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EVバスとは?特徴やメリット、自治体の導入事例を紹介

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2022.09.15(最終更新日:2022.09.15)

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環境に配慮したEVバスにはさまざまなメリットがあり、実際に導入を進めている自治体もあります。
そこで今回は、EVバスの特徴やメリット、自治体の導入事例、導入に向けた課題について紹介していきます。

EVバスとは?

EVバスとは、電気のエネルギーで走るバスのことで、電動バスとも呼ばれています。
国土交通省では、2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、「地域交通グリーン化事業」として電動バス導入費用の一部を補助するなど、次世代自動車の普及促進を行っています。
その一環として、2017年度末時点で計30台のEVバス導入支援を行っており、今後もさらなる普及促進に向けて地域計画を支援するとともに、EVバスを含めた次世代自動車の本格普及の実現に向けた取り組みを進めています。

EVバスの種類と特徴

EVバスと呼ばれる車両には、電気バス、PHEV(プラグインハイブリッド)バス、燃料電池バスの3種類があります。
続いては、EVバスの種類と特徴について説明します。

電気バス

電気バスとは、蓄電池の電力を動力としてモーターを駆動させて走行するバスで、コミュニティバスから大型バスまでサイズが豊富にあるのが特徴です。
電気は普通充電および急速充電によって補給し、航続距離は約30〜250kmです。
電気バスは、走行中にCO2を排出しないゼロエミッションカーの一種です。

PHEV

PHEVバスとは、モーターとエンジンを動力とするバスです。
発進時にモーターによってエンジンをアシストすることができるため、通常のガソリン車と比べるとCO2の排出量を低減することができ、ハイブリッドモードでの航続距離は電気バスよりも長いという特徴があります。
ただし、プラグインハイブリッドバスは、充電だけでなく軽油による燃料補給も必要です。

燃料電池バス

燃料電池バスは、水素と酸素から水が生成される際の化学反応により直接電力を取り出し、モーターを回して走るバスです。
そのため、地域交通に導入する場合にはバス用水素ステーションを設ける必要があります。
燃料電池バスは走行中に排出するのは水のみでCO2を一切排出しないため、ゼロエミッションカーに含まれます。

EVバスにはどんなメリットがある?

日本では国土交通省や経済産業省を中心に、EVバスの導入を支援する動きが始まっていますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、EVバスを導入するメリットについて紹介します。

CO2削減効果

CO2などの温室効果ガスは地球温暖化の原因とされており、世界的にCO2削減に向けた取り組みが推進されています。
日本においても、「2050年カーボンニュートラル」を実現するために政府一体となっての取り組みが行われています。
EVバスを導入することで、ディーゼル車比最大4割程度のCO2削減効果を見込むことができ、カーボンニュートラル実現に向けた大きな一歩となるでしょう。

低騒音・低振動

EVバスはエンジンではなくモーターを動力とするため、車内の騒音と振動が少なく、乗客も快適な乗り心地を楽しむことができます。
また、住宅街など周辺環境への配慮が可能となる点も魅力の一つです。

災害時の電力供給源

EVバスは、V2Hシステムを導入することで災害時などの非常用蓄電源としても活躍します。
V2Hとは、Vehicle to Home(車から家まで)という意味で、家を含めた施設に電気を供給することができるシステムです。
活用するには充放電設備などを設置する必要があります。
実際に、災害時に周辺住民が集まる避難所の照明や給水ポンプ・井戸水ポンプなどの電力源として、EVバスを活用する実証実験も行われています。

EVバスを導入した自治体の事例

まだまだ耳なじみのないEVバスですが、国土交通省が進める「地域交通グリーン化事業」により、全国の多くの自治体でEVバスが導入されています。

【EVバスの導入事例がある自治体】
・ 東京都墨田区(2011年度)
・ 東京都羽村市(2011年度)
・ 石川県小松市(2012年度)
・ 岩手県宮古市(2012年度)
・ 三重県伊勢市(2013年度)
・ 宮城県気仙沼市(2013年度)
・ 埼玉県春日部市(2015年度)
・ 東京都千代田区、中央区、江東区(2016年度・2017年度)
・ 東京都港区(2017年度)

など

実際に導入した自治体では、どのようなメリットがあったのでしょうか。

東京都港区の事例

東京都港区では、区の循環バス「ちぃバス」の芝ルートにEVバスを2台導入しました。
電気バスを導入することで乗客から「静かで乗り心地が良い」といった評価を得ており、乗務員からも「車内の騒音と振動が少ない」「発進時や追い越し時の加速性が良い」と高評価を得ています。
また、これまでに大きな故障もなく運行は順調で、EVバスはディーゼル車に比べて整備も容易なため、整備費用も安い点がメリットとして報告されています。

岩手県宮古市の事例

岩手県宮古市では、主要観光資源である浄土ヶ浜を中核とした新規路線にEVバスを1台導入しました。
EVバスを導入することで、ランニングコストの削減(電気基本料金を除けば、ディーゼル車比4割減)を可能にしただけでなく、整備コストの削減にもつながったことが報告されています。

三重県伊勢市の事例

三重県伊勢市では、伊勢市駅、宇治山田駅と伊勢神宮(内宮・外宮)を結ぶ路線において、大型EVバスを1台導入しました。
導入の際、「ポケモン」のラッピングバスにしたことで、子どもの乗客に喜ばれるほか、市外、県外から珍しいEVバスに乗車するために訪れる方もいるなど、観光効果も得られているとの報告が上がっています。

福岡県北九州市の事例

2008年に「環境モデル都市」に選定された北九州市では、太陽光発電と電気バスを組み合わせた「ゼロエミッション交通システム」の構築のため、EVバスを2台導入しました。
EVバスの運行には、市内に設置された大規模な太陽光発電システムからの電気が使用されています。
バスの乗客からは「走行音が静か」「揺れが少ない」「排気ガスの臭いを感じない」など高評価を得ているほか、「ほかの路線にも活用して欲しい」との声もあります。
乗務員からも「馬力が強く、加速に優れている」「運転していて疲れを感じない」という評価を受けたことが報告されています。

EVバス導入における課題

EVバスの導入にあたっては、ランニングコストや整備コストを削減できるというメリットがある一方で、複数の課題もあります。

車両価格が高い

EVバスは、ディーゼル車と比較すると車両本体価格が高くなっています。
実際にEVバスを導入した自治体からも「補助金が出ない2台目の導入は難しい」という声もあり、価格については一つの課題としてとらえられています。

航続距離が短い

EVバスは、ディーゼル車と比較して航続距離が短いことも課題の一つです。
特にモーターと蓄電池を動力とする電気バスは、航続距離が短く、今後の改善が期待されています。

保守体制の構築

EVバスを地域交通として活用するためには、保守体制の構築が欠かせません。
複数路線にEVバスを導入するためには、充電設備や水素ステーションの新設について充電メーカーとの協議が必要となるでしょう。

EVバスの今後に注目しよう

今回は、EVバスを地域交通に導入することによるメリットや実際にEVバスを導入している地域の事例などについて紹介してきました。
公共交通のEV化は、バスに限らず現在注目される新たな分野の一つです。
2050年カーボンニュートラル実現に向けて、今後どのような取り組みが行われるのか注目です。

EVのメリットや将来性についての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
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