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EVシフトとは?加速する理由や世界・日本の動向について解説

この記事は1年以上前に書かれたものです。現在は状況が異なる可能性がありますのでご注意ください。

2022.04.18(最終更新日:2022.09.15)

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化石燃料であるガソリンを燃料とする自動車からEV(電気自動車)へのシフトは日本のみならず世界で加速しています。

そこで今回は、EVシフトが加速している理由、世界や日本におけるEVシフトの動向について解説していきます

EVシフトとは

EVシフトとは、ガソリン車から電気自動車への転換を図る世界的な動きのことです。

温室効果ガス(CO2など)の削減を掲げた「パリ協定」を遵守する目的で、フランス政府が2040年までにガソリン車およびディーゼル車の販売を禁止する方針を2017年に表明し、2021年にはイギリス政府も同様の発表をしたことが、世界中でEVシフトが加速する契機となりました。

EVシフトが加速する理由

以前からCO2削減による地球温暖化対策を目的としたEV化は進められていましたが、近年はその流れが加速してきています。

これは、各国・地域の環境規制強化やESG投資の拡大などが後押しとなっているものです。

欧州委員会の2035年ゼロエミッション化

欧州委員会は、2021年7月14日に環境対策政策パッケージ「Fit for 55」で、乗用車および小型商用車(バン)のCO2排出基準に関する規則の改正案を発表しました。

この改正案では、新車のCO2排出量について、2021年比で2030年までに55%削減、2035年までに100%削減という具体的な目標を設定しています。
この提案が認められると、2035年以降はすべての新車がゼロエミッション(※)化されることになります。

※ゼロエミッション…廃棄物を一切出さない資源循環型社会の構築を目指す概念またはその方法。温室効果ガス排出量がゼロの社会を意味する言葉としても用いられる。

ESG投資の拡大

ESG投資とは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」に配慮している企業を選別して行う投資のことで、近年は、世界中で拡大してきています。

ESG評価の高い企業は、世界中の投資家からの人気が高まるため、企業はESGに配慮するためにさまざまな取り組みを行っています。社用車や営業車両のEV化を実践する企業が増えているのもその一例です。

世界や日本におけるEVシフトの動向

ここからは、加速するEVシフトについて世界各国や日本における動向を紹介していきます。

EU・イギリスのEVシフト

EUおよびイギリスでは、2035年までに乗用車のゼロエミッション化の実現を目標とし、2020年11月に以下の2つの方針を示しました。

①ガソリン、ディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止する
②炭素排出ゼロで長距離走行可能なHEV(ハイブリッド自動車)の販売は2035年まで認める

2021年7月に、上記方針に沿った「自動車からの排ガス規制に関する政策提案書」が公表され、意見公募が行われているほか、乗用車および小型商用車(バン)のCO2排出基準に関する規則の改正案のなかで「2035年までに新車のCO2排出量を100%削減(ゼロ)にする」と示しています。

この改正案について欧州議会の承認が得られれば、2035年には、HEVやPHEV(プラグインハイブリッド自動車)を含めたエンジン搭載車の販売が、実質的に禁止されることになります。

アメリカのEVシフト

アメリカにおける自動車環境規制をけん引してきたのはカリフォルニア州です。
カリフォルニア州は、2035年までに乗用車と小型トラックの新車販売をゼロエミッション車とすることを義務付ける知事令を2020年9月に発出しました。

連邦レベルでも、2030年までに販売される新車(乗用車と小型トラック)の50%以上を、ゼロエミッション車(BEV(バッテリー式電気自動車)、FCEV(燃料電池自動車)、PHEVも含む)とするという大統領令が、2021年8月に発令されています。

中国のEVシフト

産業政策の一環としてBEV産業の発展に取り組んできた中国では、2020年10月に中国自動車エンジニアリング学会によって「省エネルギー・新エネルギー車技術ロードマップ2.0」が発表されました。

このなかで示されたのは、主に以下の4点です。

①2035年までに新車販売においてNEV(新エネルギー車)(※)を50%以上とすること
②NEVのうち95%以上をBEVとすること
③FCEVの保有台数を約100万台とすること
④ガソリン車はHEVとすること

※新エネルギー車…非従来型の燃料を動力源とする自動車の総称。HEV、FCEV、ソーラーカー、水素自動車などが含まれる。

日本のEVシフト

2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言している日本政府は、経済産業省が関係省庁と連携して「グリーン成長戦略」を2020年12月に策定しました。

グリーン成長戦略では自動車の電動化が推進され、「2035年までに乗用車新車販売で電動車(BEV、FCEV、PHEV、HEVの4種類)100%を実現」という目標が示されています。

また、経済産業省では、2010年に発表した「次世代自動車戦略2010」において、2030年までに乗用車の新車販売に占める次世代自動車(電動車およびクリーンディーゼル自動車)の割合を5〜7割とすることを目標として掲げました。

次世代自動車の普及実績は2019年で39.2%となっており、今後2030年までに増加していくことが予想されています。

加速するEVシフト、今後はどうなる?

環境規制強化やESG投資の拡大が後押しとなり、世界的なEVシフトへの動きが加速しています。

なじみのある日本の自動車メーカー各社からも今後のEVシフトについて具体的な方針が発表されているので以下で見ていきましょう。

トヨタ自動車

トヨタ自動車株式会社では、2021年10月時点でグローバルで累計1,870万台、アメリカで450万台の電動車販売実績があります。

2021年10月時点では、アメリカでの販売の25%を電動車が占めており、2030年には約70%となる見通しが立っています。

電動車の需要が高まっていることから、トヨタ自動車株式会社は2030年までにBEV用を含めた車載用電池の現地生産に約3,800億円(約34億ドル)を投資することも発表し、2025年までに電動車販売のラインアップを55車種から約70車種へ拡大するなど、カーボンニュートラル実現に向けたEVシフトを着実に推進しています。

本田技研工業

四輪車や二輪車など幅広い製品を提供する本田技研工業株式会社では、2050年カーボンニュートラル実現のために「先進国全体でのEV、FCVの販売比率を2030年に40%、2035年には80%」、そして「2040年には、グローバルで100%」という目標を掲げています。

日本国内においてはEV、FCVの販売比率について「2030年に20%、2035年に80%、2040年に100%」を目指すという目標を設定し、2024年には軽自動車のEVシフトも予定しています。

世界や日本のEVシフトに注目しよう

地球温暖化の防止や環境保全を考慮し、CO2を排出しないEVシフトの流れが世界的に加速しています。
EU諸国やイギリス、アメリカや中国では2035年を目処に新車販売に占めるEVの割合を高める目標が掲げられたり、日本でも2050年カーボンニュートラルの実現に向けて「2035年までに新車販売車の100%を電動化する」という目標が掲げられたりしています。

近い将来私たちの生活の身近なものになっていくであろうEVについて知るために、EVシフトの流れや国内自動車メーカーの技術開発などに注目してみてはいかがでしょうか。

EVのメリットや将来性についての詳細は、下記関連記事をご覧下さい。
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