにとって最適な経路検索を行うことができるサービスです。世界初の交通サブスクリプションモデル(定額制)であることが特徴で、予約から決済までをアプリで完結できます。

Whimを導入したことにより、フィンランドの自家用車の利用者数は40%から20%に減少し、公共交通機関の利用者は48%から74%に増加したことが報告されています。

ドイツのMaaS事例

ドイツで2015年からサービス提供が開始された「moovel(ムーベル)」では、リアルタイムで交通状況を把握でき、目的地までの移動手段の検索・予約はもちろん、キャッシュレス決済の支払いオプション設定や、QRコード・バーコードなどの非接触決済にも対応しています。
また、ドイツ鉄道による統合モビリティサービス「last minute(ラストミニッツ)」は、鉄道に加えて、飛行機や長距離バスなどの経路検索・予約・決済が統合されており、カーシェアリングやレンタサイクル、ライドシェアリングなどの予約も行えるようになっています。

アメリカのMaaS事例

配車サービスとして広く浸透しているアプリ「Uber(ウーバー)」はアメリカ発祥です。
空いた時間に車を利用してタクシーのようなサービスを提供したい方と配車を希望する方をつなぐサービスで、クレジット決済や電子マネーなどで支払いができる点や配車が簡単にできる点などが人気の理由です。

ほかにも、アメリカにはUberと同じような交通サービスとして「Lyft(リフト)」というアプリがあります。Lyftは、お互いの居場所をGPS機能でピンポイントに確認できるだけではなく、乗車前に料金の見積もりを行っているのが特徴です。

日本におけるMaaSの取り組み事例とは?

ここまでは、海外における先進的なMaaSの事例を紹介してきましたが、日本においてもMaaSの普及促進に向けたさまざまな取り組みが行われています。

続いては、日本におけるMaaSの取り組みとして、国土交通省や経済産業省、各自治体の事例を紹介していきます。

日本版MaaS(国土交通省)

日本では、そんなMaaSを推進するために国土交通省が「日本版MaaS推進・支援事業」を行っています。
2021年度にはMaaSの社会実装に向けた取り組みとして、12事業の選定・支援を行いました。
(北海道芽室町、富山県朝日町、群馬県前橋市、静岡県静岡市、東京都大丸有地区、京都府与謝野町、山手線周辺/横須賀市、宮崎県、川崎市/箱根町、沖縄県、神奈川県三浦半島、沖縄県宮古島市)

例えば北海道芽室町では、高齢化が進む農業地域住民に向けて市街地への移動と買い物を支援するため、サブスクリプション型乗り合いデマンドタクシーを導入し、商業従事者との連携を図っています。

スマートモビリティチャレンジ(国土交通省・経済産業省)

国土交通省と経済産業省によって2019年から開始された「スマートモビリティチャレンジ」は、新たなモビリティサービスの社会実装を通じて、地域課題の解決や活性化を目指す地域と企業の協働によるプロジェクトです。2021年度は、スマートモビリティチャレンジの先進パイロット地域として14地域が選定されました。
(北海道帯広市、北海道室蘭市、宮城県仙台市、福島県会津若松市・茨城県日立市、埼玉県入間市、愛知県春日井市、三重県6町連携(※)、福井県永平寺町、大阪府大阪市、兵庫県播磨科学公園都市、島根県美郷町、香川県三豊市、佐賀県基山町、沖縄県北谷町)

宮城県仙台市では、福祉車両の非送迎時間を活用した移動支援を行うとともに、オンデマンド相乗りによる車両稼働率向上・車両数削減効果や事業性効果などの検証が行われています。

※三重県6町…大台町、多気町、明和町、度会町、大紀町、紀北町

自治体によるMaaS実証実験

日本には、MaaS実証実験を積極的に行っている自治体もあります。

例えば、茨城県つくば市の「つくば医療MaaS」は、病院を目的地とするAIデマンドタクシーと病院内自動運転パーソナルモビリティによる、シームレスな移動や顔認証を活用した通院・受診による負担軽減、乗り合いタクシーの事業性向上の実証実験を行っています。

また、群馬県前橋市の「MaeMaaS」は、オープンデータを活用したリアルタイム経路検索の提供や、デマンド交通「るんるんバス」「ふるさとバス」「城南あおぞら号」の予約をMaeMaaSにより一元化するなど、地域公共交通の利便性向上およびMaeMaaSの社会実装のために継続的な実証実験を行っています。以前の実証実験で課題となった市民への分かりやすい説明、分かりやすい情報案内にも対応しています。

ほかにも、静岡県静岡市ではICTやAIなどの最新技術を取り入れ、誰もが利用しやすい新たな移動サービスを提供するなど、持続可能なまちづくりを目指した地域密着型の官民連携コンソーシアムとして「しずおかMaaS」を発足しています。

国内企業によるMaaS推進事例

MaaSの概念が提唱されるようになり、最近では国内企業によるMaaSの実証実験がスタートしています。

MONET Technologies

トヨタ自動車株式会社とソフトバンク株式会社が共同設立したMONET Technologies株式会社は、自動運転車とMaaSを融合させたモビリティサービスとして「Autono-MaaS事業」を行っています。

このAutono-MaaS事業では、人の移動だけではなく、行政や医療、小売りなどさまざまなサービスの移動を車両とシステムの両面から支援することにも活用されています。

例えば、福島県いわき市では、MONET Technologiesが開発したマルチタスク車両を活用して、遠隔相談システムを搭載した車両と庁舎をオンラインでつなぐことで、庁舎に行かずとも相手の顔を見ながら行政サービスが受けられる実証実験などが行われています。

トヨタ自動車

トヨタ自動車株式会社と西日本鉄道株式会社が、交通・店舗・イベント情報のサービサー8社の協力のもと2018年11月から実証を進めている「My route」は、マルチモーダルモビリティサービスです。
鉄道やバスなどの公共交通機関やタクシー、サイクルシェアなどの交通手段を組み合わせたルート検索を行えたり、一部サービスでは予約・決済や店舗・イベント情報の検索も行えたりと、利便性の向上に貢献しています。

小田急電鉄

小田急電鉄株式会社は、経路探索エンジンを開発するヴァル研究所などと共同開発したデータ基盤「MaaS Japan」を活用したアプリ「EMot」の実証実験を小田急沿線で行い、現在では静岡県浜松市周辺にて本格サービスに移行しています。
EMotではルート検索・予約・決済だけではなく、ショッピングチケットや観光地で使えるチケット、飲食のサブスクリプションサービスなども用意されています。

海外や日本でのMaaS事例、今後の取り組みに注目しよう

MaaSを推進する海外での事例や、日本での取り組みについて紹介してきました。MaaSが推進されることで、移動における利便性が高まるのはもちろん、高齢者の外出促進にもつながり、地域経済の活性化が期待できます。

また、自家用車の利用減少も見込まれるため、環境保全としても有効な取り組みと言えます。

日本でも、利便性の高いMaaSプラットフォームが登場する可能性は十分にあるため、今後の取り組みに注目していきましょう。

MaaSの概要や将来性についての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
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